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ふるさと納税の返礼品って課税対象なの!?

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お肉、カニ、お米、ギフト券など、多くの人が返礼品を楽しみにしているふるさと納税。

タイトルをみて、「ふるさと納税の返礼品に税金なんてかかるの?」と思った方も多いと思います。

実は、ふるさと納税の返礼品は課税対象になる!というのが結論になります。

返礼品は課税される

ただし、税金を計算する際には決められたルールがありますので、一定金額までのふるさと納税であれば、税金はかからないことになっています。

そのため、多くの方はこのルールによって、結果として税金がかかりません。
それでは、詳細を説明していきます。
 

ふるさと納税の返礼品は「一時所得」とよばれるものに該当する

ふるさと納税の返礼品は、所得税の計算上、「一時所得」に該当します。
そして、「一時所得」は課税の対象となります。

例えば、自治体に10万円の寄付をして、3万円相当の返礼品を受け取った場合には、3万円が「一時所得」となり、課税の対象となります。

(どうやって「3万円相当」と判断するかについては後述します。)
 

一時所得とは?

「一時所得」とは、個人が一時的、臨時的に得た収入のことをいいます。

具体例としては、競馬の配当金や懸賞の商品、損害保険の満期返戻金などが挙げられます。

1年間でこれらの「一時所得の金額の合計額」が50万円を超えると税金がかかる仕組みになっています。

要するに、ふるさと納税の返礼品を受け取ったとしても、それ以外の競馬の配当金などを含めて、1年間でこれらの受取金額の合計額が50万円以下であれば、税金はかからないことになります。

(参考)一時所得
国税庁HP No.1490 一時所得
 

一時所得の税金の計算方法

では、一時所得がある場合の税金の計算方法をもう少し細かく見ていきます。

「一時所得」と「税金」の計算方法は以下の計算式の通りです。

「一時所得の対象となる収入金額」
-「収入を得るためにかかった経費」
-「特別控除(年間で最高50万円)」
=「一時所得」

 ↓
「一時所得」の1/2相当額が、総合課税の対象となる「総所得金額」に合算されます。
手続きは、確定申告を行うことになります。

(参考)総合課税制度
国税庁HP No.2220 総合課税制度「3 税額の計算方法」

 

例1 ふるさと納税の返礼品が20万円あった場合

その年に20万円のふるさと納税の返礼品があったものとして、上記の計算式に数字をあてはめてみたいと思います。

収入20万円-経費0円-特別控除20万円=0円

この場合には、課税対象がゼロとなりますので、税金はかからないことになります。

ふるさと納税をしている人の多くは、このパターンになるのではないでしょうか。

電卓
 

例2 ふるさと納税の返礼品が60万円あった場合

その年に60万円のふるさと納税の返礼品があった場合は、

収入60万円-経費0円-特別控除50万円=10万円

この場合には、10万円の1/2相当(5万円)が課税対象となります。

ふるさと納税の返礼品が年間で60万円もある人ですので、かなりのふるさと納税上級者と言えるかもしれません。
 

例3 ふるさと納税の返礼品が20万円、競馬の配当金が40万円あった場合

その年に20万円のふるさと納税の返礼品があり、そのほかに40万円の競馬の配当金があった場合は、

収入(ふるさと納税の返礼品20万円+競馬の配当金40万円)-経費0円-特別控除50万円=10万円

この場合、ふるさと納税の返礼品は20万円ですが、一時所得の合計は60万円となり、10万円の1/2相当(5万円)が課税対象となります。

ふるさと納税の返礼品が少額だからといって、油断はできません。

ふるさと納税の返礼品以外の所得も考慮しないといけないため、このパターンの人は注意が必要と言えるでしょう。
 

ふるさと納税の返礼品の価格は?

一時所得の対象となるのは、ふるさと納税により寄付をした金額ではなく、ふるさと納税の返礼品に対してです。

では、ふるさと納税の返礼品の価格はどうやって確認するのでしょうか。

自治体からは返礼品の価格についてのお知らせなどはありませんので、通常は返礼品を取り扱っている業者の商品サイトやふるさと納税に関する関連サイトなどで確認することになります。

一般的には、ふるさと納税により寄付をした金額の3割相当程度が返礼品の価格になっていることが多いようですので、ご参考にしていただければと思います。
 

まとめ

趣味程度でふるさと納税を楽しんでいる人は、それほど税金のことは考えなくて良いでしょう。

一方で、年間で50万円を超えるような多額のふるさと納税の返礼品を受け取っている人は、税金のことを頭に入れておいたほうが良いと言えます。

また、ふるさと納税自体はそれほどでなくても、ほかに競馬の配当金などの所得がある人についても、税金のことを頭に入れておく必要があります。

こういった人たちは、確定申告をする必要がありますので、お忘れなきようにしていただければと思います。

本記事の執筆者:
アタックス税理士法人 税理士  長沢健史
2001年 法政大学卒。主に中堅企業から上場企業に対する税務顧問、税務コンサルティング業務に従事。企業再生支援業務等にも携わる。組織再編、連結納税等の手法を利用したタックスプランニング、資本政策の策定に強みを持つ。

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