株式会社ネオレックス~頑張る小さなITベンチャー

経営

名古屋市に、株式会社ネオレックスという社名のユニークな中小企業がある。社員数は34名ながら、東京大学・京都大学・東京工業大学、そして名古屋大学といった高学歴の社員が全国各地から集まる中小企業である。

現在の主事業は、クラウドサービスやアプリの開発サービス等で、とりわけ中心的業務は、自社開発ソフトである「バイバイタイムカード」と名付けられた「クラウド勤怠管理システム」である。ちなみに、社員数1,000名以上企業のマーケットに絞れば、業界ナンバーワンのシェアを誇る。

また、もう1つの主力サービスである、タブレットタイムレコーダーは、iPadをタイムレコーダーとして活用するアプリで、従来のタイムレコーダーにはない機能が備わっており、評価高い。

また、無料サービスとはいえ、自己管理のためのiPhoneアプリ「ⅯYSTaTs」も人気で、現在、世界の90ヶ国以上で20万人以上の人々がダウンロードしているという。

同社の創業は、今から30年前の1987年、現社長の駒井拓央氏の実父が脱サラし、スタートしている。当初は創業者がメカトロ技術者ということもあり、工場向け自動部品供給システムの設計製作など、ハードとソフトを組み合わせたシステム会社であった。

その後も、マイクロバーコード等、次から次に、世に新商品を出すが、市場の理解を得ず、苦難の時代が長く続いた。こうした中、2003年に開発した現在の主力商品である「バイバイタイムレコーダー」が、ようやくある大手メーカーに採用され、これを機に、業界の評価を得ることに成功し、以後ゆっくりではあるが、着実に成長発展している。

同社の最大の特長は、創業者を中心とした、高い技術力に支えられた商品開発力にもあるが、より重要な特長は、こうしたハイテクべンチャーでありながら、人間尊重・個人尊重の大家族的経営を貫いてきた点である。

そのいくつかを紹介すると、「ノルマを課さない」「部下・指示する・やらせる」の禁句「新規事業は全て全社員への公募」「年3回の個人面談」「風土はもとより金銭面での充実した福利厚生」そして「障碍者の雇用と全社員での支援」などがそうである。
 
こうした経営の進め方が、優秀な若い技術者のハートをしかと捉え、上述した優秀な高学歴社員が入社しているのである。

こうした企業の存在を見ると、人財不足の時代とはいえ、1つのヒントが示されている。

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筆者紹介

坂本光司

アタックスグループ 顧問
経営学者・元法政大学大学院教授・人を大切にする経営学会会長  坂本 光司(さかもとこうじ)
1947年 静岡県生まれ。静岡文化芸術大学文化政策学部・同大学院教授、法政大学大学院政策創造研究科教授、法政大学大学院静岡サテライトキャンパス長等を歴任。ほかに、「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞審査委員長等、国・県・市町村の公務も多数務める。専門は、中小企業経営論、地域経済論、地域産業論。これまでに8,000社以上の企業等を訪問し、調査・アドバイスを行う。

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