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わかりにくい税金のもやもやをスッキリ解説!

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不動産を取得等した場合に課せられる税金

投稿日:2023年10月16日 更新日:

個人が不動産を取得等した場合に納めなければならない税金は、不動産所得税や固定資産税等さまざまな税金が発生します。どのような税金があるのか?それぞれの税金について内容を整理していきたいと思います。


 

1.不動産取得税

都道府県が、不動産を取得(家屋の価値が増加する改築を含む)した個人及び法人に納税義務を課す税金となります。

・課税標準は不動産の価格になります。固定資産課税台帳に登録されている不動産の場合、その登録価格です。増築・改築の場合には、その増築・改築により増加した価格が課税標準となります。

・標準税率は、原則として以下の通りです。

・4/100(4%)
・住宅・土地の場合は3/100(3%)

・住宅や宅地等については、特例があります。
 主な特例として、以下があります。

家屋の特例として、床面積が50㎡以上(戸建て以外の賃貸住宅は40㎡以上)以上240㎡以下の新築住宅には、1戸につき1,200万円を課税標準から控除できる特例が設けられています。
既存住宅の場合にも、①個人の自己居住用、②住宅の床面積が50㎡以上240㎡以下などの要件を満たせば、課税標準の特例(控除額は、新築時期に応じて100万円~1,200万円)を受けることができます。
また、土地の特例として、宅地には、課税標準を1/2とする特例が設けられています。

 

2.固定資産税

市町村が、1月1日の固定資産(土地、家屋、償却資産)の所有者(土地登記簿等記載者又は固定資産課税台帳登録者)に納税義務を課す税金となります。固定資産を所有していれば、毎年、固定資産税が課されます。

・課税標準は、固定資産課税台帳に登録されている価格になります。この価格は、原則として基準年度に決定されたものが、3年間据え置かれます。

・標準税率は、以下の通りです。

・1.4/100(1.4%)
・都市計画税(制限税率0.3%)を含むと1.7/100(1.7%)

・住宅用地や新築住宅については、特例があります。主な特例として、以下があります。

200㎡以下の住宅用地(小規模住宅用地)に対して課す固定資産税の課税標準は、課税標準となるべき価格の1/6とされます。なお、200㎡超の住宅用地の場合には、200㎡までが1/6、200㎡超の部分は1/3です(都市計画税は、それぞれ2倍の割合(1/3と2/3)の課税標準となります。)。
また、新築住宅に対する税額控除の特例として、新築住宅(120㎡相当まで)の税額の1/2が減額される特例があります。適用年分は3年(3階以上の耐火建築物等は5年)です。主な適用要件は、床面積が50㎡以上(戸建て以外の賃貸住宅は40㎡以上)280㎡以下というものです。

 

3.印紙税

国が、課税文書の作成に対して課す税金となります。
全ての文書に対して課されるのではなく、印紙税法で定められた課税文書の作成に対してのみに課されます。

・印紙税の納税義務者は、文書の作成者です。2人以上の者が共同して作成した場合には、それらの者が連帯して納税義務を負います。

・例えば、不動産の売買契約書の場合には、記載された契約金額に応じて、第1号文書として以下の印紙税が課せられます。なお、平成26年4月1日から令和6年3月31日までの間に作成されるものは、軽減措置の対象となる契約書となっています。

契約金額 本則税率 軽減税率
10万円を超え 50万円以下のもの 400円 200円
50万円を超え 100万円以下のもの 1千円 500円
100万円を超え 500万円以下のもの 2千円 1千円
500万円を超え1千万円以下のもの 1万円 5千円
1千万円を超え5千万円以下のもの 2万円 1万円
5千万円を超え 1億円以下のもの 6万円 3万円
1億円を超え 5億円以下のもの 10万円 6万円
5億円を超え 10億円以下のもの 20万円 16万円
10億円を超え 50億円以下のもの 40万円 32万円
50億円を超えるもの 60万円 48万円

(注) 不動産の譲渡に関する契約書のうち、その契約書に記載された契約金額が10万円以下のもの(契約金額の記載のないものを含みます。)は、軽減措置の対象となりません(税率200円)。また、契約書に記載された契約金額が1万円未満のものは非課税となります。
 

4.登録免許税

・登録免許税は、登記、登録、免許、許可等を受ける際に課される税金です。税を課すのは国になります。

・納税義務者は、登記を受ける者となります。複数の者が共同で登記を受ける場合には、これらの者が連帯して納税義務を負います。

・課税標準は、登記の種類によって異なります。不動産の場合、不動産の価額(時価)となり、登録価格がある不動産については、その登録価格が課税標準です。

・税率は、下記の通り登記の種類によって異なります。

所有権移転登記の場合、
・相続・合併、共有物分割は4/1,000
・その他は20/1,000
土地の売買について令和8年3月31日までの売買による移転登記は、15/1,000

・居住用家屋に係る所有権移転登記等には、税率の軽減措置があります。
例えば、建物の売買による所有権移転登記の税率は、20/1,000ですが、この軽減措置が適用されると、3/1,000になります。要件として、取得者が個人であり、取得者の自己居住用であること、床面積が50㎡以上であること、新築後または取得後1年以内に登記を受けること、売買または競落による取得に限ること、などがあります。
 

5.消費税

消費税は、モノやサービスの対価に課せられる税金です。不動産を取得した場合には、建物部分については、新築、中古にかかわらず、10%の消費税が課せられます。土地部分については価値が落ちないという前提に立っており、消費ではないということで消費税は課されません。
 

6.贈与税、相続税

時価よりも低い金額あるいは無償で、個人が不動産を譲り受けた場合には、贈与税が課せられることがあります。また、不動産を相続により取得した個人には、相続税が課せられることがあります。
 
 

以上のように、不動産の取得等は、個人にとって高額な支出になりますが、別途、さまざまな税金が課せられます。

一方で、個人が住宅ローン等を利用して、マイホームの新築、取得または増改築等した場合で、一定の要件を満たせば、住宅ローン減税として借入金の年末残高の合計額等を基として計算した金額を、所得税額から控除できる制度もあります。

不動産の取得等を検討する際には、事前にどのような税金が課せられるのか、優遇される制度がないのかを理解した上で、進めていくことが望ましいです。

 
 

本記事の執筆者:
アタックス税理士法人 税理士・CFP 松岡 聡
1998年 三重大学卒。中小企業から上場企業まで幅広い法人顧客を担当。顧客のあらゆる経営課題に対応すべく、資産税や組織再編などの特殊税務に関する支援にも携わる。

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