チームや組織の成長は、社員それぞれの日々の積み重ねから生まれます。その成長を可視化し、組織全体の目標達成に繋げるための有効な手段が「目標管理シート」です。
本コラムでは、その概要から活用のメリット、目標設定方法、職種別記入例、運用上の注意点まで、実践的な情報を網羅的に解説します。
組織のパフォーマンス最大化を目指し、目標管理シートの導入・運用を再考しませんか?
目標管理シートとは?
目標管理シートとは、社員が自らの目標を設定し、達成状況を定期的に評価・振り返るためのツールです。
組織全体の目標達成に向けて、個々の社員が主体的に貢献するための仕組みであり、人材育成、モチベーション向上、組織文化の醸成など、多くの効果を期待できます。
目標管理シートを導入するメリット
一般的に、目標管理シートで設定されるものは目標、行動計画、KPI(達成度を図るための指標)などです。
これらの情報をもとに、達成や進捗状況の記録と報告、上司・部下間のフィードバックを実施することが目標管理の一連の流れです。
以下のように、目標管理シートの活用で享受できるメリットは多岐にわたります。
社員の主体性やモチベーション向上
自身で目標を設定し努力することで、当事者意識と達成感を向上させます。
組織目標との連携強化
個人と組織全体の目標を紐付けることで、組織目標の達成を促進します。
公平な評価の実現
目標達成のための行動が示されるため、客観的な指標に基づいた評価が可能です。
明確な評価基準は社員の納得感を高め、組織の公平性の担保に繋がります。
コミュニケーション活性化
密なフィードバックを通じて、課題解決に向けた活発な議論が期待できます。
人材育成
目標達成に必要なスキルや知識の習得機会が増えること、上司からの適切な指導やサポートを受けることで、社員の能力開発促進に繋がります。
目標管理のフレームワーク
目標管理シートの効果を最大限に引き出すためには、適切な目標設定が不可欠です。 そこで、今回は目標設定の様々なフレームワークの中でも代表的な、「SMART Goals」をご紹介します。
SMART Goalsは、目標設定の際に5つの要素を満たし、より行動や評価をしやすい状態を目指す考え方です。「SMART」とは5要素の基準の頭文字をとったものです。
このように、SMART Goalsによってするべきことが明らかになり、その達成度合いを測ることが容易になります。
目標管理シートの記入例
ここでは、SMART Goalsのフレームワークに従った目標設定のイメージをご紹介します。
営業職の場合
目標 | 第四半期に、新規顧客獲得数を前四半期比で20%増加させる。 |
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具体的な行動計画 | 新規顧客リストの作成:毎週50件の新規顧客リストを作成する。 テレアポ件数:毎週50件以上のテレアポを実施する。 商談件数:毎週10件以上の商談を実施する。 |
KPI | 新規顧客獲得数:20%増(具体的な数値目標を設定) 商談数:週10件以上 受注率:5%以上維持 |
エンジニアの場合
目標 | 〇〇プロジェクトの開発期間を、現行の△△プロジェクトと比較して15%短縮する |
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具体的な行動計画 | 自動テストの導入:単体テスト、結合テストを自動化する。 開発プロセスの見直し:アジャイル開発手法を導入し、開発プロセスを効率化する。 チーム内コミュニケーションの強化:Slack、GitHub、JIRAなどのツールを活用し、チーム内コミュニケーションを円滑にする。 |
KPI | 開発期間:15%短縮(プロジェクト管理ツールで計測) バグ発生率:10%以下に抑制 コード品質:A指標で80点以上 |
人事の場合
目標 | 12月31日までに、社員のエンゲージメントスコアを、現在の平均値から10%向上させる。 |
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具体的な行動計画 | 従業員満足度調査の実施:全社員を対象に匿名でアンケートを実施し、課題を特定する。 改善策の実施:調査結果に基づき、職場環境改善、福利厚生の充実、キャリアパスの明確化などの施策を実行する。 研修プログラムの充実:階層別研修、スキルアップ研修、OJTなどを実施し、社員の能力開発を支援する。 |
KPI | エンゲージメントスコア:10%アップ(従業員満足度調査で計測) 離職率:10%以下に抑制 研修参加率:60%以上 |
いかがでしょうか? いずれの場合も、いつまでにどのような行動を取るべきかが具体的ではないでしょうか。
目標管理シートを運用するときの注意点
目標管理シートは、正しく運用しなければ効果を得られないばかりか、逆効果になることもあります。
以下の点に注意して、目標管理シートを運用しましょう。
上司・部下間の密なコミュニケーション
目標設定の段階から上司と十分に話し合い、認識のずれがないようにしましょう。
上司には、部下のキャリア目標や能力を理解したアドバイスやサポートが求められます。
定期的な進捗確認とフィードバック
目標達成に向けて定期的に進捗状況を確認し、フィードバックしましょう。
また、部下の次の行動に繋げるため、フィードバックは建設的で具体的なものでなければなりません。
目標の見直し
環境変化に応じて、必要であれば目標を柔軟に見直します。目標は、常に最新の状況に合わせて調整する必要があります。
まとめ
目標管理シートは、使い方次第で組織の成長を加速させられるツールです。戦略的に活用することで、組織文化に根付かせ、持続的な成長を実現することができます。
ご紹介した情報を参考に、貴社に合った目標管理シートの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
アタックス・ヒューマン・コンサルティングのHPでは、目標管理シートのテンプレートを無料で配布しています。ご興味のある方はぜひご利用ください。
本コラムが、皆様の組織における目標管理の一助となれば幸いです。
筆者紹介
- 株式会社アタックス・ヒューマン・コンサルティング 社会保険労務士 コンサルタント 三苫 芽以
- 福岡県出身。大学卒業後、アパレル企業に就職し、店舗での接客・販売に従事。その後、IT・Web 業界の企業で新卒中途採用、総務等をおこなう中で、「社員が精神的・物理的に安心して働ける土台があってこそ、企業はより成長できる」と実感する。 強くて愛される会社を増やすべくアタックス・ヒューマン・コンサルティングに入社し、企業人事の実務経験を活かした支援ができるよう奮闘中。休日は運動不足解消のため、ピラティスに励んでいる。