事業承継計画書の事例(計画づくりのステップ) | アタックス税理士法人

事業承継計画書の事例(計画づくりのステップ)

事業承継をめぐる現状把握が完了し、いよいよ事業承継の計画書づくりがスタートします。
ここでは、社長がリーダーとなり、後継者の一郎や数人の経営幹部、将来の役員候補Y氏を加えて、具体的に検討していきます。

事業承継計画書サンプルダウンロード(エクセル)

ステップ1 経営理念を共有する

最初に取り組んだのが経営理念です。

社長はこの経営理念に決めた経緯と自分の思いを説明したうえで、後継者の一郎らとともに経営理念の見直しが必要かどうか検討していきました。

その結果、現在の経営理念は当社の従業員はもちろん、取引先の担当者にも十分浸透していることから、そのまま次の内容で継続することに決定しました。

我々は高品質の〇〇材を提供し続けることで、お客様の信頼に応えるとともに、地域社会に大きく貢献する。

ステップ2 中期的な経営ビジョンを立てる

次は経営ビジョンを検討することになります。
そこで、事業ドメイン、数値目標、経営基本方針の3つを決めていきます。

プロジェクトのメンバーはそれぞれ意見を戦わせながら、次の経営ビジョン(事業ドメイン・数値目標・経営基本方針)を決定しました。

事業ドメイン

  • 高品質の〇〇材を扱う専門メーカーであり続ける。
  • 優位性の高いこの地域にもっと密着する。

数値目標

当社の主な数値目標の3年後、6年後の目標は次ページのとおりとした。

項目現状3年後6年後
売上高18億円20億円22億円
経常利益7,000万円9,000万円1.1億円
自己資本4億円4.4億円5億円

経営基本方針

  • 地域密着型の〇〇材専門メーカーとしての地位をますます高める。
  • 高品質化に対応すべく研究開発を強化する。
  • お客様の要望に応えるため抜本的な総合サービス体制に革新する。

ステップ3 事業承継の具体的な対策と実施時期を決める

最後に決めておかなければならないことが事業承継を進めていくうえで必要となる具体的な対策とその実施時期です。
社長と後継者の一郎は次の項目について検討を重ねていきました。

後継者育成について

後継者育成のプログラムについては、次のとおり決定した。

  • すでに取引先A社で勤務があり、これ以上の他社経験は行わない。
  • 当社入社後、工場勤務を経験し、現在は営業部勤務である。
  • この後は経理部で経験を積ませ、3年後には経営企画室を立ちあげて責任者とする。
  • 取締役には経理部異動時に就任、経営企画室立ちあげと同時に常務とし、その後専務、7年後に社長就任とする。
  • アタックス社長塾には積極的に参加させる。

事業関係者の理解について

事業関係者へ公表する時期は次のとおり決定した。

  • 当社役員、従業員には常務取締役昇格時に公表する。
  • 親族株主には当社役員、従業員への公表時に理解をもらう。
  • 銀行や取引先には専務取締役昇格時に公表する。

自社株や財産の承継について

自社株を始めとする太郎社長の財産の承継は次のとおり決定した。

  • 公正証書遺言を作成する。
  • 自社株については、暦年贈与を行ないつつ、6年後に株価対策を行ったうえで、7年後に相続時精算課税制度で贈与する。
  • アタックス研一氏、X氏の所有株式は金庫株で徐々に会社が買い取る。

会社を磨く方策について

一郎への事業承継を進めるなかで、会社の現状分析の結果を専門家と協議し、これから数年かけて事業の成長性を高めるために次の施策を行なうことにしました。

スケジュール実施策
現在来年以降の3年間の経営計画を策定する。
プロジェクトリーダーは社長、メンバーに一郎も選任。
全社業績管理制度を点検する。
2年目セグメント別業績管理制度を導入する。
3年目3年間の経営計画を策定する。
プロジェクトリーダーは経営企画室長である一郎。
4年目経営幹部を中心に人事の見直しを行なう。
6年目3年間の経営計画を策定する。

ステップ4 事業承継プランの視える化を行なう

残るは、事業承継プランを「視える化」することです。
これにより、誰がいつ何をすべきかひと目で確認できるようになります。
以下はその一例です。

 

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