スッキリ解決!税のもやもや

わかりにくい税金のもやもやをスッキリ解説!

未分類

2022年1月から住宅ローン控除が変わりました!~これからマイホームを買う人、必見! 

投稿日:

マイホームを購入する場合には、住宅ローン控除という減税制度を受けることができます。

住宅ローン控除とは、より多くの人がマイホームを取得できるよう、銀行から住宅ローンを借りた際の金利負担を軽減するために設けられた制度で、多くの人が活用しています。

広く活用されてきたこの制度ですが、2022年1月から制度の概要や適用を受けられる要件などの変更が行われましたので、これからマイホームの購入を検討する人は、ぜひ変更点などをご確認ください。


 

1.そもそも住宅ローン控除とは?

はじめに、制度の概要を簡単に説明したいと思います。
(以下は、2022年1月からの変更を反映済みの内容です。)

住宅ローン控除を利用することで、住宅ローンの年末残高に対して0.7%の減税を受けることができます

減税を受けることができる期間は13年間とされています。

減税の対象は所得税と住民税で、はじめに所得税から控除されますが、所得税から引ききれない分があれば残りを住民税から控除する仕組みになっています。

少し分かりづらいと思いますので、金額を当てはめてみたいと思います。

【例】
・住宅ローンの年末残高3,000万円
・年間の所得税20万円
・年間の住民税10万円

上記の場合、減税額は21万円(3,000万円×0.7%)になります。
まず、所得税から20万円を、残りの1万円を住民税から控除することができます。
そうすると、所得税はゼロ、住民税は9万円に減税されるというイメージです。

 

2.住宅ローン控除を受けられる要件は?

制度を受けるためには、いくつか要件を満たす必要がありますが、具体的には以下の通りです。

(1)住宅ローンの期間が10年以上あること

住宅ローンの期間が10年以上ない場合には、そもそもこの制度を利用することはできません。

(2)自分自身が住んでいること

対象の家屋に自分自身が住んでいることが条件になります。
そのため、投資用マンションなどは制度の対象外ですし、家屋の取得がない土地のみの取得であるような場合も制度の対象にはなりません。

(3)床面積が50㎡以上であること

家屋の床面積が50㎡以上であることが条件になります。(※下記4-(3)の例外有り)
マンションなどの場合は、専有部分の床面積で判定し、エントランスなどの共用部分の面積は判定に含みません。

(4)居住用割合が50%以上であること

基本的には自宅が対象となりますが、自営業などを営んでおり居住用部分と事業用部分が混在する家屋であるような場合には、居住用割合が50%以上であることが条件になります。

(5)年間の所得金額が2,000万円以下であること

制度を受ける人の年間の所得金額が2,000万円以下であることが条件になります。
そのため2,000万円を超えている場合には、この制度を利用することはできません。

この判定は年ごとに行いますので、2,000万円を超えていない年については制度を利用することができます。
 

3.住宅ローン控除を受けるための手続きは?

住宅ローン控除を受ける最初の年は、ご自身で確定申告が必要になります。
2年目以降は年末調整により減税を受けることができます。
 

4.2022年1月からの住宅ローン控除の変更点

最後に、上記内容を含め、2022年1月からの住宅ローン控除が従来とどう変わったのか、説明したいと思います。
(1)と(2)はすでに前述の通りですが、従来との比較で改めて解説します。

(1)減税率が住宅ローンの年末残高の1%から0.7%に

2021年までは減税率は住宅ローンの年末残高の1%でした。
ただ、低金利が続いているため、実際の金利負担より減税額のほうが大きくなってしまう、いわゆる逆ザヤ状態が問題視され、減税額が0.7%に引き下げられることなりました。

(2)所得金額の制限が3,000万円から2,000万円に

2021年までは年間の所得金額が3,000万円以下であれば、制度の適用を受けることができましたが、2022年からは所得金額が2,000万円以下に引き下げられました。

そのため、所得金額が2,000万円を超えている人は、2022年以降は制度の適用を受けることができなくなりました。

(3)所得金額が1,000万円以下であれば、床面積40㎡以上50㎡以下の住宅も対象に

制度の適用要件として、床面積が50㎡以上である必要がありますが、2022年からは年間の所得金額が1,000万円以下である場合には、40㎡以上50㎡以下の住宅についても制度の適用を受けることができるようになりました。

(4)住民税からの減税額が所得金額7%から5%に

所得税から引ききれなかった減税額は、住民税から控除することができますが、上限金額があります。
この上限金額が所得金額の7%(最大13.65万円)から所得金額の5%(最大9.75万円)に引き下げられました。

(5)控除の対象となるローン残高の上限金額が変更に

従来から、住宅の種類により、控除の対象となるローン残高の上限金額は異なっていましたが、2022年から以下の表のようにさらに細かく区分されました。

 新築住宅の場合

住宅の種類 居住年 対象となるローン残高の上限金額
認定住宅 2022年~2023年 5,000万円
2024年~2025年 4,500万円
ZEH水準省エネ住宅 2022年~2023年 4,500万円
2024年~2025年 3,500万円
省エネ基準適合住宅 2022年~2023年 4,000万円
2024年~2025年 3,000万円
上記以外の住宅 2022年~2023年 3,000万円
2024年~2025年 2,000万円

認定住宅、ZEH水準省エネ住宅、省エネ基準適合住宅など、聞きなれない言葉が出てきますが、これらは簡単に言うと環境に優しい住宅のことを言います。

環境に優しい住宅の取得については、減税幅も大きくなるような仕組みになっています。

 中古住宅の場合

住宅の種類 居住年 対象となるローン残高の上限金額
認定住宅など 2022年~2025年 3,000万円
上記外の住宅 2022年~2025年 2,000万円

 

まとめ

これまで説明してきた通り、2022年から住宅ローン控除の制度の概要や要件などが大きく変更となっています。

これからマイホームの購入を検討されている方は、変更点を踏まえた住宅ローン控除のメリットなどをしっかり確認し、ご自身の状況にあった家選びをしていただければと思います。
 
 

本記事の執筆者:
アタックス税理士法人 税理士  長沢健史
2001年 法政大学卒。主に中堅企業から上場企業に対する税務顧問、税務コンサルティング業務に従事。企業再生支援業務等にも携わる。組織再編、連結納税等の手法を利用したタックスプランニング、資本政策の策定に強みを持つ。

-未分類
-, , , , , , ,

執筆者:

関連記事

令和5年度税制改正大綱~相続・暦年贈与65年ぶりの改正~

自民党と公明党は2022年12月16日、「令和5年度税制改正大綱」を決定しました。 その中に「資産移転の時期の選択により中立的な税制の構築」と題した項目が設けられています。この言葉が意味するのは、生前 …

スマホによるe-Taxでの確定申告方法

令和2年分の確定申告では、東京国税局管内で所得税等を申告した609万3千人のうち、e-Tax(申告書等を電子データの形式でインターネットを通じて提出する方法)を利用した人は、235万5千人(対前年比+ …

ふるさと納税の返礼品って課税対象なの!?

お肉、カニ、お米、ギフト券など、多くの人が返礼品を楽しみにしているふるさと納税。 タイトルをみて、「ふるさと納税の返礼品に税金なんてかかるの?」と思った方も多いと思います。 実は、ふるさと納税の返礼品 …

インボイス制度~個人事業主やフリーランス、副業にどう関係する?

令和5年10月から消費税の適格請求書等保存方式(インボイス制度)が導入されます。 インボイス制度では、取引先事業者からインボイスの発行を求められる可能性があり、これまで消費税の申告・納付を行う必要がな …

ペットに関わる税金事情

近年、コロナ禍もありペットを飼育する人が増えています。 飼い主からすると、家族同様の大切な存在です。 ところで、ペットを飼っている人は、ペットのご飯を買う時に消費税を何%支払っていると思いますか? 例 …