停滞していた採用活動。たった3ヶ月で劇的に前進した秘訣とは?

経営

E社社長からの相談

「採用が思うようにできていないし、若手、中堅社員の離職者も出始めている」

その声には、今まで聞いたことのない危機感が滲み出ていました。

E社(従業員450名)の社長からその連絡を受けたのは、昨年9月末のこと。

業況は好調。市場のニーズを掴み、シェアを拡大。

一方、採用がうまくできていない。

現場の状態を形容するなら「酸欠状態」。

いよいよ社員の中から退職者が出始めている。

そんな連絡と相談でした。

顧客に価値提供し続けるには社員の成長が何よりも重要と考える社長です。

社長にとって、真っ先に手を打たねばならない経営課題、それが「採用力強化」だったのです。

調査結果でみる採用環境の厳しさ

採用コンサルタントの私の元には、このような切実なご相談が毎日のようにやってきます。

採用環境の厳しさを象徴する調査結果があります。

公益社団法人全国求人情報協会の調査です。

求人広告掲載件数等集計結果(2023年3月分)

この調査によりますと、求人広告掲載件数は2年前と比較し、1.73倍に増加。

2021年3月に「88.7万件」だった求人数は2023年3月には「154.1万件」へと「65.4万件」も増加しているのです。

これだけ求人件数が増加している状況から「うちが採用できないのは仕方ない」そんなふうに思うのも自然でしょう。

でも、それは勘違いです。

実際にうまくいっている会社は、業種や職種、エリア、企業規模、条件の良し悪しには無関係で存在するからです。

採用活動を成功に導くために

とはいえ、採用市場は売り手市場

簡単に採用できるわけではありません。

これまでの延長で採用活動をしている限り、うまくいきません。

E社が改善したこと

E社は私が採用力強化支援に入ることになり、これまでのやり方をいったんリセットし、ゼロからリスタートする決意をしました。

そのプロセスは、洋服のボタンをいったんすべて外して、第一ボタンから一つずつはめ直すようなもの。

地道な改善をスタートすることになりました。

2週間に1回のセッションには採用担当のメンバーだけでなく社長も毎回出席します。

都度、不定期でご相談を受け、適宜フィードバックする日々が続きました。

支援が開始してから約3ヶ月、その行動は実を結び始めます。

地道な改善で採用力強化に成功

最終的に、ご支援を開始してから【20名】の採用を実現。(2022年10月~2023年3月)

2022年4月~9月が9名の採用でしたから、【約2倍】の採用数を実現するに至りました。

成功要因とは?

では、なぜE社はうまくいったのでしょう。

一言で表現するのは難しいですが、根底にある取り組みは「候補者視点で考え抜く」ということです。

候補者視点で考え抜くとは、たとえば以下のようなことを指します。これらを予め定め、採用活動に取り組んでいきました。

例)
◆そもそも候補者となり得る人物はどんな人だろうか?
◆候補者はどんな会社に入りたいと思っているだろうか?
◆候補者が入りたいと思っている会社がまさに当社であると言えるのはどんな点だろうか?
◆候補者が当社に入社することで得られるベネフィットはどんなことだろうか?
◆候補者が当社を認知し、興味を持つには、求人票はどんなタイトルが良いだろうか?
◆候補者が当社にエントリーしようと思うには、求人票にどんなことを記載しておくべきだろうか?
◆候補者がエントリーしてきたら、いつまでにどんな対応をすべきだろうか?
◆候補者が入社意欲を持つには、面接や面談で誰がどんな情報提供をすべきだろうか?
◆候補者がスムーズに入社する意思決定をするには、どんなフォローが必要だろうか?

採用活動では、候補者が自社を知り、関心を持って応募を検討する段階から選考を終了するまでにさまざまな接点となる場面があります。

それぞれの場面において、候補者視点で考え抜き、設計しておくことが重要です。

候補者に適切な体験を提供する

「採用CX」という用語があります。

採用CXとは「Candidate Experience」の略です。

日本語訳すると「候補者体験」となります。

人材獲得競争が激化しているなか、企業は「選ぶ」立場から、「選ばれる」立場になっています。

採用プロセスにおいて候補者の立場になって対応し、仮に入社に至らなくても「応募してよかった」と感じてもらうことが大事です。

ご縁がなかった場合でも、口コミで新たな候補者とのつながりができたり、将来的に顧客になったりすることもありえるからです。

採用活動で出会うすべての人たちに良い体験を届けようとすることが、採用CXの考え方です。

採用CXを改善し変化を遂げた会社の事例

採用CXを改善した結果、劇的な変化を遂げた会社は私の支援先でも何社もいらっしゃいます。

事例1:製造業

採用CXの設計により、応募後の動機づけができ、5つのポジションの採用に成功

従業員数:30名
エリア:九州
支援内容:全体戦略の策定、採用目的の言語化、採用人物像の明確化、入社するベネフィット言語化、採用CXの言語化、面接官トレーニングなど

中途採用を続けているが、応募が全然ない状況が続いていた。

そういった状況のなか、採用コンサルティングを開始。

約半年間、自社の魅力や求める人物像を掘り下げるセッションを繰り返し、ようやく言語化。

そのうえで満を持して採用活動を開始。

結果、応募数は全国から100名を超えるまでに。

また、採用CXの設計により、応募後の動機づけができ、5つのポジションの採用に成功。

事例2:警備業

支援期間わずか4ヶ月。3ヶ月間の入社者が前年比1.93倍に(前年71名→137名)

従業員数:750名
エリア:中部
支援内容:全体戦略の策定、採用目的の言語化、採用人物像の明確化、入社するベネフィット言語化、採用CXの言語化、面接官トレーニングなど

採用人物像(ペルソナ)を明確に設定することで、求人募集で魅力が伝わり、応募数が1.45倍に。

採用CXの設計で、応募後も面接予約→面接実施→研修予約→研修実施→研修修了(入社)の各プロセスの歩留まりを改善する取り組みを高速に重ねた結果、前年比1.93倍の採用数を記録。

募集〜応募〜入社までの採用CXを言語化することにより、求人媒体会社担当者や複数の面接官と目指すゴールが明確になり、創意工夫が生まれた。

まとめ

「なんとか現状を変えたい」そんな方は、まずはご相談ください。

6月2日(金)には年に3回しかやらないセミナーも開催します。

■6月2日(金)開催「いい人財が集まる戦略と戦術」
お申込はこちらから

こちらに参加するのでもよいでしょう。

これから、ますます人材獲得競争は激化していきます。

このまま採用できないでいれば、会社の成長はストップして、衰退することも想定しなければならないでしょう。

  • 採用できないために、マンパワー不足が足かせになり、思い切った戦略が実行できない。
  • 採用できないために、組織が疲弊し、退職者が出てしまう。
  • 事業そのものには市場があり、ポテンシャルがあるからこそ、これからどんどん仕掛けていきたい。しかし、採用できないことがすべてを台無しにしている。

もしあなたがそんな状況にあるのなら、なんとも歯がゆいことと思います。

ぜひお力になれればと思っています。

筆者紹介

株式会社アタックス・セールス・アソシエイツ 取締役 酒井 利昌
学習塾業界、人材サービス業界を経て、アタックスに入社。採用と教育支援の両軸で、年間200日以上、現場指導に従事。採用コンサルティングにおいては、営業・マーケティングノウハウを転用した独自メソッドを用い、携わった企業すべてを短期間で目標達成に導いている。著書に『いい人財が集まる会社の採用の思考法』(フォレスト出版)があり、2019年8月発刊以降、ロングセラーを記録している。
酒井利昌の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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