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メルカリで確定申告が必要となる、よくある3つのケース

投稿日:2019年5月10日 更新日:

「メルカリ」は2013年7月よりサービスを開始した大手フリマアプリで、日本では7,100万ダウンロードを突破(2018年3月調べ)しています。
一度は使ってみたい方も多いのではないでしょうか。

家の中を見渡すと売れそうな物がありそう。
売れたら嬉しいけれど収入はそのまま懐に入れて良いの?
そのあとの税金の取り扱いはどうなるの?確定申告しなきゃダメ?

今回はそういった個人の売買の、確定申告についての疑問を頻出ケース別にご紹介します。
 
メルカリ
 
 

まずは確定申告の要・不要を押さえよう

まずは、確定申告が不要な場合と必要な場合をまとめますと、以下になります。

不要な場合

・生活用動産の販売(本、ゲーム、DVD、古着、子供服など通常生活する中で使用するもの)

必要な場合

・生活用動産の販売であって、営利目的で得た利益(事業所得)
・貴金属や宝石、書画骨董などで1個または1組の価額が30万円を超えるもの(譲渡所得)
・給与以外の副収入による所得が年間20万円を超える場合

ここでいう所得とは、手元に入った収入金額(入金金額)から、取得にかかった経費などを差し引いて残った金額のことをいいます。
 

確定申告が「不要な場合」の具体例

確定申告が不要である「生活用動産の販売」とは、次のような例です。

使わなくなった服の売却

ご自宅にある、小さくなったお子様の服や着なくなった服。
捨てるには勿体ないなあ、と感じたときにメルカリで売ってみたいという気持ちになりがちです。

実際、メルカリで取引の多いブランドはユニクロ・アディダス・ナイキ・子供服のミキハウスのようです。

こうした生活で使う物品の売却については非課税であると所得税法で明記されています。
正式には「生活用動産の譲渡による所得」が非課税所得となります。
つまり、これら生活で使う物品を売却しても申告は必要ありません。
 
メルカリ
 
 

「なるほど、じゃあ家にあるものを売るなら確定申告はいらないね」
と思った方、この規定には例外があります。

税法で言う「生活用動産」とは、衣服、家具、通勤用の自家用車などです。
裏を返せば、生活に通常必要でないものを売却した場合には、例外として課税される可能性があるということです。
 

確定申告が「必要な場合」の具体例(3つのケース)

ここからは、その例外について、ケース1~3でご紹介します。
 

【ケース1】コレクター品の売却

自分では要らないと思っていても他人には価値のあるものもあります。
コレクター品やレトロ品などは希少なものですと、とんでもない高値で売れることもあります。

名盤や廃盤のレコードは数万円になるものもあります。
これらは「生活に通常必要でない動産の譲渡」にあたりますので、課税の対象となります。

例えば、2,000円で購入したレコードが2万円で売れたとします。
メルカリでは販売手数料10%が差し引かれますので入金金額は18,000円。送料に340円かかった場合には、

入金金額18,000円-取得費2,000円-送料(費用)340円=手残り15,660円

が所得となります。
なお、費用にはその取引に要したインターネット代も厳密には算入することができます。

このようなレコードを10枚まとめて売ったり、年に数回売ったりした場合には、年間で20万円を超えてくるかもしれません。
その場合には、確定申告が必要です。

もしくは、営利目的で反復継続的に売買をしている場合には、事業所得として確定申告が必要になります。
 
レコードコレクター
 
 

【ケース2】非売品の売却

参加者限定のイベントなどで無料配布されたCDやレアアイテムなどが家に眠っていて、使わず新品の状態で売ってしまいたい、と思う方もいらっしゃると思います。

無料配布されていますので、取得費は0円?と思いがちですが、取得するにあたって旅費交通費などの経費が掛かっている場合があります。
この場合は、入金金額から諸経費を引いて所得を計算することになります。

こちらもケース1と同様、その所得が年間で20万円を超えたり、営利目的で反復継続的に売買している場合は、確定申告が必要となります。
 

【ケース3】ダイヤモンドの売却

メルカリでは300円~999万9,999円までの商品が出品可能です。
メルカリ史上最高額の取引はダイヤモンド315万円です(2018年3月時点)。

うちにも売れるダイヤモンドがあるという方、こちらは「1個又は1組の価額が30万円を超える宝石・貴金属・書画・美術工芸品」が生活用動産の例外とされているため、課税の対象となります。

ケース1・2では「所得(手残り)」で判断されましたが、ケース3は資産の「価額」が30万円を超えると規定されているため、売却単価(1個又は1組の価額)が30万円を超えた場合には確定申告が必要です。

このケースでも、所得を計算する場合には、売却金額からメルカリでの販売手数料、取得費、譲渡費用(鑑定料)などを差し引く計算式になります。
 

確定申告が必要でも、税金はかからない場合が多い!

以上、ケース1~3を記載しましたが、
確定申告では、最終的に、算出した所得に対して50万円の特別控除額が与えられています。
つまり、所得金額を計算した上で50万円以上の所得がなければ税金はかからないことになります。

また、取得してから5年が経過したものを売却した場合には、長期譲渡所得にあたり所得金額に2分の1をかけてから50万円の特別控除が受けられます。つまり100万円までは税金がかからないことになります。

以上のことから、メルカリを使って不用品を売却した場合、課税されるケースの方が少ないと言えるかもしれません。
 
 
※メルカリの確定申告のことをもっと知りたい方は、メルカリで利益が出たら確定申告は? もお読みください。
 
 

本記事の執筆者:
アタックス税理士法人 岡本 怜実
明治大学卒。三菱東京UFJ銀行勤務を経て、2017年アタックス税理士法人に入社。
主に中堅中小企業の月次監査、申告書、決算報告書作成業務に従事する。

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