2026年海外M&A最新動向|円安・金利上昇時代の選別と意思決定 | アタックス税理士法人 国際部

2026年海外M&A最新動向|円安・金利上昇時代の選別と意思決定

2026年1月30日

2025年後半より、海外M&Aを取り巻く環境は複雑な局面に入りつつあります。日銀の政策修正や植田総裁の発言「金利は緩やかに上昇する一方、円安基調は続く」が背景にあるためです。実質金利は緩和傾向にあるものの、企業にとっては資金調達コスト上昇と円安による投資額増加が同時にのしかかる状況です。

その結果、海外M&Aでは拡大を前提とした戦略が通用しづらくなっています。2026年に向けて問われるのは、実行の可否ではなく高コスト環境下でも価値を生む案件を見極める「選別と意思決定」の精度です。今回は、その判断のヒントとなる海外M&Aの最新トレンドを解説します。

円安と金利上昇が同時に進む時代の海外M&A

2026年1月現在、日本経済は円安が続いています。また、日銀の金融政策決定会合において政策金利を従来の0.50%から0.75%へ引き上げるなど、金利が緩やかに上昇する局面に入っています。

実質金利は低水準でとどまっているものの、資金調達コスト上昇と円安による海外投資額の増加が同時に進行しているのが現状です。こうした状況において、海外M&Aでも従来の低金利・円高を前提とした意思決定は通用しづらくなってくるといえるでしょう。

円安と金利上昇が同時に進むなかで重要なのは、海外M&Aの可否ではなく「どのような案件を選別するか」です。

2026年の海外M&Aトレンド|拡大から選別へ

これまでの海外M&Aは、事業拡大や成長加速を目的とした「規模重視」の戦略が主流でした。しかし、高コスト環境下では規模を追うほどリスクが高まる可能性があります。

2026年に向けては、「投下資本利益率(ROIC)が資金調達コストを明確に上回るか」という収益性を見極める選択型投資への転換が求められています。

【買い手視点】判断軸は資産の中身

金融機関の「海外M&A向けの融資姿勢」には、積極性が見られます。一方で、金利上昇局面では借入コストの増加により、レバレッジの効果が想定通りに働くとは限りません。

インフレと金利上昇が同時に進む環境では、現金保有に対するリスクが高まる傾向にあります。そのため、海外M&Aを通じて「稼ぐ力を持つ実物資産」へ資本を置き換える動きは合理的な判断といえるでしょう。

具体的には、現地通貨建てでの自律的な資金繰りが可能なのか検証。さらには『インフレコストを価格転嫁できる市場シェアがあるか』といった、事業基盤の強固さが選別の基準となります。外形的な魅力の評価だけでなく、キャッシュフローの質を含めた「資産の中身」の精査が海外M&A成功の鍵です。

【売り手視点】円安を活かす戦略的撤退

円安局面での売却は、円建てでの譲渡益が膨らみ、日本側での課税所得が想定以上に大きくなる可能性があります。そのため、租税条約の適用可否を事前に精査し、手残りキャッシュを最大化する設計が求められます

為替メリットを最大化するには、売却後の税務影響まで見据えたうえで適切なタイミングとスキームを選ぶ視点が欠かせません。

売却益をどのように再投資にあてるのかまで含めて設計すれば、戦略的な撤退は企業価値向上につながります。単なる事業整理ではなく、次の成長戦略につながる意思決定である点を明確にする視点が重要です。

高コスト時代に不可欠な財務・税務の視点

金利上昇と円安が進行する局面で海外M&Aを成功させるには、財務と税務の設計が重要です。調達方法や持ち株構造、のれんの扱いなど、取引後を見据えた設計をしなければ想定外のコストが発生しかねません。

また、各国・エリアのルールの影響を受けやすいため、初期段階から専門的な視点を取り入れる必要があります。財務・税務を単なるコスト管理にとどめず、意思決定の精度を高める戦略要素として捉えましょう。

海外M&Aは国際税務に強いパートナー選びが重要

2026年における海外M&Aでは、環境変化を正しく理解して「拡大」から「選別」へと戦略を切り替える視点が重要です。なかでも国際税務は、意思決定の成否を左右する実務的な軸でもあります。なぜならば、税効率の最適化が、最終的なIRR(内部収益率)を数%押し上げる可能性があるからです。

高コスト時代に価値あるM&Aを実現するには、専門性の高さと実務経験豊富なパートナーとの戦略的な連携が欠かせません。海外M&Aの検討段階から国際税務の専門家を交え、企業成長につながる意思決定を行いましょう。

編集者アタックス税理士法人 国際部 編集チーム

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