ベンチャー育成の源である新興市場の復活を!

今、私の持っている情報によると、2010年における新規株式公開案件数は、22社に留まるようである。2009年の19社の新規株式公開件数を考慮すれば、2年続けての低水準である。しかも、新規公開22社の資金調達総額は、約1.3兆円。

ただし、その内訳は、大塚ホールディングの2,000億円、第一生命保険の約1兆円が大半をしめている。また、株式公開により資金調達できた金額が10億円以下の会社は10社である。これは、2010年に株式公開を果たした会社のほぼ半数である。

株式公開のためのコストが1億円から2億円かかるとすれば、それほどの大きな資金収集力は今の公開市場にはないことがわかる。それだけ、投資家から見た市場は魅力的に映らないようである。

だからこそ新聞に記載されているとおり、新興市場の代名詞である「マザーズ」や「ジャスダック」の上場ルールを変更し、市場自体を活性化し、投資家たちの目を新興市場に向けさせることは非常に重要である。

その変更の一つが、「マザーズ」での上場廃止基準の引き上げだ。基本的には、時価総額が5億円の状態が9ヶ月続けば上場廃止という基準を、ある条件下では10億円に引き上げようというものである。

時価総額が5億円から10億円に引き上げられれば、それだけ高い株価を維持することが必要となり、上場維持のため、多くの努力を払うことを会社は求められる。その反面、会社の活動は活性化し、市場自体も活発になると期待される。

また、「ジャスダック」においても、営業損益と営業キャッシュフローが4年連続で赤字の場合(すなわち、本業で利益を生み出すことができなくなっている会社を意味する)、どちらかが1年以内に黒字ならない場合には、上場廃止と定めている。上場を廃止されたくない会社は、何が何でも黒字化を求められる。こちらも、会社の活動の活発化を促すことが期待される。

私は、このプロトピックスで何回もベンチャー企業による日本経済の活性化についてコメントしてきた。人口減や海外進出等により、国内の経済規模の縮小が予想される日本。それを克服するためにも、今年は、新しい経済の息吹であるベンチャー企業育成のベースである新興市場が、いい意味で連日新聞紙上を賑わせてもらいたいものである。

<参考記事>
「新興市場「新陳代謝」促す」2010年12月16日(木)日本経済新聞 朝刊

筆者紹介

アタックスグループ 代表パートナー 公認会計士・税理士 林 公一
1987年 横浜市立大学卒。KPMG NewYork、KPMG Corporate Finance株式会社を経て、アタックスに参画。KPMG勤務時代には、年間20社程度の日系米国子会社の監査を担当、また、数多くの事業評価、株式公開業務、M&A業務に携わる。現在は、過去の経験を活かしながら、中堅中小企業のよき相談相手として、事業承継や後継者・幹部社員育成のサポートに注力。
林公一の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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