無人化技術では性能世界一をめざす -ウインテック株式会社

経営

西浦道明のメルマガ 2018年2月

2014年から当メルマガでは、自社独自の「池(市場)」を見つけ出し、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となった結果、高収益を獲得・維持している中堅中小企業をご紹介している。

連載42回目の今回は、愛媛県東温市にて生産ライン自動化の専門メーカーを営む、ウインテック株式会社(以下、W社)の池クジラぶりを見ていきたい。

W社は、1980年1月、現代表取締役の駄場元定生氏(以下、D氏)が31歳で創業した。

当初、15年程、儲けたい一心から安物の部品を使ったりしたため、故障が発生してクレームが殺到し、売上も利益も伸びない悪循環の中にいた。

そのような状況下、当時いた社員の多くが会社を離れていった。

「一体どうすればいいのか?」D氏は悩み続けた。

そんな中、ある経営者から「利益を出したいならお客様に喜んでもらうことが先だ」と教示された。

これをきっかけに、D氏は、お客様に喜んでもらうため「これからは一流のものをつくる」と決意した。

そこで、そのために何が必要かを真剣に考え、生まれたのが「本当の仕事」という冊子だった。

D氏が自身の思いを綴った仕事の心得、仕事への向き合い方であり、W社の経営理念に他ならなかった。

それ以降、一流の仕事をするため、社員と協力会社のモチベーションを高めることがD氏の最大の仕事となった。

W社には、「WinWin会」という30数社で構成される職人たちの協力会がある。

この高い技術力とこだわりの仕上げ力がW社の品質を支えている。

次にD氏が取り組んだのは、一流のものづくりだった。

当初、よい仕事は遠くにあると思い込み、D氏は東京などの大都市に営業に出かけた。

しかし、ある経営者から、自分の取引先はすべて愛媛の会社だと教えられ、「わざわざ大都市に行く必要などない」と思い知った。

愛媛は、大企業の製紙会社が多くある「紙の町」としても有名だった。

そこで、紙に関して開発した製品の1つが、現在のW社の主力商品、国内シェア85%の蛇行修正装置だった。

蛇行修正装置は、不織布などの薄くて長い帯状の原紙を使用するサニタリー製品(紙おむつなど)の生産ラインには必須だ。

紙おむつなどの生産ラインで長い帯状の原紙を扱う場合、生産スピードが上がるほど原紙は蛇行する。

複数種の紙の層で構成される製品は、重ね合わせる工程で紙が蛇行すると不良品が多発してしまうのでこの装置は欠かせない。

これまでの同種装置は、形状がゴツく、重量もあり、持ち運びできず、また故障することも多かった。

しかし、W社の装置はカーボンロール標準装備により軽量化、ブラシレスDCモーター採用及び、独自設計の稼動機構により、高速動作に対しても高い耐久性があり、結果、装置が壊れないため、定期的なメンテナンスを必要としないという特徴があった。

さらにW社は、製造装置に止まらず、紙おむつ生産ラインで使用するロール部分の開発も行った。

従来は炭素繊維を炉で熱していたため、製作に1本8時間程度かかっていたのを、樹脂に炭素繊維を混ぜて金型に流し込む方法を考案し、15秒までの短縮に成功した。

また重量も従来品の半分程度と軽量化にも繋げ、紙おむつの生産スピード向上を実現させている。

W社は、無人化技術では性能世界一の専門メーカーを目指している。

そして、蛇行修正装置のみならず原反自動継装置や自動袋詰装置などを次々と開発。

国内大手企業に止まらず、アメリカ航空宇宙局「NASA」などからも依頼が殺到し高く評価されている。

W社は、難易度が高く、どこにもできない「生産ラインの自動化」を請け負う専門メーカー市場(池)のクジラになった。

  
  
アタックスグループでは、1社でも多くの「強くて愛される会社」を増やすことを目指し、毎月、優良企業の視察ツアーを開催しています。
視察ツアーの詳細は、こちらをご覧ください。

西浦道明のメルマガバックナンバー 一覧へ

筆者紹介

西浦道明

アタックスグループ 代表パートナー
公認会計士 税理士 西浦 道明(にしうらみちあき)
1981年、株式会社アタックスを創業。中堅中小企業の経営の専門家として「社長の最良の相談相手」をモットーにしている。
東京・名古屋・大阪・静岡・仙台を拠点に、中堅中小企業の総合的なご支援に力を注ぎ、約200名のコンサルタントとともに日本に「強くて愛される会社」を一社でも多く増やすために汗をかく。
タイトルとURLをコピーしました