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あなたの自宅に相続税はかかる?~自宅の評価方法

投稿日:2020年8月13日 更新日:

相続は誰にでも起きることです。
ただいつ起こるかは誰にも分かりません。
そこで今回は、相続が起きた場合の相続税の仕組みと、主な財産である自宅の評価方法についてお伝えします。


 

相続税の計算の仕組みは?

①相続税の仕組み

相続税は、「相続発生時に所有していた財産(現預金、自宅等)」と「相続開始前3年以内に贈与により渡していた財産(一部例外もあります)」の合計から債務などの金額を控除したものにかかります。

その金額から基礎控除額を控除し、その超える部分に対して、相続税が課税されます。

{((所有財産+一部の贈与財産)-債務等 )-基礎控除額 }× 税率=相続税

相続税が課税される場合、相続税の申告及び納税が必要となり、その申告期限は、被相続人の死亡したことを知った日の翌日から10か月以内となります。

②基礎控除とは

基礎控除の計算は、平成27年1月1日以後の場合は、

基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

と定められています。
 
例えば、子供2人の4人家族で父が亡くなった場合、法定相続人は3人(母と子供2人)ですので

基礎控除額=3,000万円+600万円×3人=4,800万円

となります。

つまり、財産から債務を控除した金額が、4,800万円を超える場合は相続税が発生し相続税を申告する必要があり、それ以下の場合は相続税が発生せず、相続税の申告も不要ということになります。


 

自宅の相続税評価額の計算方法は?

さて、現預金であれば金額が原則そのまま相続税評価額となるのですが、誰にとっても主な財産である自宅(土地と建物)はどう評価するのでしょうか?
土地と建物それぞれ確認していきたいと思います。

①建物の相続税評価額

建物の相続税評価額は、固定資産税評価額に1.0を乗じて計算します。
したがって、その評価額は固定資産税評価額と同じです。

固定資産税については「固定資産税のギモン~なぜ必要?税額はどう決められている?」を参照ください。

②土地の相続税評価額

土地の相続税評価には、大きく分けて「路線価方式」と「倍率方式」の2つの方法があります。
  

 路線価方式

「路線価方式」は、路線価が定められている地域の評価方法です。
「路線価」とは国税庁によって公表されるもので、路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額を千円単位で表示したものです。

「路線価方式」における土地の相続税評価額は、その土地の形状等に応じた「奥行価格補正率」などの各種補正率で「路線価」を補正した後に、その土地の面積を乗じて計算します。


【図出典:国税庁HP】

毎年7月1日にその年分の路線価が公表がされています。
(参考)国税庁HP「路線価図・評価倍率表」

なお路線価は、土地取引の指標となる「公示地価」の8割程度の価額と言われています。
 

 倍率方式

倍率方式は、路線価が定められていない地域の評価方法です。
倍率方式における土地の相続税評価額は、その土地の固定資産税評価額に一定の倍率を乗じて計算します。

一定の倍率についても国税庁のHPより確認することができます。
(参考)国税庁HP「路線価図・評価倍率表」
※地図から市区町村までを選択し、上部にあるリンク「この市区町村の評価倍率表を見る」をクリックする。


 

自宅評価の特例「小規模宅地等の特例」

自宅を相続したにも関わらず、相続税を納めることができず、自宅を売却して相続税の納税資金を確保せざるを得ないという状況を回避するため、自宅の土地評価については減額できる特例があります。

それを小規模宅地等の特例といいます。

一定の要件を満たす必要がありますが、小規模宅地等の特例の要件を満たした場合、330㎡(約100坪)までの土地については80%評価減することができます

例えば330㎡の土地で5,000万円の評価の土地であれば

5,000万円-5,000万円×80%=1,000万円

が相続税評価額となります。

「小規模宅地等の特例」の要件の例

なお「一定の要件」とは、財産を取得する人によって異なっており、例えば以下のようなものがあります。

  • 配偶者であれば、無条件で適用が可能となります。
  • 子供であれば、亡くなった方と同居しており、申告期限まで引き続き売却せずに住み続ける等の要件となります。

上記以外のケースでも適用できる場合がありますので、詳細は国税庁HP等でご確認下さい。
(参考)国税庁HP「相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」
 

「小規模宅地等の特例」を使う際の注意点

その他注意すべき点は、この「小規模宅地等の特例」を使うには、相続税の申告が必要ということです。

つまり、小規模宅地等の特例(80%評価減)を使った後の「財産-債務」が基礎控除以下であったとしても「申告」が必要なのです。
税金が0円だからといって忘れてはいけません。

なお、今回は触れていませんが、配偶者の税額軽減(配偶者が取得した財産が1億6,000万円又は法定相続分のいずれか多い金額までは相続税がかからない特例)についても、適用したい場合は相続税の申告が必要です。

これらの特例を使いたい場合は、申告漏れとならないよう注意しましょう。

 
 

本記事の執筆者:
アタックス税理士法人 税理士  武田太一
2000年 名古屋市立大学卒。税務顧問、財産顧問業務を中心に現在約60社のクライアントを担当。税金だけでなく経営の視点からも問題解決を図っている。

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