「防衛的賃上げ」の限界~給与を上げても社員の心が離れる本当の理由~

「防衛的賃上げ」の限界~給与を上げても社員の心が離れる本当の理由~ 人材育成

日頃、中堅中小企業の経営者の方々とお話しする中で、「採用力を落とさないため」「今いる社員に辞められないため」に、防衛的な賃上げを実施せざるを得ないという切実なお声を多く耳にします。

2026年3月5日に発表された春闘結果でも、定期昇給込みで5.94%(月額19,506円)と高い水準となっています。

※参考:日本労働組合総連合会「2026年春闘」
https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/roudou/shuntou/2026/yokyu_kaito/yokyu/press.pdf?1863

注目すべきは、中小企業の賃上げ“率”が大手企業を上回る可能性がある点です。

人手不足が深刻化する中、採用競争力を維持するために、中小企業が大手企業以上に思い切った賃上げに踏み切らざるを得ないという、厳しい現実が浮き彫りになっています。

しかしながら、利益を削って実施したその賃上げは、本当に社員のモチベーション向上や、会社の業績(付加価値)アップに繋がっているでしょうか。

給与を上げたのに、なぜ…?

先日、従業員約60名のある卸売業の社長から、こんなご相談を受けました。

同業他社の動きを見て、当社も思い切って全社員一律のベースアップを実施した。

これで少しは活気が出るだろうと期待していたが、数ヶ月経っても現場の雰囲気は変わらない。

それどころか、中堅のエース社員から
「なぜ、あまり成果を出していないあの人と同じ昇給額なのですか」
と不満をぶつけられ、退職をほのめかされてしまった。
この社長の嘆きは、決して特殊なケースではありません。

「防衛的賃上げ」に走るあまり、多くの企業が同様の問題に陥っているのではないでしょうか。

社員の心が離れる「2つの要因」

なぜ、給与を上げても社員は納得せず、逆に心が離れてしまうのでしょうか。その要因は、主に以下の2点に集約されます。

「評価」と「報酬」の連動性が見えない(納得感の欠如)

いくら給与が上がっても、その「決まり方」が不透明であれば、社員は納得しません。

年功序列や曖昧な基準で昇給額が決まっていると感じれば、優秀な社員ほど「頑張っても報われない」とモチベーションを下げてしまいます。

評価制度と報酬制度が論理的に紐づいており、社員自身が「どうすれば給与が上がるのか」を明確に理解できる状態でなければ、賃上げは単なるコスト増になってしまいます。

「お金」以外の報酬(トータルリワード)の軽視

現代の社員、特に若手〜中堅層は、給与という「金銭的報酬」だけで会社を評価しているわけではありません。

  • この会社で自分は成長できるのか
  • 自分の仕事は誰かの役に立っているのか
  • 上司や仲間から認められているか

こうした「非金銭的報酬」が満たされていなければ、いくら基本給を上げても、彼らの心に火をつけることはできません。

金銭と非金銭を合わせた「トータルリワード(総報酬)」という視点が欠けているのです。

賃上げを「コスト」から「投資」に変えるために

人手不足が深刻化する中、賃上げという流れは避けて通ることができません。その波に飲み込まれ、利益を圧迫され続けるのか。

それとも、人事制度全体を見直すチャンスと捉え、賃上げを「コスト」ではなく、「会社の成長に向けた投資」へと転換するのか。

その分岐点は、自社の「処遇」のあり方を、経営戦略と連動させて再構築できるかどうかにかかっています。

  • 基本給、賞与、各種手当の最適なバランスはどうあるべきか?
  • 限られた賃上げ原資を、誰に、どう分配するのが最も効果的か?
  • 社員が本当に求めている「非金銭的報酬」を、どうやって提供するか?

これらの問いに対する明確な「答え(ロジック)」を持たずに賃上げを行うことは、経営にとって大きなリスクとなります。

そこで今回、これらの複雑な課題を整理し、賃上げ時代を勝ち抜くための具体的な考え方をお伝えする特別セミナーを開催いたします。

本セミナーでは、単なる給与計算のテクニックではなく、社員の行動変容を促す「トータルリワード」の考え方や、業績と連動した持続可能な報酬制度の設計プロセスについて、分かりやすく解説いたします。

  • 今年の賃上げをどうするか悩んでいる
  • 今の給与の決め方に、社員が不満を持っている気がする
  • 人件費の増加が経営を圧迫しており、コスト管理の視点も持ちたい

このようなお悩みをお持ちの経営者、人事責任者の皆さま、ぜひご参加ください。貴社の「報酬」のあり方を根本から見直す機会としてお役立ていただけるはずです。

<セミナー情報>
賃上げ時代を勝ち抜く「報酬」の決め方
~従業員が納得し、会社が成長する処遇とは~

2026/05/25(月) 13:00~15:00
詳細・お申込みはこちら

賃上げは、会社を変える最大のチャンスでもあります。皆様のご参加を、心よりお待ち申し上げております。

【無料】人材育成に役立つ資料はこちら

筆者紹介

吉崎英利

株式会社アタックス・ヒューマン・コンサルティング
取締役 社会保険労務士 コンサルタント 吉崎 英利
家業である社会保険労務士事務所勤務を経てアタックス・ヒューマン・コンサルティングに入社。前職では、社会保険手続や、就業規則改定支援、労務相談等の業務に従事。現在は、クライアントの経営課題の解決と共にそこで働く労働者が輝き、成長する環境を創造するため、数千人規模の上場企業から十数名のスタートアップ企業に至る様々な企業の人事制度(等級制度、評価制度、報酬制度等)構築や組織風土改革、労務管理、研修企画などのコンサルティング業務に従事。趣味は筋トレ。

タイトルとURLをコピーしました