R8年度税制改正大綱が公表 ~国際税務の改正ポイント解説~ | アタックス税理士法人 国際部

R8年度税制改正大綱が公表 ~国際税務の改正ポイント解説~

2026年1月15日

新しい年を迎え、企業や個人にとって気になるのが「税制改正」です。毎年の改正は専門用語が多く、ニュースを見ても「結局、何が変わるの?」と感じる方も多いのではないでしょうか。令和8年度の税制改正は、国際課税の強化や投資環境の整備など、企業活動や資産運用に影響するポイントが盛り込まれています。今回のコラムでは、現行制度の仕組みと今回の改正点をわかりやすく整理しました。
海外子会社を持つ企業は何に注意すべき?」という視点でご一読いただき、今後の経営判断や税務対応の参考にしてください。

グローバル・ミニマム課税

近年、企業が税率の低い国へ利益を移すことで、実質的な税負担を軽くする手法が国際的な課題になっています。そこでOECD加盟国が合意した一つの方法が、グローバル・ミニマム課税(最低税率15%)です。イメージで言うと、「どこの国で稼いでも、全体の課税割合が15%未満にはならないよう、足りない分を本店所在地国で、追加納税する」仕組みです。

<改正の内容>

今回の改正では、この「15%の計算」に使う内容が見直しされました。

特に繰延税金資産・負債について、一定の条件で計上されたものは、ゼロとして計算することが明確化されました。例えば、令和3年12月1日以降に結んだ特別な税額控除の取り決めで、将来の節税効果を多額に見積もった繰延税金資産など、実効税率を下げることになる要素は、最低税率の判定の計算から外すことになります。結果として、会計上の見積りで実効税率を低くしたとしても、税法の適用下では、その影響を排除し、実効税率を計算することになります。

グローバル・ミニマム課税に関する過去のコラムはコチラ

外国子会社合算税制(CFC税制)

CFC税制は、海外の軽課税国(目安は20%未満)に海外子会社等を設立し、商流に含めることで、日本での課税を逃れるような場合に、日本親会社側で合算して課税する制度です。これにより「軽課税国に、いわゆるペーパー・カンパニーを設立して税金を回避する」ようなスキームを抑える効果があります。

<改正の内容>

今回の改正は、解散・清算局面にも網をかけ直すのが特徴です。具体的には、清算中の会社で、過去に「部分対象外国関係会社」や「外国金融子会社等」に該当していた会社は、解散により非該当となった年度の終了日から原則3年間に属する事業年度(=特例清算事業年度)について、上記基準に該当しているものとみなして適用します。清算直前に「要件外し」をすることで、課税関係がゆがめられることを防ぐ狙いがあります。

また、ペーパー・カンパニー判定の簡略化として、総資産がゼロのようなケースでは資産割合要件の判定を不要にする措置も取られています。

さらに、最高税率を使って租税負担割合を計算する特例については、通常その最高税率が見込まれない、適用範囲が極めて限定的な場合は使えない、と実態に合わせて運用を引き締めます。

これらは令和8年4月1日以後に開始する事業年度から適用です。地方税も同様の見直しが入ります。

CFC税制に関する過去のコラムはコチラ

外国組合員(海外投資家)への課税特例

日本の投資組合(たとえばLPS型など)に外国の投資家が参加する際、一定の要件を満たすと日本での課税を免除できる特例があります。現行は「持分25%未満」「業務執行に関与しない」「特定の恒久的施設帰属所得がない」といった条件が中心でした。

<改正の内容>

今回の改正では、投資家が参加しやすくなるよう要件を緩和します。

持分割合の上限を25%→50%未満に引き上げ、一定規模の資金でも特例の対象に入りやすくします。

「業務執行に関与しない」の内容を整理し、投資家による関与は利益相反取引の承認などに限定する。つまり、ファンド運営の舵取りは引き続き投資家ではなく運営側が担い、投資家の承認は安全弁の範囲に留めることになります。

恒久的施設帰属所得に関する要件を廃止し、構造をシンプルに整備されました。

最後に

今回の改正内容の全体像を一言で言えば、国外所得の課税関係を整備・強化するという事です。

グローバル・ミニマム課税やCFC税制は、税制が想定しているような意図がなくても形式的に、適用対象になる場合がありますので、海外子会社がある場合には、気を付けなくてはなりません。

今後の国際税務の動向に注意をし、タイムリーな情報発信をしていきます。

執筆者アタックス税理士法人 主任コンサルタント 角谷 伸司
主に中堅・上場企業の法人顧客を担当し、クライアントの会計・税務問題の解決に深く携わる。特に、税務調査の場面では、課題となる事案に関し見識を生かし、顧客の立場に寄り添った対応が高く評価される。

ご相談・お問い合わせはこちら
コラムお問い合わせ
上部へスクロール