控除

住宅ローン控除特例とは?

投稿日:2020年11月11日 更新日:

「住宅ローン控除」を利用している人も多いと思います。
今回は、消費税が8%から10%に上がった際に、この住宅ローン控除の特例措置として設けられた「住宅ローン控除特例」について解説します。

また、新型コロナウイルス感染症によりこの特例措置が延長されましたので、関係すると思われる方はぜひご確認ください。


 

住宅ローン控除特例が設けられた背景

令和元年10月1日に消費税が8%から10%に増税されてから早くも1年が経過しました。

消費税率が増税となると、大きな買い物をするならば10%の時よりは8%の時の方が安くなりますので、8%の時に購入しておこうという気持ちになります。
いわゆる駆け込み需要といわれるものです。

この駆け込み需要が住宅という大きな買い物に起きると、需要変動も大きくなります。
工事業者の方々は駆け込み需要の対応をしている時は大忙しで、消費税率10%の時には暇で困ってしまうということが容易に想像できます。

そこで、この需要変動を平準化するための措置として、
「令和元年10月1日から令和2年12月31日までの間に、新たに購入した住宅に住み始めた人」を対象として、消費税増税の2%分を住宅ローン控除の特例という形で優遇する法整備がなされました。
 

住宅ローン控除特例とは

従来の「住宅ローン控除」として所得税額から控除できる控除期間は通常10年です。
しかし、

「消費税率の増税がなされた令和元年10月1日から令和2年12月31日までの期間に、住宅ローンを利用して一定のマイホームを取得し」
かつ、
「令和2年12月31日までに入居した人」

に関しては通常より3年長い、13年間の控除期間が認められます
これが「住宅ローン控除特例」です。

上記の期間をみて分かるように、通常より長い13年間の控除を認めてもらえるのは、消費税率10%でマイホームを購入した人です。

つまり、駆け込み購入をすることなく、消費税率が10%になったあとにマイホームを取得してくれた人には、3年長く所得税を安くして差し上げます、という特例だということです。
 

特例で所得税はいくら安くなる?

では所得税がいくら安くなるのかを次に見ていきます。

<1年目から10年目までの控除金額>
住宅ローンの年末借入金残高×1%
※ただし、残高が4,000万円を超える場合には、4,000万円×1%
(つまり、残高が5,000万円とか6,000万円あったとしても、年間控除額の上限は40万円までとなります。)
<11年目から13年目までの控除金額>
以下の①又は②のいずれか少ない金額を控除金額とします。
①住宅ローンの年末借入金残高×1%
 ※ただし、残高が4,000万円を超える場合には、4,000万円×1%
②建物購入代金×2%÷3年

通常の「住宅ローン控除」でも10年間の控除期間が認められていますので、
11年目から13年目まで、すなわち、上図の下のグレーボックスの分が、特例のお陰で余計に控除できるようになった金額、ということです。

余談となりますが、上記②の数式(建物購入代金×2%÷3年)から、増税された2%分の消費税負担額を3年間で均等に所得税から控除することを認めていることが読み取れます。
(建物購入代金と建物に限定してしまっていますが、土地には消費税が課税されませんので、消費税が課税される建物だけを対象としています。)


 

中古物件の個人間取引は要注意

ところで、消費税率が10%になった令和元年10月1日以降にマイホームを手に入れた人がすべて対象になるわけではありません。

その理由は、対象となるのは「消費税率10%が課税された」人だからです。
(ちなみに、消費税率10%が課税されたマイホームの取得を、正式には「特別特定取得」といいます。)

ハウスメーカーの場合

ハウスメーカーから建売住宅や注文住宅という形でマイホームを取得した場合には、売り主が会社となりますので、会社が消費税の納税義務者になります。
したがって、ハウスメーカーからマイホームを購入等すれば、消費税が課税された価格で購入代金を支払うことになるのが基本です。
この場合は特別特定取得として13年間控除を受けることができます。

中古物件の個人間取引の場合

しかし、中古物件をマイホームとして取得することも多いと思います。
中古物件ですと、売り主である「個人」が仲介業者を介して売りに出すことが一般的です。

個人が売り主である物件を、買い主である個人が購入した場合には、個人間の取引となり、消費税が課税されません。
売り主である個人は消費税の納税義務者とはならないため、消費税が課税されないという考え方です。

したがって、個人間取引により取得した中古物件のマイホームは、特別特定取得とはならず、13年間控除を受けることはできません
 

結びに

マイホームを購入すれば消費税は課税されるものと考えるのが普通であろうと思います。
しかし、売り主が誰かによって消費税が課税されたりされなかったりするというのが現実です。

住宅ローン控除が3年延びるか延びないかは金額的に大きなインパクトになると思います。
年末を迎える前にマイホームの売買契約書を今一度確認して、間違いのない確定申告をして頂ければと思います。
 

追記:コロナ禍における特例措置

上記、住宅ローン控除特例の説明で書いた、

「消費税率の増税がなされた令和元年10月1日から令和2年12月31日までの期間に、住宅ローンを利用して一定のマイホームを取得し」
かつ、
「令和2年12月31日までに入居した人」

のうち、後半の「令和2年12月31日までに入居した人」ですが、

今般、新型コロナウィルス感染症の影響により、13年控除の対象となるマイホームを取得した後、そのマイホームへの入居が令和2年12月31日までにできない事情が生じた場合には、令和3年12月31日までの間に入居することで13年控除を適用することができる特例も設けられました

なお、この延長の特例の適用を受けるには、新築の場合には令和2年9月30日までに契約締結がなされている必要があり、建売住宅等の場合には同年11月30日までに契約締結が必要となります。
 
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※2021.6.23 新しい記事を公開しました。
『住宅ローン控除~令和3年度入居の方、これから購入される方必見!』
 

本記事の執筆者:
アタックス税理士法人 代表社員 税理士 村松 宏昭
2000年 東洋大学卒。公認会計士・税理士事務所勤務を経て、アタックスに参画。中小企業から上場会社まで幅広い顧客を担当。お客様中心主義の税務サービスを信条とし、経営者に対する財務面からの熱血指導でも定評がある。

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