隂山建設株式会社~社員とその家族を守るためにできること

経営

企業経営の最大・最高使命と責任は、関係する人々の幸せの追求・実現である。関係する人々は5人いるが、経営者や幹部社員がいちばんその幸せの追求・実現をしなければならない人は、社員とその家族である。

それもそのはず、企業の盛衰を決定する顧客を創造するのも、リピーターにするのも、社員だからである。

事実、社員とその家族が、程度の差こそあれ、所属する喜び・幸せを感じている企業で、業績が低迷している企業など、世界中に1社も存在していないのである。それはまるで「お天道様が見ている…」が如くである。

こうした社員とその家族第一主義経営を行う企業は、近年、全国各地で増加しているが、今回はその1社である「隂山建設株式会社」という社名の企業を紹介する。

場所は、福島県の郡山市、主事業は社名の通り、建設業である。社員数は10代から80代の社員までで、合計41名である。

同社では、実質定年制の廃止など、社員とその家族満足度を高めるための風土づくりや諸制度の創設など、様々なことを実践しているが、筆者が隂山正弘社長を褒めたたえたのが「隂山育英金」という制度である。

この制度は、もしも社員が理由を問わず、就労継続困難になってしまったり、死亡した場合、子供が成人するまで、その教育費等を会社が代わって負担するというものである。社員数が50名にも満たない企業では傾注に値する制度である。

制度のきっかけを社長さんに聞くと、ある日、昨日まで元気であった若い社員が、自宅で原因不明の突然死をしたからという。残された家族は、パートに通っていた奥さん、そして小学校2年生と幼稚園の年中の小さな子供さんだった。

この時、制度の創設を提案したのは、同社の社員からで「私だったかもしれません。家族を支援しましょう…」「彼の分まで皆で頑張ろう…」といったという。

同社が、本年3月に開催された第9回「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞に受賞されたことは当然であった。

余談であるが、亡くなった社員の奥さんは、パートでは生活が大変だろうと、同社で正社員として現在働いている。まさに企業のあるべき姿である。

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筆者紹介

坂本光司

アタックスグループ 顧問
経営学者・元法政大学大学院教授・人を大切にする経営学会会長  坂本 光司(さかもとこうじ)
1947年 静岡県生まれ。静岡文化芸術大学文化政策学部・同大学院教授、法政大学大学院政策創造研究科教授、法政大学大学院静岡サテライトキャンパス長等を歴任。ほかに、「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞審査委員長等、国・県・市町村の公務も多数務める。専門は、中小企業経営論、地域経済論、地域産業論。これまでに8,000社以上の企業等を訪問し、調査・アドバイスを行う。

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