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副業の確定申告「年間20万円までなら不要」の注意点!

投稿日:2019年6月17日 更新日:

近年、ネットビジネスの普及・多様化により、誰でもネットを活用して手軽に収入を得られるようになりました。

手作りアクセサリーや自分の撮影した写真をネットで販売したり、動画を上げることでアクセス数を増やし、広告収入を得るYouTuberもその一つです。

収入が発生すれば、当然に確定申告を考える必要が出てきます。
知らなかったでは済まされず、場合によっては後で大きな金額を払わされることもあります。
また、確定申告をすることによって得をすることもあります。

今回は、このような副業に関する税金に関して、大事なポイントを簡単にお話しましょう。

副業の確定申告
 
 

確定申告をすべき基準

副業で収入を得始めた時に、一番気になるのは「確定申告をする必要があるか否か」ではないでしょうか。
よく言われる「年間20万円までなら確定申告は不要」という言葉も、正しく理解しないと判断を誤ります。

ポイントは2点です。

【1】
「年間20万円までなら確定申告は不要」という言葉は、「年末調整で税金計算が完了し、確定申告が不要な人」を前提としていますので、年収が2,000万円を超えていたり、医療費控除を受けるためなど、そもそも確定申告をする必要がある人は、副業から生ずる所得も確定申告が必要となります。

【2】
「年間20万円まで」というのは、収入ではなく「所得」であることに留意が必要です。
所得とは、簡単に言うと「利益」のことで、以下の算式で求められます。

 所得 = 収入 - 経費

売上である収入はイメージしやすいかと思いますが、経費に関しては、入れられるものとそうでないものがあり、留意が必要ですので、次でお話ししましょう。

 

経費の範囲

経費とは「収入を得るための支出」です。
先の算式からわかるように、経費が多ければ多いほど税金は安くなります。

そのため、何でも経費として認められるわけではありません。
また、どこまでが認められるのか迷うことが多く、税務的にも論点となる部分です。
 
経費として認められるには「収入を得るための必要性」と「収入との関連性」が必要です。

流行りのYouTuberで考えてみましょう。
動画をアップするのに、支出する経費をあげてみます。

・撮影用のカメラ
・編集用のPC
・撮影に使用した物品
・撮影場所に行く交通費
・インターネット料金等の通信費

これらは、すべて収入に対する必要性と関連性がある支出です。
ただし、全額を経費にできるわけではありません。
なぜなら、副業のYouTubeに100%使用する支出ではないからです。

カメラもPCも物品もネット利用もプライベート(副業収入を得るため以外)にも使用しますし、交通費も撮影のためだけに行くということは少なく、観光目的であったり、私的な要素は多いと思います。
 


 

私的部分と副業部分とに使用割合で按分し、副業に係る部分のみ経費とすることができます。
税務調査等があった場合には必ず確認されますので、証明できるように記録等を保存しておくことが望ましいでしょう。

また、PCもカメラも1年で使い切るわけではありません。
通常は3年~5年は使用します。
そうなると、金額にもよりますが、数年に分けて経費とする必要があります。

つまり、副業にのみ使用した部分で、その年に対応する支出だけが、税金計算対象の経費として認められます。
 

事業所得か雑所得か

さて、知らないと損する税金の話をさらに掘り下げてみましょう。

日本では、個人の所得にかかる税金は10種類に分けられています。
皆さんが一番身近な給与所得、個人事業をしている方は事業所得、不動産賃貸をしている方は不動産所得という具合です。

10種類のうち、他の9つの所得のどこにも属さなかった所得が雑所得に分類されますが、副業のほとんどは、まずは雑所得として申告されることが多いです。

ただ、それなりの金額で収入が安定してきたら、事業所得にできないかということを検討すべきです。

事業所得のメリット たとえば…

なぜならば、雑所得よりも事業所得の方が税務メリットが多いからです。
もちろん、税務メリットをとるための要件もあり、少し手間を必要とするデメリットもあります。

今回は詳細にお話できませんが、イメージしやすい税務メリットとしては、経費の他に追加で控除できる金額があったり、赤字の場合に給与所得等と相殺して税金を安くすることができます。

しかし、残念ながら、雑所得と事業所得は自由に選択できるものではありません。
一方で、区分基準が明確にされているわけでもないため、争点になることが多いです。

事業所得となる判断基準とは?

収入金額の大きさ、費やしている時間や労力、独立性や反復継続性といった事業性の有無等総合的に、個々の実態に即して判断することになります。

税金は複雑で難解です。
判断に迷う場合には、税理士に相談するか税務署に事前確認すると間違いないと思います。

今回は、副業の税金に関して、大事なポイントを簡単にお話させていただきました。
解禁の流れとともに手軽で身近になった副業ですが、正しい知識をもって、上手に稼いでいただければと思います。
 
 
※副業の確定申告のことをもっと知りたい方は、メルカリで利益が出たら確定申告は? もお読みください。
 
 

本記事の執筆者:
アタックス税理士法人 コンサルタント 宮田 香菜子
2003年 茨城大学卒。中小企業から上場企業まで幅広い法人の税務顧問業務を担当。また、組織再編や資産税などの特殊税務業務にも携わる。

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