人々の幸せのための組織づくり~人を大切にする経営とは~

坂本光司の快進撃企業レポート 経営

全ての活動には、目的と手段、そして結果の3つがあります。

この3つの中で、最も重要なことは目的です。それは、目的がなければ、手段を講ずる必要もないし、手段を講じなければ、結果は発生しないからです。

それでは、企業経営の最大・最高の使命・目的は何でしょうか。それは、その企業にかかわる5人の幸せの追求・実現です。

業績の実現も、重要なことですが、それは目的としてではなく、真の目的である人の幸せの実現のための手段として重要であるにすぎません。

それもそのはず、業績を実現しなければ、社員に適正な給与を支払うことができないし、また、社員やその家族の命と生活を守るための法定外福利厚生の充実など、到底できないからです。

加えて言えば、社会的公器である企業としての地域貢献・社会貢献等も十分できないからです。

企業経営で、幸せを追求・実現しなければならない人は、大きく5人(者)いると思います。

  1. 社員とその家族
  2. 社外社員(仕入先・協力企業)とその家族
  3. 現在顧客と未来顧客
  4. 地域住民、とりわけ障がい者や高齢者等社会的弱者
  5. 株主・支援機関・地域社会

この5人(者)の中で、経営者や幹部社員が最も重視しなければならない人とは、社員とその家族の幸せです。

顧客の幸せや株主の満足も、もちろん重要ですが、経営者や経営幹部こそは、社員と、その社員を支える家族の幸せを、最も重視した「正しい経営」を、ブレず行わなければなりません。

経営者や経営幹部が、顧客や株主よりも、はるかに社員とその家族の幸せを重視した経営を行なわなければならない理由は、大きく2つあります。

第1の理由は、ES無くしてCS無しだからです。

つまり、自分が所属している企業や組織に、不平・不満・不信感を持った社員が、顧客満足度の高い価値ある商品や感動的サービスを、日常的に創造・提案することなど、ありえないからです。

さらに言えば、自分が所属する企業や組織の上司や経営者に、日常的に不平・不満・不信感を持った社員が、上司や経営者の評価を高めるような価値ある仕事をするはずがないからです。

こんなことは、自分が逆の立場であったらと、考えればすぐにわかることなのです。

筆者が、述べている「社員とその家族第一主義経営」は、顧客や株主を軽視したような経営ではありません。

それどころか、顧客は、企業経営の盛衰の決定権者である極めて重要な人と思います。だからこそ、経営者や経営幹部は、顧客満足度を高める主体者である社員とその支援者である家族こそを重視した経営が必要かつ重要なのです。

そして、第2の理由は、好業績を持続している、いい企業は、例外なく、社員とその家族第一主義経営を実践しているという厳粛な事実です。

筆者は、過去、50年間以上にわたり、日本はもとより、アジアの企業を8500社以上訪問し、その経営の現場を、ハード面・ソフト面から調査してきました。

その最大の目的は、長期にわたり、ブレず好業績を持続している企業に共通する経営の考え方・進め方を調査し、それを理論化・体系化するためでした。

詳細は別の機会に譲りますが、その調査研究の結果、いい企業が共通し、実施している経営の考え方・進め方を多く見出すことができました。

その最大級の共通項が、「社員とその家族第一主義経営」だったのです。

一方、逆に、長期にわたり、業績が低迷している企業、あるいは好不況の度、業績が大きくぶれる企業の共通項は、いい企業とは真逆でした。

具体的に言えば、これら企業の経営は「業績第一主義」「企業第一主義」といった経営の考え方・進め方だったのです。

こうした企業は、企業内に温もりが消え失せ、逆にぎすぎす感がはびこっていたのです。

また、企業の業績を高めるための主体者である、社員のモチベーションが低いばかりか、組織のチーム力は欠落し、社員間に仲間意識・お互い様風土も消え失せていたのです。

ですから、心ある優秀な社員は、働きがいや組織愛が薄れ、新天地を求め離職してしまっていたのです。その結果として、その企業の業績は低下またはぶれまくっていたのです。

正に悪魔のスパイラスに突入してしまっていたのです。

ですから、「社員とその家族第一主義経営」の重要性は、理想でも単なる学理論でもなく、すべての企業が、実行すべき現実なのです。

ところで、一般的に、社員重視経営というと、社員そのものを重視した経営のことを指しますが、筆者が提唱しているのは、字のごとく、社員だけではなく、その社員を支える家族を含む、「社員とその家族第一主義経営」です。

その理由はたくさんありますが、ここでは紙面の都合で1つだけ述べます。

それは、一人の社員が持つ限られた時間の中で、家族の理解と支援無くして、価値ある仕事をし続けることは困難だからです。

つまり、経営者はもとよりですが、社員は企業を離れれば、地域住民の一人であり、地域住民としての役割も果たせねばならないからです。

ましてや、その社員が、地域社会の「長」といった役割が回ってきたら、多くの時間と手間暇がそれに費やされると思います。

それらに対し、地域住民として、社員一人がタイムリーに対応していたならば、企業人との両立は困難と思います。

人材ではなく「人財」と呼ばれる社員においては、ここが違うのです。つまり、家族がその役割の多くを担ってくれているのです。そして、働く家族の、企業における活動を直接・間接、献身的に支援してくれているのです。

こうしたことは、社員の家族に障がい者や援助を必要とする家族がいた場合は、なおさらです。私たちは、後ろ髪惹かれる思いでは、全身全霊で、組織のために価値ある仕事に取り組めないからです。

だからこそ、社員ばかりか家族も「大切にしてくれる企業」と、実感できる経営が必要かつ重要なのです。

 

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筆者紹介

坂本光司

アタックスグループ 顧問
経営学者・元法政大学大学院教授・人を大切にする経営学会会長  坂本 光司(さかもとこうじ)
1947年 静岡県生まれ。静岡文化芸術大学文化政策学部・同大学院教授、法政大学大学院政策創造研究科教授、法政大学大学院静岡サテライトキャンパス長等を歴任。ほかに、「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞審査委員長等、国・県・市町村の公務も多数務める。専門は、中小企業経営論、地域経済論、地域産業論。これまでに8,000社以上の企業等を訪問し、調査・アドバイスを行う。

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