変化の激しい時代を乗り越える「足元の判断力」意思決定を支えるデータの解像度を上げる!

変化の激しい時代を乗り越える「足元の判断力」〜意思決定を支えるデータの解像度を上げる!〜 経営

原材料価格の高騰や供給不安、あるいは目まぐるしく日々変わる政治や経済のニュースなど、私たちを取り巻く環境は想像を超えるスピードで絶え間なく変化しています。

高市政権が掲げる「戦略17分野」のような国家戦略のロードマップが示されると、私たちはつい「計画なくして成功なし」と考え、未来を予測して精緻な中期経営計画を立てなければならないと思いがちです。

たしかに目標設定や計画は大切です。しかし、私が日々、多くの経営者の方々と定期的にお会いし、じっくりとお話を伺う中で、今まさに感じていることがあります。

それは、これだけ先行きが見えない環境下では、未来を正確に予測できる人など、ほとんどいないのではないかということです。

今求められているのは、足元の変化に対してどれだけ柔軟にトライ&エラー(試行錯誤)を繰り返せるか、ではないでしょうか。

ひとことで言えば、「足元の判断力」が求められている、ということです。

そのためには、まず自社の現状をスピーディーかつ、正確に把握することが何よりも大切です。

現状把握は、幾度もの難局を乗り越えてこられた経営者の方々に共通する行動のひとつでもあります。

月次決算の早期化や部門別損益計算の導入、あるいは経理のDX化やAIの活用など、様々な現状分析の手法が世の中では提案されています。

どれも素晴らしい取り組みであり、有効な手法だと思います。

一方で、これらを本当に機能させるために重要なのが、社内で扱う情報、特にデータの「解像度(粒の大きさ)」なのです。

それでは、自社のデータの「解像度(粒の大きさ)」が持つ重要性について整理してみます。

細かすぎず大まかすぎない「自社に最適な解像度」の重要性

自社の現状をスピーディーかつ正確に把握するためには、社内を流れるデータの「解像度(粒の大きさ)」が最適である必要があります。

例えば、自社の利益に何が影響しているのか、「顧客別や案件別の収益性」を把握しようとする場面を思い浮かべてみてください。

総売上高や大まかな部門別利益だけを見ている状態では、どの取引がどれだけの利益を生んでいるか、あるいは削っているかといった足元の状況を正確に把握することが出来ません。

一方で、社員一人ひとりの日々の行動記録や、すべての経費の領収証を一枚ずつ並べたような細かすぎるデータでは、今度は情報量が多すぎて判断が難しくなります。

つまり、日々の試行錯誤(トライ&エラー)を支えるためには、「特定の顧客や案件ごとの粗利益」と、それに対応する材料費・工数ベースの人件費・共通経費などが、一枚の資料で紐づいて把握できる細かすぎず、大まかすぎないデータ設計が不可欠です。

この最適なデータの「解像度」は、業種やビジネスモデルによっても異なり、一律のテンプレートは存在しません。

そして何より、このデータの「解像度」は、経営幹部だけが理解していても十分ではなく、組織全体で共有されてこそ機能します。

自社に最適なデータの解像度が社内で自然に共有され、日常的に同じ前提で取り扱われていることは、それ自体が他社にはない大きな強みになると私は考えています。

「しっかりとした OS」の上に、新しい道具を載せる

私は、自社にとって最適なデータの「解像度(粒の大きさ)」と、それを適切に回していく月次決算や部門別損益といった管理会計の仕組みを、パソコンのシステムにたとえて考えています。

自社データの解像度が明確に定義され、それをタイムリーに集計・報告できる仕組みを、企業の「経営のOS」と位置づけます。

この「経営のOS」が土台としてしっかりしていれば、その上で動く「経理のDX化」や「AIツール」といった様々な道具(アプリ)は、非常に滑らかに機能し始めます。

その結果、意思決定のスピードと精度は、自然と向上していくはずです。

逆に、この「経営のOS」が整わないまま最新のシステム(アプリ)を導入しても、現場が数値の入力や解釈に振り回され、上手く機能しないケースを多く見てきました。

試行錯誤(トライ&エラー)を滑らかにする3つのステップ

それでは、試行錯誤(トライ&エラー)を滑らかにするための3つのステップをご紹介します。

STEP1

自社の現状を把握するための最適な「解像度(粒の大きさ)」を話し合う

  • 過去の成功事例を振り返る(不採算案件の見直しや価格交渉など)
  • そのときの判断材料として用いていたデータの「解像度」がどの程度であったか、あるいは、どの程度であればよかったかを洗い出し、自社の基準として整理する

STEP2

社内ルールとして、その「解像度」を共通概念とする

  • 経営幹部だけでなく、現場の責任者や実務担当者とも同じ解像度のデータを共有する
  • 「細かすぎて議論が進まない」「大まかすぎて判断がぼやける」といった解像度に関する社内ギャップを、報告体制の見直しを通じて少しずつ解消していく

STEP3

「経営のOS」を整えたうえで、DXやAI(アプリ)を活用する

  • 「経営のOS」を整える(意思決定のために、何を集計し、どのように報告するかを定義する)
  • そのうえで、効率化・自動化のために「経理のDX化」や「AIツール」を適合させていく

おわりに

おわりに

私は税理士として、顧客企業が作成された各種帳票を確認することがあります。

状況把握や財務分析、税務判断などのためです。

各種帳票には、データの「解像度(粒の大きさ)」が、その会社の個性のように表現されているものがあります。

その代表的なものが「在庫データ」です。仕入れてから販売に至るまでの途中経過を示す資料です。

時に、仕入状況と売上状況が、社外の人間である私にも手に取るようにわかる資料に出会うことがあります。

それらは決算のためだけに作成されたものではなく、自社のモノの流れを精緻にトレースし、異常値の検出を迅速に行うことを目的として作られていることが伝わってきます。

そのような資料に触れると、思わず感動しています。

そこに散りばめられているデータは、いずれも鮮明で「粒ぞろい」です。

未来が予測しづらい時代だからこそ、足元の変化に柔軟に対応しながら、トライ&エラー(試行錯誤)を重ねていくことも重要な選択肢の一つだと思います。

こうした考え方にご関心を持たれた方は、自社のデータの解像度と、それを支える仕組みを今一度、見直してみてはいかがでしょうか。

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筆者紹介

入駒慶吾

株式会社アタックス 次世代リーダーズ支援室 経営支援責任者 税理士 入駒 慶吾
専門学校講師、税理士事務所勤務を経て、アタックス税理士法人に入社。課題解決型の税務顧問・経営顧問に従事。「傾聴と共感」をモットーに、顧客中心主義の税務サービスを提供しながら、抜群の指導力を発揮する。お客様に寄り添い、供に課題解決していく姿勢に定評がある。

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