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「住宅取得等資金の非課税の特例」を検討する際の留意事項!

投稿日:2021年11月11日 更新日:

マイホームを購入する際、両親から購入資金の補助を受ける人も多いと思います。
しかし、何も考えずに両親からの補助を受けてしまうと、当初予期していなかった高額な贈与税が課税されてしまう可能性があります。

ただし、一定の要件を満たす場合には、この贈与税が非課税となる『住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例』という制度があります。
そこで今回は、この制度を利用するにあたっての留意事項を解説します。


 

制度の概要

制度の流れは以下の通りとなります。

  • 父母や祖父母などのいわゆる直系尊属から、住宅の取得や増改築等をするために、20歳以上の子や孫が資金の贈与を受ける。
  • その贈与を受けた年の翌年の3月15日までに、その贈与を受けた資金で、その子や孫自身が居住する家屋を新築もしくは取得、またはその増改築等を行う。
  • その家屋に、贈与を受けた年の翌年の3月15日までに、その子や孫が実際に居住する。(なお、贈与を受けた年の翌年の3月15日後遅滞なく居住することが確実であると見込まれる場合は適用可能。)
  • その贈与を受けた資金のうち、一定金額(非課税限度額※)は贈与税が非課税となる

※非課税限度額については、次項で説明します。
 

一定金額(非課税限度額)とは?

その子や孫ごとの非課税限度額は、次のイまたはロの表のとおり、非課税の特例の適用を受けようとする家屋の、新築・取得等の「契約の締結日」に応じた金額となります。

また、省エネ等住宅とそれ以外では金額が異なります。

イ.下記ロ以外の場合

住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日 省エネ等住宅※ 左記以外の住宅
~平成27年12月31日 1,500万円 1,000万円
平成28年1月1日~令和2年3月31日 1,200万円 700万円
令和2年4月1日~令和3年12月31日 1,000万円 500万円

ロ.新築等に係る対価等の額に含まれる消費税等の税率が10%である場合

住宅用家屋の新築等に係る契約の締結日 省エネ等住宅※ 左記以外の住宅
平成31年4月1日~令和2年3月31日 3,000万円 2,500万円
令和2年4月1日~令和3年12月31日 1,500万円 1,000万円

※「省エネ等住宅」とは、省エネ等基準( 断熱等性能等級4若しくは一次エネルギー消費量等級4以上であること、 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上若しくは免震建築物であること又は 高齢者等配慮対策等級(専用部分)3以上であること)に適合する住宅用の家屋であることにつき、一定の証明書などを贈与税の申告書に添付することにより証明されたものをいいます。
 

住宅取得等資金の贈与の特例を適用する際の留意事項

ここで、住宅取得等資金の贈与の特例に関して、よくある勘違いや間違えやすいポイントを記載しておきます。

【留意事項1】住宅取得のための贈与でなければ適用無し!義理の両親からの贈与は対象外!

例えば、夫婦で住宅を新築する場合、建物は夫の名義、土地は妻の名義とするケースがあると思います。

この場合、妻がその両親から資金提供を受けていたとしても、妻が取得したのは土地のみで家屋を取得していないため、両親から贈与を受けた資金に対してこの特例の適用はできません。

また、上記の場合で妻の両親が、義理の息子である夫に資金提供をした場合についても、夫は住宅を取得していますが、直系尊属からの贈与ではないので、この制度の適用はできません。
 

【留意事項2】受贈者の合計所得金額が2000万円を超えてしまった場合は適用無し!

この特例では、受贈者の要件に「贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下(家屋の床面積が40㎡以上50㎡未満の場合は1,000万円以下)」というものがあります。

例えば、贈与を受ける子の、その贈与を受ける年の合計所得金額が2000万円超である場合には、この特例の適用はできません。

この合計所得金額には、給与所得だけではなく譲渡所得などの所得も含まれるため、留意が必要です。

贈与を受ける年にたまたま株式や不動産を譲渡して、所得金額が超えてしまわないように留意しましょう。
 

【留意事項3】住宅取得等の後に資金の贈与を受けてはいけない!

例えば、住宅取得等の後に、両親から資金の贈与を受けてしまった場合は、住宅取得等のための資金の贈与ではなく、住宅ローンの返済のための資金の贈与とみられてしまうため、この特例の適用はできません。


 

【留意事項4】贈与税がゼロ円でも申告が必要!

贈与税がゼロ円であれば申告しなくて良いと勘違いされる方が多くいらっしゃいますが、この非課税の特例は、申告期限内に贈与税の申告を行うことが適用要件となります。

この特例の適用を受けるためには、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日までの間に申告する必要があります。

申告期限に1日でも遅れてしまった場合は、この特例の適用はできません。
 

【留意事項5】適用を受けるための期限に気を付ける!

前述したとおり、「住宅取得等資金の贈与を受けた年の翌年3月15日までにその家屋に居住すること、または、同日後遅滞なくその家屋に居住することが確実であると見込まれること」が要件となっています。

実際の居住時期が遅れてしまうと、この特例の適用を受けることができません。
万が一、贈与を受けた年の翌年12月31日になってもその家屋に居住していないときは、修正申告が必要となります。

令和3年中の贈与の場合の各種期限をまとめると以下の通りとなります。

①贈与の期限 令和3年12月31日
②新築・取得等の契約締結期限 令和3年12月31日
③住宅の新築・取得等の期限 令和4年3月15日
④入居期限 令和4年3月15日
(居住が見込まれる場合は令和4年12月31日)

(注)②について補足となりますが、現行では令和3年12月31日までに住宅取得等資金の贈与を受け、かつ、その資金の全額を充てて住宅の新築、取得又は増改築等に係る契約を締結していることが要件の一つとなります。
なお、資金の贈与と契約締結の順番は問いません。

 
 

今回は、住宅取得等資金の贈与の特例を適用する際の留意事項を5つ紹介しましたが、この他にも留意事項は多数存在します。

判断や手続きに誤りがありこの特例の適用がされなかった場合、発生する贈与税は高額となりますので、細心の注意を払う必要があります。

参考:国税庁HP No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税

 

本記事の執筆者:
アタックス税理士法人 税理士 川本 洋平
2005年 南山大学卒。税理士法人勤務を経て、2011年アタックス税理士法人入社。中堅中小企業の税務業務のほか、組織再編、資本政策、相続対策など法人及び個人の様々な支援業務に従事している。

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