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在宅勤務の残業食事代は給与課税される?されない?

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長引くコロナウイルスより、在宅勤務が定着している企業も多いと思います。

工場や店舗販売などその場でしか業務ができない職種は、コロナ前と同様に毎日出社する必要があると思いますが、場所にとらわれない職種では、週1日の出社など職場に行く機会が少なくなっている人も多いのではないでしょうか。
 
そこで、今回は「在宅勤務にかかる残業食事代」について、給与課税関係を説明したいと思います。

会社から支給される残業食事代は給与所得にはならない

所得税などの計算のもとになる「給与所得」には、給料や賞与だけではなく、扶養手当や住宅手当などの様々な手当も含まれます。

そこで、残業食事代はどうなのか?ということですが、残業食事代は所得税法基本通達36-24で次のように定められています。

【所得税法基本通達36-24 課税しない経済的利益(残業又は宿日直をした者に支給する食事)】
使用者が、残業又は宿直若しくは日直をした者(その者の通常の勤務時間外における勤務としてこれらの勤務を行った者に限る。)に対し、これらの勤務をすることにより支給する食事については、課税しなくて差し支えない。

つまり、一定の要件のもと、残業時の「食事の支給」は給与課税されないことになっています。

また、食事自体の支給ではなく、残業食事代を社員が立替え後に精算した場合も、

従業員が自分で食事を購入するなどして事後的に実費精算した場合の残業食事代についても同様に給与として課税されない(税務通信3651号より抜粋)

と、「食事の支給」と同様の扱いがなされています。
 

在宅勤務だと残業食事代はどう扱われるのか?

それでは、在宅勤務での残業食事代はどう扱われているのでしょうか?

結論からいうと、この場合の残業食事代も同様に扱われます。

実費精算した場合の残業食事代の取扱いは、オフィス勤務であっても、在宅勤務であっても変わらない(税務通信3651号より抜粋)

つまり、「会社で食事」から「自宅で食事」となった場合でも、一定の要件を満たせば今まで通り給与課税はされないということです。

重要なのは、この「一定の要件」です。
 

在宅勤務の残業食事代が給与課税されない要件とは?

一定の要件とは、通達にある「通常の勤務時間外における勤務としてこれらの勤務を行った者に限る」の箇所です。

一般的に残業をする例として、

  • 会社で新規先と面談をして見積依頼をうけた。本日中に見積書を作成したい。残業になるので「会社で食事」を済ませてから取り掛かろう。
  • 出社し午後から外出した。得意先で打ち合わせ後、仕事が残っているので会社に戻る途中でコンビニ弁当を買い、「会社で食事」を済ませてもうひと業務を行った。

等々のケースが考えられますが、「会社で食事」をする場合は、「何時から何時が通常の勤務時間」で「勤務時間に勤務を行ったか」さらにその上で「勤務時間外の勤務を行った者」かどうか、誰がみてもハッキリしています。

在宅勤務の場合の問題点

一方、在宅勤務の場合、会社がどのような労務時間管理をしているかにもよりますが、通常の勤務時間と勤務時間外(残業)の線引きが曖昧になってしまう可能性があります。

晩御飯を食べた後「やっぱり仕事をしよう」と思い立って仕事を始めた場合、どこまでが勤務時間でどこからが勤務時間外でしょうか。
当然、アルコールが入っている場合は残業とはいえません。

つまり、「通常の勤務時間外における勤務としてこれらの勤務を行った者に限る」の要件に該当するか否かを適切に判断するためには、労務時間管理を会社が適切に行っている必要があります

実務上は在宅勤務における時間管理については、悩ましい部分が結構あると思われます。

ただ、コロナ後から残業食事代を支給するようになった場合には注意が必要ですが、コロナ前もコロナ後も残業食事代を支給している会社については、現状、給与課税は不要になっているかと思います。


 

昼食などの食事の場合はどうか?

なお、残業食事代(勤務時間外の食事)でなく、昼食などの食事の場合はどうかというと、以下の要件をどちらも満たしていれば、給与課税されません。

  • 従業員が食事の価額の半分以上を負担していること
  • 「食事の価額」-「役員や使用人が負担している金額」=1か月当たり消費税を除き3,500円以下であること
    (「食事の価額」とは弁当代等の業者に支払う金額や、社員食堂の材料費等)

ただ、この定めは、会社が業者へお弁当を依頼する場合や社員食堂などを想定しているものなので、在宅勤務で適用する場合は少ないと思います。
 

おわりに

会社にとっては悩ましい点もありますが、仕事場が自宅になっても、今まで通りの業務をすることになると思いますので、会社側の労務時間管理が適切に行われていれば、在宅勤務でも残業食事代が給与課税になることは、ほぼないのではないでしょうか。

気になる方は、勤務時間と勤務時間外の扱いや労務管理の方法など、在宅勤務の要件を会社側にご確認ください。

 

本記事の執筆者:
アタックス税理士法人 社員 税理士 永持 祐司
税務顧問から個人資産家や法人オーナーの資産税業務を含めた財産コンサルティングに従事。組織再編を活用した事業承継、財産承継コンサルティングの業務を中心にプロジェクトマネージャーとして活躍中。現在、国際部副部長。

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