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副業で、消費税を納めなければならない場合とは?

投稿日:2019年2月21日 更新日:

2019年10月に迫った消費税増税に向けて、軽減税率の導入やポイント還元制度の導入などが話題になっています。
消費税は殆どの場合にかかりますので、住宅や車など高価な物を買う時には特に意識されると思います。

ところで、わたしたちは日常的に消費税を商品の代金と一緒に「販売店に支払う」ため、実際にその消費税がどのように「納税される」のか、サラリーマンの方には馴染みがないのではないでしょうか?
 

お店に支払った消費税が「納税される」仕組み

消費税は誰が納めているのでしょうか?
答えは、販売店が消費者から預かり納めているのです。

販売店は商品を販売した際、代金と共に消費税を預かります。
また一方で、販売する商品を仕入れる際、その仕入先に消費税を支払っているため、実際には「預かった消費税」と「支払った消費税」の差額を販売店は納めています。

このように、消費税は負担する人(消費者)と納める人(販売店)が異なるため、「間接税」と言われています。

さて、最近ではメルカリなどを利用して個人でも商品販売ができますし、サラリーマンの方が賃貸用の不動産を持っていることもあります。

このように、サラリーマンの方が副業している場合は、消費税を納税しなければならないのでしょうか?

今回は、そのような副業がある場合に、消費税を納税しなければならないのかを整理してみたいと思います。


 

消費税がかかる「3つの原則」

そもそも消費税がかかるのかどうかを判定するために、次の「3つの原則」があります。
この原則に該当しない場合は消費税がかからないため、消費税を納める必要もありません。

  1. 国内(日本)において行われる取引であること
  2. 事業として対価を得て行われるものであること
  3. 資産の譲渡・貸付、役務の提供であること

このなかで、副業をしている場合に消費税を納税しなければならないのかどうか、を考える際に重要なのは 2 で、その副業を「事業として対価を得て行っているか」どうかになります。

対価とは見返りのことで、通常は商品の代金として受け取る金銭が対価となります。
「事業として」とは、何度も継続して商品売買などの取引を行なっていることを言います。

例えばメルカリなどで自宅にある服などを販売したり、自家用車を売ったりした場合には、この原則に当てはめてみると、生活用品を売るという行為は「事業として」行っているわけではありませんので、消費税はかからないこととなります。

一方で、利益を得る目的で継続して商品を販売していれば、それは消費税がかかる対象になる、と言えます。


 
 

3つの原則に当てはまっても「非課税」となるもの

消費税がかかるかどうかは上記の3つの原則に当てはまるかどうかで判定することになりますが、例外があります。

それが、「非課税取引」と言われるものです。

「非課税取引」とは、消費税をかけるのが相応しくなかったり、生活への影響への配慮であったりなどの理由で、特別に消費税をかけないようにしている取引です。

非課税取引になるものとして全部で17項目ありますが、そのなかでも副業に関連しそうなものとしては、「住宅の貸付」や「株式の売買」があります。
(17項目については国税庁HPのこちらのページをご覧ください。)

例えば、サラリーマンAさんが所有している不動産(マンションやアパートなど)を人が居住する目的で賃貸している場合、その賃料は非課税となり、Aさんは消費税を納めなくても良い、ということになります。

また、有価証券の譲渡も非課税とされているため、株式の売買にも消費税はかかりません。

ただし、賃貸不動産が事務所や店舗として利用されている場合は、その賃料には消費税がかかることになるため注意が必要です。


 
 

消費税を納税する義務が「免除」される場合

副業が「事業として」行われていて、非課税取引にも該当しない場合は、預かった消費税と支払った消費税の差額を納税しなければいけない立場となります。

個人事業者の場合は1月1日から12月31日までが1つの計算期間となるため、この期間中の預かった消費税と支払った消費税を集計し申告書を作成して、申告と納税の手続きをしなければなりません。

これはなかなか大変な作業であり、特に副業として事業を行っているサラリーマンの方にはかなりの負担になってしまいます。

そこで、消費税には「納税義務の免除の特例」という制度が設けられています。
これは小規模な事業者の事務手間に配慮し、消費税の申告や納税の手続きをしなくても良いですよ、という制度です。

この特例の要件は、2年前に遡って判定することになります。

<2019年の消費税申告の例>
今年は2019年なので、2年前である2017年に遡り、2017年における売上高が1000万円以下であれば、納税義務の免除の特例が適用され、2019年の消費税申告は免除されることになります。

ここでのポイントは次のとおりです。

  • 売上高とは、「消費税がかかる取引」の売上高となります。
    つまり、消費税の3つの原則に該当する取引で、非課税取引に該当しない取引が対象になります。これを「課税売上高」といいます。
  • 給料には消費税はかからないため、あくまでも事業としての売上高だけで判定します。(給料は労働の対価であり、事業として得た対価ではない。)
  • 利益額ではなく、売上高が1000万円あるかどうかで判定します。

(注)ただし、前年の上期(2018年1月から6月)の売上高が1000万円を超えてしまうような場合などは、この特例が適用できない場合があります。

 

副業でも消費税を納税しなければならない場合は?

ここまでのことを整理すると、
「日本で事業をしていて」
「その内容が非課税取引に該当しないもので」
「2年前の課税売上高が1000万円を超えている」場合には、
その年の確定申告の際に、消費税の申告と納税をしなければならない、ということになります。

売上高が1000万円を超えるとなると、副業としてはかなり大規模な事業になるかと思います。

そこまでの規模になると消費税の申告や納税の必要が出てくるため注意が必要ですが、逆にいえば、そこまでの規模でなければ消費税の申告や納税をする必要はない、と言えます。
 
 

本記事の執筆者:
アタックス税理士法人 税理士  有賀雄一
名古屋市立大学卒業後、金融機関等の勤務を経て、アタックス税理士法人入社。主に中小企業から中堅企業までの税務顧問を担当、税務コンサルティング業務や組織再編実行支援業務等にも携わる。

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