貴社の人事マネジメントは、今の「時代の変化」に対応できていますか?
2025年11月20日に連合は2026年春闘の賃上げ目標を「5%以上」とする方針であることを発表しました。
※参考:日本労働組合総連合会「2026 春季生活闘争方針(案)」
https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/roudou/shuntou/2026/houshin/data/houshin20251120.pdf?1794
人手不足と物価高が続く中、多くの企業が賃上げを避けられない状況にあります。
しかし、私が日々経営者の皆様とお話しする中で、こんな切実な声をお聞きすることが増えました。
「賃上げに応じて総額人件費は増えた。しかし、社員のパフォーマンスは上がらず、会社の利益はむしろ圧迫されている…」
これは、多くの企業が直面している深刻なジレンマです。
もし、この状況を放置すれば、ただコストが増加し、会社の重要な経営指標である労働生産性(労働分配率の逆数)(=付加価値 ÷ 総額人件費)は悪化の一途を辿るでしょう。
今、私たちが本当に向き合うべき課題は、賃上げの額そのものではありません。
投下した人件費という「コスト」を、いかにして社員一人ひとりの「付加価値向上」に繋げるか。まさに、人事マネジメントの根幹そのものを見直すことが求められているのです。
なぜ、給与を上げても「付加価値」が上がらないのか?
では、なぜ多くの企業で、賃上げが社員のパフォーマンス向上に結びつかないのでしょうか。
その原因は、労働生産性の公式の「分母(総額人件費)」と「分子(付加価値)」の両方に潜んでいます。
分母(総額人件費)の問題:役割が曖昧なままの「闇雲な賃上げ」
ある製造業(従業員約150名)の社長は、「若手の定着のために」とベースアップに踏み切りました。
しかし、社員のモチベーションは一時的に上がったものの、数ヶ月後には元に戻ってしまいました。
なぜなら、その会社では管理職の役割が曖昧で、若手の日々の頑張りや成果を誰が責任を持って承認し、次のステップに導くのかが不明確でした。
その結果、若手は「自分の成長に誰も関心を持ってくれていない」と感じ、将来のキャリアパスも描けず、貢献している実感を持ちにくい状態に陥っていたのです。
このように、社員一人ひとりの役割分担が曖昧なまま、闇雲に一人当たりの賃金を上げても、業務の重複や責任の空白地帯は放置され、組織全体の力は分散したままです。
結果として、増加した人件費は成果に結びつかず、労働生産性をただ押し下げるだけになってしまいます。
分子(付加価値)の問題:会社の求める成果と社員の行動の「断絶」
もう一つ、ITサービス企業(従業員約80名)の事例です。
この会社では、様々な報酬制度を整えていましたが、業績は伸び悩んでいました。ヒアリングをすると、多くの社員が「何をすれば評価され、会社の利益に貢献できるのかが分からない」と感じていました。
社員に「頑張れ」と伝えても、一人ひとりが「何をすれば会社の付加価値が上がるのか」を具体的に理解していなければ、その行動は空回りしてしまいます。
会社の求める成果と、社員の日々の行動がリンクしていない断絶状態に陥っていたのです。
つまり、多くの企業で「役割の曖昧さ」と「求める成果の不明確さ」という2つの問題が、貴重な人件費という投資を無駄にし、付加価値向上の足かせとなっているのです。
労働生産性を飛躍させる「人事マネジメントの再設計」

この根深い問題を解決し、労働生産性を向上させる鍵。
それは、採用・配置・評価・育成・報酬といった人事マネジメントの全てを、「役割の明確化」と「付加価値創出行動の促進」という2つの軸で、一貫した思想の下に再設計することです。
では、具体的に何から始めれば良いのでしょうか?
その最初のステップとして、まずは自社の人事マネジメントの全体像を俯瞰し、どこに課題があるのか、現在地を正確に把握することが不可欠です。
この目的に向けて今回、特別セミナーをご用意いたしました。
本セミナーでは、「人事マネジメントの全体像」の考え方から、時代の変化に対応した人事制度改革の具体的なポイントまで、皆様の会社の課題解決に繋がるヒントを徹底解説します。
●セミナータイトル:時代の転換期における人事制度改革のポイント
●日時:2026/01/23(金) 13:00~15:00
●開催形式:オンライン(Zoomミーティング形式)
●受講料:無料
※詳細は下記をご覧ください。
https://www.attax.co.jp/seminar/detail/2273
まずはこのセミナーで、貴社の人事課題を構造的に捉える視点を手に入れてください。
さらに、2026年3月には、労働生産性向上の核心である「役割」の再定義に特化した、より実践的なセミナーも開催予定です。
●セミナータイトル:「会社が求める成果・行動」を軸にした人事制度設計
~社員の成長とキャリアをどう描くか~
●開催日時:2026/03/30(月) 13:00~15:00
●開催形式:オンライン(Zoomウェビナー形式)
●受講料:無料
※詳細は下記をご覧ください。
https://www.attax.co.jp/seminar/detail/2280
こちらも奮ってご参加いただけますと幸いです。
賃上げを単なるコストで終わらせるか、未来への投資とするか。その分岐点は、まさに今、人事マネジメントを見直すかどうかにかかっています。
皆様のご参加を、心よりお待ちしております。
アタックスグループでは、人材採用基準の設定から人材教育、人事制度の設計・運用に至るまで、クライアントの皆様の顕在的・潜在的な課題の解決をサポートいたします。
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筆者紹介

- 株式会社アタックス・ヒューマン・コンサルティング
取締役 社会保険労務士 コンサルタント 吉崎 英利 - 家業である社会保険労務士事務所勤務を経てアタックス・ヒューマン・コンサルティングに入社。前職では、社会保険手続や、就業規則改定支援、労務相談等の業務に従事。現在は、クライアントの経営課題の解決と共にそこで働く労働者が輝き、成長する環境を創造するため、数千人規模の上場企業から十数名のスタートアップ企業に至る様々な企業の人事制度(等級制度、評価制度、報酬制度等)構築や組織風土改革、労務管理、研修企画などのコンサルティング業務に従事。趣味は筋トレ。
