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災害などにより被害をうけたら、税金の軽減はあるの?

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2022年は大型台風や記録的大雨などの水害や地震などの自然災害により、自宅や家財などに損害を受けた方も多いと思います。
被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。

災害などで被害を受けた場合、所得税の全部又は一部の軽減を受けることができますので、今回はそのポイントを解説します。
 

災害等にあったときの所得税の軽減措置とは?

台風などの災害により住宅や家財に損害を受けた場合には、確定申告により、

雑損控除:所得金額から控除されるもの
災害減免法:所得税が軽減免除されるもの

のどちらか有利な方法で所得税の軽減措置を受けることができます。
 

雑損控除とは

個人が、震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象、火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害や、盗難・横領などにより被害を受けた場合に、一定の金額の所得控除を受けることができます。
これを雑損控除といいます。
 

1.対象となる資産の要件は

① 対象者

損害を受けた資産の所有者が「納税者」または「納税者と同居等をしている配偶者や親族で、総所得は48万円以下の方」の場合に限ります。

従って、同居の家族については、大きく収入がある場合は適用できないことになります。
 

② 対象資産

生活に必要である資産」となります。

従って、個人で事業をしている人の事業用資産や、書画、骨董品、貴金属(30万円を超えるもの)、別荘などの趣味や娯楽的な資産は対象外となります。

あくまでも、日常生活の中での必要なものが対象となります。
 

2.雑損控除の計算

社会保険料控除や生命保険料控除、ふるさと納税と同様に、給与所得などから、下記①②のいずれか多い金額が控除されます。

なお、控除額のうち、所得金額から控除しきれない金額がある場合は、翌年以後3年間に繰り越して控除することができます。大きな被害を受けた場合には、とても有利な制度です
 

① 損失額-所得金額×10%

損失額は、損害金額から受け取った保険金を控除した金額です。

損害金額とは、原則として、災害により被害を受けた住宅や家財等の、その損失の生じた時の直前におけるその資産の価額を基として計算します。
 

② 損失額のうち「災害関連支出」金額-5万円

「災害関連支出」とは、家財などを取壊しまたは除去するために支出した金額や、盗難や横領により損害を受けた資産の原状回復のための支出などです。
 

3.雑損控除の手続き

確定申告書に雑損控除に関する事項を記載するとともに、災害等に関連したやむを得ない支出の金額の領収を証する書類を添付することになっています。

火災や盗難は被害証明書がありますが、自然災害は保険請求などの書類になります。

災害関連支出については、領収書も必要になります。

損失額を繰り越すには、損失発生年以後、連続して確定申告書を提出することが必要となります。
 

災害減免法とは

災害減免法は、災害で受けた損失額(保険金等を受けた金額を控除後)が住宅又は家財の時価の2分の1以上で、災害にあった年の所得金額が1,000万円未満の場合に受けることができます(雑損控除といずれかの選択)。

従って、給与などの所得金額が1,000万円を超える場合には、この適用は受けることができません
また、災害だけですので、盗難・横領には適用されませんので、注意してください。
 

1. 災害減免法による所得税の軽減免除額

所得税の軽減免除額は、以下の区分により金額が定められています

区分 金額
所得金額の合計額が500万円以下の場合 所得税の額の全額
所得税の合計額が500万円を超え750万円以下の場合 所得税の額の2分の1
所得税の合計額が750万円を超え1,000万円以下の場合 所得税の額の4分の1

 

2.災害減免法の手続き

確定申告書等に適用を受ける旨、被害の状況および損害金額を記載(損失明細書)して、納税地の所轄税務署長に確定申告書等を提出することが必要です。

◇ ◇ ◇

災害の場合には、「雑損控除」と「災害減免法」のいずれかが適用できますので、被害の状況や給与などの所得等を総合的に勘案して有利な方法を選択するようにしてください。

 

本記事の執筆者:
アタックス税理士法人 社員 税理士 永持 祐司
税務顧問から個人資産家や法人オーナーの資産税業務を含めた財産コンサルティングに従事。組織再編を活用した事業承継、財産承継コンサルティングの業務を中心にプロジェクトマネージャーとして活躍中。現在、国際部副部長。

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