仮想通貨の海外取引所利用、確定申告の税金計算で悩んでいませんか? そんな悩みを解決するために重要なのが「正確な知識の習得と事前の準備」です。
今回は、前回コラムより海外取引所を利用した際の税金計算の具体例を深掘りします。さらに、確定申告の注意点や多くの方が疑問に思う点もQ&A形式で解説します。海外取引所の税務を正しく理解し、安心して確定申告を進めたい個人投資家の方は、ぜひご覧ください。
前回のコラムはこちらです。
【解説】仮想通貨取引・海外取引所を利用したら納税義務はどうなる?
仮想通貨の海外取引所における税金計算の具体例
海外取引所で仮想通貨の取引を行う場合の税金計算について、個人投資をモデルにした2つのケースを解説します。
<ケース1:給与所得者が年間50万円の利益を得た場合>
仮想通貨の利益は雑所得となり、給与所得と合算して確定申告します。今回のケースでは「年間300万円の給与所得を得ている」と仮定します。
国税庁が発表している「所得税の速算表」によると、この場合は税率20%、控除額42万7500円です。計算の結果、27万2500円が納付額となります。
(300万円 + 50万円)× 20% – 42万7500円 = 27万2500円 |
<ケース2:複数の仮想通貨(BTC、ETHなど)を取引した場合>
各仮想通貨の損益を計算し、利益が年間20万円以上であれば確定申告の対象です。このケースでは、BTCの年間利益50万円、ETHの年間損失20万円だとします。確定利益は30万円なため、速算表をもとに計算すると納付額は1万5000円です。
(50万円 – 20万円)× 5% = 1万5000円 |
仮想通貨 海外取引所の確定申告|失敗しないための注意点
仮想通貨取引で海外取引所を利用する場合でも、確定申告は必要です。申告漏れや無申告は避けなければなりません。しかし、海外取引所で行った取引履歴は、いつ閲覧できなくなるか不透明な点に注意が必要です。対策として全取引履歴の取得と整理・保存方法を構築しておくとよいでしょう。
また、手計算によるミスを防ぐため、仮想通貨取引専用の計算ツールなどの活用もおすすめです。なお、税制やルールは改正されることがあるため、最新情報の収集を心がけましょう。
仮想通貨 海外取引所の税金に関するQ&A
仮想通貨・海外取引所の税金でよくある質問に回答します。
- 仮想通貨に適用される税率は?
- 海外取引所が閉鎖!取引履歴がない場合はどうすればいい?
- De-Fi(分散型金融)やNFTの利益も確定申告は必要?
- 税金の計算や申告を間違えたらどうなる?
申告漏れや無申告の状態を避けるためにも、確認しておきましょう。
仮想通貨に適用される税率は?
雑所得は、ほかの所得と合わせて所得税として計算する総合課税です。所得税の税率は、所得金額で変動します。例えば、合計所得額が1,000円から194万9000円までであれば税率は5%、所得額が4,000万円以上であれば税率は45%となります(1,000円未満の端数切り捨て)。
参考:国税庁「No.2260 所得税の税率」
海外取引所が閉鎖!取引履歴がない場合はどうすればいい?
海外取引所のなかには、突然閉鎖するなどして取引履歴にアクセスできなくなる場合があります。取引履歴が入手不可能になったら、銀行口座の入出金履歴から推計を行います。
税務署では円滑な確定申告を行うための基本的な相談が可能ですが、税務署員が仮想通貨に精通しているとは限りません。困ったときは専門的な知見を持つ税理士に相談しましょう。
De-Fi(分散型金融)やNFTの利益も確定申告は必要?
De-Fi(分散型金融)は取引に使用するトークンを暗号資産とみなすと考えられ、課税対象となる可能性があります。De-Fiに関する確定申告は、申告前に税務当局の見解を確認しましょう。判断が難しいと感じたら、仮想通貨に強い専門家への相談をおすすめします。
NFTは取引内容に応じて譲渡所得や事業所得など名目は変わるものの、仮想通貨取引にあたります。そのため、NFTで利益が出た場合は確定申告が必要です。
税金の計算や申告を間違えたらどうなる?
計算・申告ミスは、過少申告加算税や無申告加算税、延滞税などのペナルティが発生するリスクがあります。故意の場合は、重加算税の可能性も生じます。ペナルティを避けるためにも、間違いに気づいたら極力早い段階で修正申告を行いましょう。
国際税務の複雑な計算や判断はアタックス税理士法人へ
海外取引所を利用した仮想通貨取引には、メリットがある半面、複雑な計算や状況判断が必要になる場合もあります。時には個人で対応できる範囲を超えてしまうこともあるかもしれません。そのような場合は、国際税務に強い税理士に相談しましょう。
仮想通貨に関する国際税務のご相談は、アタックス税理士法人へお任せください。
編集者:アタックス税理士法人 国際部 編集チーム