コロナ関連倒産500件超え~事業撤退・廃業の判断に必要なこと

帝国データバンクは9月8日、新型コロナウイルス流行による業績悪化が原因で倒産した企業が全国で500件に達したと発表しました。

6月に120件、7月は115件でしたが、8月は84件と若干落ち着いています。

また、業種別では、飲食業やホテル・旅館業、アパレル小売店などの業種が外出自粛の煽りを受けていることがうかがえます。

ただ、上半期の倒産件数は3,943件(前年同期3,998件)と前年を下回っています。

これは、コロナの緊急融資や雇用調整助成金などの政策により倒産が一時的に抑えられているものと考えられ、コロナの状況次第では今後さらに件数が増えることが懸念されます。

事業撤退や廃業を決断する難しさ

そうしたコロナ倒産の動向も気になるところですが、それとは別に、最近私が感じていることがあります。

それは事業撤退や廃業の判断は本当に難しい、ということです。

社長が高齢でかつ、後継者がおらず、業界内の再編が進む中で新たなビジネスに事業転換できるだけの体力もないためやむなく廃業を選択される会社が少なからずあります。

社長がかなりの高齢であれば、新たに借入を行い、大型投資すること自体、大きなリスクを伴うため財務的に余力があるうちに撤退・廃業を決断される例もあります。

ただ、経営者にとって、撤退・廃業の判断はかなり難しいものです。

例えば、貸借対照表上は資産超過であっても清算を前提とした清算貸借対照表を作成してみると、簿外となっている退職債務や不動産等の含み損などを計上することで、実質的に債務超過に陥っているケースも多く見られます。

こうした場合、会社を整理するときには、経営者の個人資産を拠出し債務返済に充てなければなりません。

また、財務的には問題がなくても従業員の雇用を継続できない場合は、撤退・廃業の判断はなかなかできないのが実情です。

雇用を継続したい、という想いは、経営者であれば誰しもお持ちだからです。

しかし、その想いが判断を遅らせ、赤字が拡大し、結果として財務内容を毀損させ、個人資産まで投じることになってしまう—―

そのような会社も残念ながら見受けられます。

安定的に事業を継続するには、顧客と従業員と会社がウインウインの関係にあることが必要です。

顧客志向が強すぎて利益が上がらなければ経営は成り立ちません。また、従業員に過度な労働を強いて利益を確保していてもそのようないびつな状況はいつか破綻するでしょう。

コロナ禍の状況にあって一時的に赤字に陥る事態となったとしても、中長期的にウインウインの関係を目指すような会社運営をしていかないと、事業継続は難しいでしょう。

コロナ禍という過去にない事態ですが、今までのビジネスのやり方では顧客と従業員と会社がウインウインの関係を維持できなくなるのであれば、まずは環境に対応してビジネスモデルを再構築する必要があります。

簡単なことではありませんが、自社のリソース・強みを活かしながら置かれた環境に機会を見出し、新たなビジネスを構築した会社が生き残っていけるのだと思います。

とはいえ、中小企業の場合、経営資源も限られます。

従業員を守るM&Aという選択肢

自社だけでは困難ということであれば、M&A(事業売却)も1つの選択肢になります。

自社のリソースでは難局を乗り越えられないのであれば、事業の一部や全部を売却し、他社に委ねることで従業員の雇用を守ることができるかもしれません。

ただし、M&Aでもすべて解決できるものではなく、相手があることですので事業価値が認められない場合は、買い手が見つからないことも十分に考えられます。

そういった場合にはじめて、廃業も選択肢になってくるのだと思います。

ある程度、資金があるときであれば、取引先にも迷惑がかからないように廃業を準備することもできますし、従業員の再就職の斡旋もできるでしょう。

経営者にとっては苦渋の決断かもしれませんが、将来の展望が見えないまま赤字を流出し続けても結局は問題の先送りにしかなりません。

最後は取引先にも従業員にも迷惑をかけてしまいます。

M&Aを行う場合でも、通常であれば半年程度の時間を要します。

もちろん自助努力で解決できれば良いのですが、何としても最悪な状況だけは回避せねばなりません。そのためには、早め早めに事前に準備・検討しておくことが必要なのです。

アタックスグループでは、中小企業のM&Aのサポートを行っています。
M&Aに関するご相談がございましたら、お気軽にこちらからご相談ください。

筆者紹介

株式会社アタックス・ビジネス・コンサルティング 執行役員 坂井 啓宏
1999年 滋賀大学卒。中堅中小企業の業績管理制度構築や事業計画策定等のコンサルティング業務に従事。中小企業再生ファンドの運営にも携わる。現在は、デューデリジェンスや計画策定等の企業再生支援、株式公開支援、買収監査や企業価値評価等のM&A支援を中心にプロジェクトマネージャーとして活躍中。
坂井啓宏の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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