自社の強み・弱みの分析方法~SWOT分析と環境分析

中期経営計画は、中小企業に必要性があるのか?」で、「中期経営計画とは、現状の姿と将来のあるべき姿のギャップを認識し、その差をどのように埋めていくのかを行動・数値の両面で表わした計画である」と定義しました。

今回は、中期経営計画の策定プロセスの出発点として、自社の強み・弱みを含めた環境分析やビジネスモデルの検証方法について、話を進めていきます。
 

「将来のあるべき姿」中小企業はこう考えよう

自社の強み・弱みの分析が、ビジネスモデルを検証し、ひいては中期経営計画を策定していくための出発点です。
具体的に言えば、自社の商品またはサービスが売れる、または受け入れられるのはなぜか? 逆に売れない、または受け入れられないのはなぜかを考えていくことです。

大企業と比較して経営資源が限定的な中堅・中小企業の中期経営計画の策定において、将来のあるべき姿を考える場合、一般的には自社の強みを強化する方向かまたは弱みを補完するような方向で考えるべきです。
つまり、常に自社の経営資源と考え合わせながら将来のあるべき姿を描いていくのです。
 

SWOT分析と環境分析

強み・弱みを見つける一般的な分析手法に、「SWOT分析」があります。
SWOTとは、 Strength(強み)、Weakness (弱み)、 Opportunity (機会)、Threat(脅威)のそれぞれの頭文字をとったものです。

「強み・弱み」は内部環境分析

「強み」とは、その自社の持っている経営資源のうち、他社と比べて優れているものは何か、反対に「弱み」とは、自社の経営資源で他社と比べて劣っているものは何かということです。
この強み・弱み分析とは、自社で育成された経営資源の特徴を分析するという意味で、内部環境分析ということになります。

「機会・脅威」は外部環境分析

一方、「機会」とは、会社をめぐる外部環境において自社にとって好ましいことは何かということです。
反対に「脅威」とは、外部環境において自社にとって好ましくないことは何かを示します。
この外部環境とは、自社を取り巻く環境、例えば顧客、競合他社、政府、経済状況などの競争要因を指します。先ほどの内部環境分析との関係でいえば、この機会・脅威の分析は外部環境分析ともいえます。

例えば、勝手ですが、十年前に私がセミナー教材としてユニクロの簡単なSWOT分析を書いたものが下図です。
その後の同社のとった戦略と見比べるとSWOT分析のイメージがつかみやすいのではないかと思います。


 

SWOT分析での注意!考え方には2面性がある

SWOT分析を実行するに当たって注意すべきは、強み・弱み、機会・脅威といっても、必ず2面性があるということです。

例えば、非常に人気のあるカバンを売っている会社があるとしましょう。
単純に考えれば、この会社の「強み」はブランドカであるといえます。
でも、本当にそうなのでしょうか?

このブランドカの強い商品を持っているがゆえに、この商品に頼ってしまい、ブランドイメージを壊すことを恐れ、新しい事業展開が行いにくいなどというマイナス面も考えられます。変化を起こしにくいという意味で「弱み」ということもできるのです。

機会・脅威の分析でも同じです。
例えば、小学生をメインターゲットとして毎月、定期的に母親や子どもを訪問し、教材やテストを手渡しているX社のケースを考えてみます。
X社の機会・脅威の分析はどのように考えればいいのでしょうか?

小学生がメインターゲットといった瞬間、すぐに思い浮かぶのは「少子化」でしょう。
将来の顧客が減少するということで、少子化はこの会社の「脅威」と考えることが可能です。
しかし、この会社にとって、少子化は本当に脅威なのでしょうか?

まったく逆の発想をすることも可能です。
少子化が進めば、親が子ども一人当たりにかけることのできる教育費が上がると考え、「脅威」ではなくむしろ「機会」ととらえることもできるのです。

このように、強み・弱みにも機会・脅威にもそれぞれ2面性があるのです。
ここは、経営者の判断といいますか、感性によって、強みか弱みかまたは機会か脅威かが定義づけされることになります。



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筆者紹介

アタックスグループ 代表パートナー
株式会社アタックス・ビジネス・コンサルティング 代表取締役会長
公認会計士・税理士 林 公一
1987年 横浜市立大学卒。KPMG NewYork、KPMG Corporate Finance株式会社を経て、アタックスに参画。KPMG勤務時代には、年間20社程度の日系米国子会社の監査を担当、また、数多くの事業評価、株式公開業務、M&A業務に携わる。現在は、過去の経験を活かしながら、中堅中小企業のよき相談相手として、事業承継や後継者・幹部社員育成のサポートに注力。
林公一の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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