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遺産相続にかかる税金

投稿日:2020年9月10日 更新日:

人が亡くなったら「相続税」がかかります(かからない場合もあります)。
「相続税」とはどのような税金なのでしょうか。


 

相続税とは

人が死亡すると、その人が所有していた財産、債務を誰かが引き継ぐこととなります。
これを「相続」と言います。

また、引き継いだ人は財産を取得することになりますが、その財産に対して課税されるのが「相続税」です。

相続は、亡くなった人が築いた財産を再分配することになり、分配を受けた人は一種の不労所得を得た形になります。

相続税は、税金という形で社会に一部を還元することにより、分配を受けていない人との格差を是正するという考え方に基づいています。
 

被相続人・相続人とは?誰が該当する?

亡くなって誰かに財産を託す人を「被相続人」と言います。
簡単に言えば、故人が「被相続人」です。

その故人の財産を引き継ぐ人を「相続人」と言います。
相続人は税法ではなく民法で定められており、正式には「法定相続人」と呼ばれます。

「法定相続人」の範囲は配偶者、子(胎児も該当)、父母・兄弟姉妹です。
子が既に亡くなっている場合は孫が相続人になり、父母が亡くなっている場合は祖父母が相続人です。

配偶者はどんな場合でも相続人です(内縁のもの、離婚した場合を除く)。

なお、配偶者以外で相続人になれる人には以下の順位があり、第一順位の子が相続人になると、第二順位以下は相続人になりません。同様に、第二順位がいれば第三順位は相続人になりません。
 

順位 個人との関係 備考
必ず相続人になる 配偶者 内縁のもの、離婚した場合を除く。
第一順位 直系卑属(子、養子) 子が亡くなっている場合は孫。
(例)A・Bの子がいてAが亡くなっている場合は、Aの子(故人から見ると孫)とBが直系卑属。
第二順位 直系尊属(父母) 父が亡くなっている場合は母のみ。母が亡くなっている場合は父のみ。父母とも亡くなっている場合は祖父母。
第三順位 傍系血族(兄弟姉妹)

 

相続人毎にどのくらいの財産を相続できるか

相続人が複数人の場合は、財産や債務を相続人の間で分けなければなりません。

「法定相続分」という言葉が存在し、その割合は相続人毎に以下のような一定値が定められています。

法定相続分

以下が法定相続人の場合 法定相続分 備考
①配偶者と子供 配偶者2分の1
子供2分の1
子が複数人の場合には、2分の1を子の人数で均等に分けた割合が、それぞれが取得できる割合となります。
また、子が既に亡くなっており孫が存命の場合には孫が子の割合分を取得することができます。
②配偶者と父母 配偶者3分の2
父母3分の1
父母が両方存命の場合には、3分の1を父母で均等に分けた割合が、それぞれが取得できる割合となります。(1人だけ存命の場合は1人で3分の1)
③配偶者と兄弟姉妹 配偶者4分の3
兄弟姉妹4分の1
兄弟姉妹が複数人の場合には、4分の1を兄弟姉妹の人数で均等に分けた割合が、それぞれが取得できる割合となります。

 

遺言書があると?

ただし、法定相続分にかかわらず、遺言書があればその内容が優先されます

一方、遺言書によって相続財産が全くない相続人が出てこないように、「遺留分」を請求できる仕組みも設けられています(兄弟姉妹は請求できません)。

(参考)遺留分とは?
遺留分とは、相続人に法律で保障された最低限の相続分のことです。
遺言書に不満がある場合、直系尊属(父母)は「法定相続分×1/3」、それ以外は「法定相続分×1/2」を遺留分として請求することができます。
兄弟姉妹は遺留分を請求することはできません。

 

また、相続人全員の合意があれば、遺言書や法定相続分に関係なく、「分割協議」を行って自由に財産を分けることもできます


 

相続税の計算方法

相続税の計算には大まかに以下の①~⑤の段階があります。

①課税対象である財産の価格を算出

個々の財産を評価し合計します。
(この際に、故人が負っていた債務や葬式費用などを控除します。)

②課税標準額を算出

①から次の「基礎控除額」を差し引きます。
差し引いた残りを「課税標準額」といいます。

基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の総数)
(例)法定相続人が妻と子供3人 ⇒ 3,000万円+600万円×4=5,400万円

③相続税の総額を算出

②を法定相続割合で分けたと仮定した金額から、各人の相続税を計算し、それらを合計し「相続税の総額」を算出します。

相続税の税率は以下を参照してください。 

法定相続分に応ずる取得財産金額 税率 控除額
1,000万円以下 10%
3,000万円以下 15% 50万円
5,000万円以下 20% 200万円
1億円以下 30% 700万円
2億円以下 40% 1,700万円
3億円以下 45% 2,700万円
6億円以下 50% 4,200万円
6億円超 55% 7,200万円

④各相続人の相続税額を算出

③の計算過程で計算した各人の相続税は、法定相続割合で分けたと仮定した場合の金額ですので、
ここで改めて、各相続人の実際の財産取得割合に応じて、③を按分します。

⑤各相続人の納付税額を算出

相続人によっては、④で按分された相続税から、さらに税額控除できる相続人もいます。

たとえば、配偶者は「配偶者の法定相続分相当額」と「1億6,000万円」とのいずれか大きい金額までが無税という措置が取られています。

こうした場合は、算出された相続税額から税額控除を差し引き納付税額を計算することになります。

(参考)国税庁HP「相続税の計算と税額控除
 

最後に

国税庁の発表により平成30事務年度においては、相続税の無申告事案に対する実地調査が1,380件(前年対比 113.5%)実施されたそうです。

平成27年以後に基礎控除額が引き下げられたこともあり、申告義務が発生する可能性が以前よりも増えました。

申告漏れ等が税務署の指摘により発覚すると余分な追加の税金を払わなくてはいけなくなり、故人が残してくれた大切な財産が減ってしまいます。

そういうことにならないように、申告の義務があるかどうかだけでも一度専門家に相談してみてはいかがでしょうか。

 

本記事の執筆者
執筆:アタックス税理士法人 コンサルタント 中野 裕介
監修:アタックス税理士法人 税理士 三井 智

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