AI時代の営業の本質とは~今こそ「人で勝つ」営業組織を作り上げる!

AI時代の営業の本質とは~今こそ「人で勝つ」営業組織を作り上げる! 営業

生成AIやAIエージェントの進化が、営業の世界にこれほどまでの影響を与える時代が来るとは、数年前には想像すらできませんでした。

更に、半年前には「使えないな」と思っていたAIツールが、2025年後半にかけて驚くべき進化を遂げています。

国内外の先進企業では、すでにAIを営業プロセスに組み込み、成約率向上・業務効率化を実現した事例が次々と報告されています。

私の所属するアタックス・セールス・アソシエイツは、企業の営業現場に入り込み、目標達成を支援する専門部署です。

特に、長い歴史を持ち、地域でお客様と真摯に向き合ってこられた企業を中心に、営業組織の立て直しや営業目標の達成をご支援してきました。

そのような成熟期にある中堅・中小企業の社長から、AIの営業活用について、最近このようなお声をよくいただきます。

「AI搭載のSFAを導入したが、入力作業ばかり増えて現場が疲弊している」
「AIで資料は完璧に作れる。でも、商談での反応はむしろ悪い」
「若手はAIを使うのが早いが、顧客の本音を引き出せない」

AIを賢く活用すれば、営業の差別化にもつながりますが、お客様とリアルに向き合う営業だからこそ、AIに使われるのではなく、AIを使いこなすことが求められます。

AIは作業を高速化してくれます。しかし、営業活動の本質である「何を目的に動き、どんな意図で提案し、最後にどのように伝え、説得するのか」という核心部分は、これからも変わらず人間の力に依存します。

今回は、AI時代にこそ営業が持つべき3つの本質的な力について解説します。

AI時代に営業が持つべき「3つの本質的な力」

①問いを立てる力(目的を決める力)

現場で指導していると、次のようなケースが多く見られます。

引き合いの内容は理解しているものの、「これが何故必要なのか?」と問われると答えられない。

引き合いの内容はおろか、「あなたの営業部での役割や、上長から何を期待されているか?」と問われても、曖昧で抽象的な返答しか出てこない。

「お客様は何がしたいのか」
「自身は何をすべきなのか」

自ら問いを立てず、お客様や自身の目的を持たない営業は、言われた事はそつなくこなしますが、言われた以上の行動を取ることはありません。

AIが作成した資料をそのまま使い、AIが作ったシナリオをなぞることは出来ても、自ら考え、自分の言葉で語っているかどうかは、真剣に検討されているお客様ほど、すぐ見抜きます。

皆さんも、体裁こそ綺麗な資料や文面であっても、目標設定面談や営業進捗を確認した際に、「全く考えていないな…」とすぐ気づいたことはありませんか?

目の前の相手が真剣であるほど、AIが作成した綺麗でそつのない資料や文章は、かえって逆効果になることすらあります。

AIを使うか使わないかは問題でありません。まず自分自身が「何故なのか?」「本当にこれで良いのか?」と自問することが大切です。

その問いを持たずに、「ではこうしよう!」「こうすべきだ!」と、行動するだけの営業は、お客様はもちろん、社内でも主導的な人財にはなれません。

まず、鍛えるべきは自ら「問いを立てる力」です。

そのためには、皆さんはじめ、上長や先輩も、常に「なぜ?」「それで良いの?」と、愛情をもって営業担当に問いかけることが必要です。

②表現力(聞き方・言い方)

AIが示す商談の戦略やシナリオは年々精度を増し、2025年前半と比べても、別次元のクオリティになっています。

  • 質問リスト
  • 商談スクリプト
  • 提案資料
  • 想定問答
  • 音声シミュレーション

これらは、いまやAIが瞬時に、しかも高い精度で生成します。事前準備といった戦略的な部分の差は、これから更に消え、競合との差別化は一層難しくなるでしょう。

では、これからの営業で本当に差を生むものは何でしょう?それは、

  • どう聞くか(柔らかな表情・うなずき・間の取り方など)
  • どう言うか(目線・声の抑揚・手の動きなど)

といった、人ならではの表現力です。

実際に、私が指導にあたる企業の中でも、住宅や投資などのBtoC(一般消費者向けサービス)の現場では、ロープレに割く時間を増やし、「表現力」を鍛える時間を大幅に増やしています。

どんなに綺麗な資料や、どんなに簡潔に漏れなくメリットを示しても、人は目の前の人の熱量や気合に打たれるものです。

③やり切る力(決めたら絶対にやる)

最後に必要なのは、やはりこれです。

「すぐやる、全部やる、やり続ける、決めた事は必ずやり切る」

行き過ぎた精神論だけに終始するのは、確かにいけません。

しかし、これだけ大きな変化のうねりの中で、「出来たら良いな…」「自分なりに頑張ります…」という半端な覚悟では目標達成はもちろん、組織も家族も守ることなど出来ません。

成果につながるかは、やってみなければわかりません。成果を分けるのは、極めてシンプルな行動力です。

例えば、「本日中に資料を送ります」と伝えたなら、電話終了後すぐ送ればいい。

お会いすると決めているなら、「いつが宜しいですか?」と悠長な事を聞く前に、能動的にもう一言、「3月3日で難しければ27日は?」と具体的に日時提示すればいい。

AIはリマインダーや文章作成をサポートしてくれますが、最終的に何をするかを決め、現実の世界で実行するのは人間です。

歴史が長く、お客様との関係や案件もある程度受け身で流れてくれる成熟企業の営業ほど、この「やり切る力」の有無が、目標達成に大きく影響します。

成熟企業は、もともと現場・現物・現実という三現主義で、これまで生き残ってきたはずです。

  • 現場に出る
  • 顧客を見る
  • 直接聞き、話す

これは、AIでは代替できません。AIに適当な質問を繰り返し、表現も磨かず、決めた事もやり切らない営業は、確かにAIに駆逐されるでしょう。

しかしその一方で、自らどうあるべきかを問い、この提案でどうお役に立てるかを自ら考え、AIを活用して高い品質で準備を行い、身体全体でお客様の声や表情を漏れなく受け止め、高い熱量と真剣なまなざしで説得するという行動を
やり切る営業もいます。

こうした鍛錬を、個人で、組織で取り組む企業が、「人で勝つ」営業組織をつくりあげるのです。

2026年に入り、営業現場でAIの活用が急速に拡大する状況を目の当たりにして、改めて「人で勝つ」ということの重要性を、私は確信しています。

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筆者紹介

桑原賢一

株式会社アタックス・セールス・アソシエイツ 代表取締役社長 桑原 賢一
大手化粧品メーカーを経て、アタックスへ入社。BtoC、BtoB双方に豊富な営業現場経験を有している。現職では、目標予算を達成させるマネジメント手法「予材管理」を駆使し、上場企業の営業戦略構築・幹部マネジャー育成から、中堅中小企業では現場直接指導まで企業状況にあわせ豊富な指導スタイルを持つ。市場環境変化によって凋落した企業の組織を鍛え上げ、競合を圧倒するまでの状態に引き上げ、本業での会社継続は難しいとまで判定された企業を地域No.1まで立て直す、など数多くの指導実績から企業規模、業界業種を問わず多くのクライアントから支持されている。このためクライアントからの継続依頼率は群を抜いており、現在ではセミナー・講演は殆ど行わず、現場指導を中心に活躍する実践派・実力派のコンサルタントである。

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