ファクトリー(工場)に価値を足す -三和建設株式会社

経営

西浦道明のメルマガ 2020年10月

2014年から、当メルマガでは自社独自の「池(市場)」を見つけ出し、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となった結果、高収益を獲得・維持している中堅中小企業をご紹介している。

連載74回目の今回は、大阪市に本社があり、建設工事・開発・環境整備・その他建設に関する事業、及び、これらに関する企画・設計・コンサルティング他一切の業務等を行う三和建設株式会社(以下、S社)の池クジラぶりを見ていきたい。

S社は、1947年、株式会社鹿島組の常務取締役だった森本多三郎が創業した。

2008年、4代目社長に就任した森本尚孝社長(以下、M氏)は、「何でもできるというのは、何もできないのと一緒」と考え、「ファクトリー(工場)に価値を足す」という意味をこめ 、食品工場に関わるトータルソリューションという事業ブランド「FACTAS」を構築した。

食品工場以外にも、マンション分野・倉庫分野の2ブランドを設定し、総合建設業であるにもかかわらず、3ブランドに対し集中特化することを決めた。

S社が食品工場に特化したのは、創業者が壽屋(サントリーホールディングス株式会社)の工場の戦後復興を手伝ったことがきっかけだった。

1951年、サントリー山崎蒸溜所の施工を手掛けた。

その後もサントリー食品工業・宇治川工場の施工を手掛けるなど、同社には長年に渡る数多くの食品工場の設計・施工の蓄積がある。

そうした実績を通して、施主の想いを汲み取り、その目的に適った価値を生む建物の建設を重視し、長期的な満足、深い感謝につなげてきた。

またM氏は、2013年、経営理念を「つくるひとをつくる」と定めた。

大手ゼネコンとの厳しい競争にさらされているS社にとり、自前で人材を育成できるかどうかは死活問題と言って過言でない。

特に、食品工場では、温度管理・湿度管理・圧力管理・清浄度に応じたゾーニング・的確な材料選定など、一般の建築物とは異なる高度な専門知識と経験が必要とされる。

S社の組織知になっているといえども、こうした技術やノウハウは、一朝一夕には身に付かない。

建物をつくるのは人であり、お客様の高度な潜在ニーズを引き出し、それを形にできる提案力や専門能力、思いを汲み取る人間力が必要だ。

そのため、社内大学「SANWAアカデミー」を開催し、年間で100時間ほどの講座を開催している。

その特徴は、講師を、社内の一定の経験年数や資格のある先輩社員が務め、現場で磨いた技術や経験をもとに、現場で見てきたこと、現場で起こりうる組織知をレクチャーする。

その中で、社員の人間力も高めていくのだ。

S社は、全国27000超の中小規模の食品工場のうち、高度な提案を求める施主に対して、事業目的に適う、高い価値を生む建物を次々と提供し、高い評価を得てきた。

S社は、食品工場に特化することで、「他ではできない、やろうとしない、施主の高度な水準の要求を実現する建設業」という池(市場)のクジラとなっている。

  
  
アタックスグループでは、1社でも多くの「強くて愛される会社」を増やすことを目指し、毎月、優良企業の視察ツアーを開催しています。
視察ツアーの詳細は、こちらをご覧ください。

西浦道明のメルマガバックナンバー 一覧へ

筆者紹介

西浦道明

アタックスグループ 代表パートナー

公認会計士 税理士 西浦 道明(にしうらみちあき)

1981年、株式会社アタックスを創業。中堅中小企業の経営の専門家として「社長の最良の相談相手」をモットーにしている。
東京・名古屋・大阪・静岡・仙台を拠点に、中堅中小企業の総合的なご支援に力を注ぎ、約200名のコンサルタントとともに日本に「強くて愛される会社」を一社でも多く増やすために汗をかく。
西浦道明の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。
タイトルとURLをコピーしました