AIの進化へどう対処するか!それでも残る、人の役割とは?

AIの進化へどう対処するか!〜それでも残る、人の役割とは? 経営

生成AIの活用が広がる一方で、中小企業に残る課題

「ChatGPT」や「Google Gemini」「Claude」といった生成AIサービスを実際に使ったことがある、あるいは以前よりも身近に感じるようになった方も増えてきたのではないでしょうか。

さらに、その利用場面は日常生活のみならず、業務にも広がってきていると考えられます。

総務省の「令和7年版情報通信白書」によれば、国内企業における業務での生成AIの利用率は約半数に達しています。

一方で、活用方針を明確に定めている企業は、中小企業では約3社に1社にとどまり、大企業(約半数)と比較して活用体制の整備が遅れている状況も示されています。

参考:総務省『令和7年版情報通信白書』

もっとも、「使ってはいるものの、使いこなせている実感がない」と感じている方も少なくないのではないでしょうか。

今回は、多くの方が利用しているチャット型(質疑応答型)のAIにおける構造的な限界と、それを踏まえて注目されている「AIエージェント」が示す未来について、解説していきます。

チャットAIの限界とは?仕事を任せられない理由

チャットAIは、確かに便利です。質問すれば、それらしい答えがすぐに返ってきます。

しかし、いざ仕事の中心的なツールとして活用しようとすると、どこか物足りなさを感じたことがある方も多いのではないでしょうか。

その理由は、チャットAIの回答精度だけでなく、「問われたことに、その場で答える」という役割にとどまっている点にあります。

問いを立て、出てきた答えを受け取り、その正しさを確かめ、最適な形へ整える。

こうした一連の作業は、結局のところ、すべて人間の側に委ねられています。

AIは答えを返してはくれますが、目的に向かって自ら段取りを組み、必要な情報を調べ、成果物として形にするところまでは踏み込みません。

言い換えれば、チャットAIはあくまで「一定の水準までは期待できる相談相手」であり、「仕事を任せられる相手」ではない、ということです。

AIエージェントとは?生成AIとの違いと業務活用の可能性

ここで、少し視野を広げてみます。

近年、「AIエージェント」と呼ばれる新しい形態のAI活用が注目を集めています。

これは、与えられた目的に向かって、自ら段取りを考え、必要な作業を実行していくAIを指します。

簡単に言えば、「質問に答える」だけだったAIが、「頼んだ仕事を実際にやってくれる」ようになった、ということです。

さらに、高度な技術や専門知識がなくても利用しやすいAIエージェントのサービスが広がり始めており、今後もその影響はますます大きくなっていくと考えられます。

先ほど、チャット型AIは「仕事を任せられる相手ではない」と述べましたが、一方で、AIエージェントは、まさにその一線を越えようとしている存在です。

例えば「最近の業界の動きを調べて、要点をまとめておいて」と依頼したとします。

チャットAIであれば、返ってくるのは一般的な説明にとどまり、最新の情報や自社に関わる内容については、結局こちらで調べ直すことになります。

これに対し、エージェントは、まず何を調べるべきかを自ら考え、最新のニュースや資料を集め、重要なポイントを整理した上で、報告資料としてまとめてくれます。

さらに、「この情報は古いかもしれない」と自ら判断して調べ直すなど、一度まとめた内容を見直し、精度を高める作業まで行います。

私たちの役割は、「質問を考えること」から、「目的を伝えること」へと変わっていくのです。

AI時代に求められるのは「判断力」と「目的設定」

AI時代に求められるのは「判断力」と「目的設定」

こうした変化は、便利さと引き換えに、新たな課題も生みます。

AIが作成した成果物の内容を十分に理解しないまま受け取り、そのまま利用してしまう危うさは、むしろこれまで以上に大きくなるとも言えます。

2026年版小規模企業白書でも、経営リテラシーを備えた事業者は、業績や人材確保の面で明確な差を生み出していると指摘されています。

AIが高度になり、より完成度の高い成果物を返してくるようになるほど、それを正しく評価できるかどうかが重要になります。

つまり、これからはAIを使う人間側の判断力が、これまで以上に問われると考えられます。

AIがここまで担う時代だからこそ、次の二点がより重要となるでしょう。

一つ目は、「何を課題とし、どのような目的を目指すのか」を見極め、決定することです。

そして二つ目は、「AIが生み出した成果物が、本当に設定したゴールを満たしているか」を判断することです。

前者は仕事への深い理解から生まれ、後者は最終的な責任そのものです。

どちらも、人間が担うべき役割であり、AIに委ねることはできません。

2026年版の白書でも、「現状維持は最大のリスク」であると指摘されています。

まずは、できるところから始めてみる。試してみる。

その小さな一歩が、これからの企業や働き方を大きく左右する分岐点になるのかもしれません。

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筆者紹介

新川真代

株式会社アタックス・エッジ・コンサルティング 取締役 公認会計士 新川 真代
中小企業にて経理、中堅企業向けの監査法人にて監査業務を経験した後、2015年にアタックスグループに参画。株式会社アタックス・ビジネス・コンサルティングにて、中堅中小企業向けに企業再生・経営支援等の経営コンサルティングを従事。現在は、株式会社アタックス・エッジ・コンサルティングにて、会計専門家としての知見・経験を生かしながら、会計専門家の業務効率化・中堅中小企業の経営に資する情報提供のためのシステムを開発・運用に取り組んでいる。

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