2022年中小企業白書は語る!~激変時代の今こそ人材育成投資を!

経営

新型コロナウィルスやウクライナ侵攻の影響の収束がなかなか見えない状況が続いており、日本の中小企業にとって非常に難しい舵取りが続いています。

新型コロナウィルスの流行は、中小企業にとってマーケットの縮小や人員不足といった影響があり、ウクライナ侵攻によって素材価格やエネルギー価格の上昇を引き起こす等、中小企業の経営環境に非常に大きなマイナスがあります。

2022年の中小企業白書では、この激変の経営環境下における中小企業の課題や対応策がまとめられています。

2022年「中小企業白書」が示す中小企業の課題

中小企業があげた「今後の不安要素」(=課題)を2021年と2022年の対比でみると、

①原材料価格、燃料コストの高騰(2022年 67.4%、2021年 14.5%)
②国内の消費低迷、販売不振(2022年 61.3%、2021年 77.4%)
③新型コロナウィルス感染症の影響(2022年 45.0%、2021年 79.9%)

となっており、2021年から2022年にかけて、新型コロナウィルスに対する懸念から、コスト上昇に対する懸念に不安要素が変化していることが伺えます。

また、「今後、経営基盤の強化に向けて注力する分野」(対応策)を2021年と2022年の対比でみると、

①営業・販売力の強化(2022年 60.4%、2021年 68.0%)
②人材の確保・育成(2022年 55.6%、2021年 47.9%)
③販売価格の引き下げ・コストダウン(2022年 38.8%、2021年 24.1%)

となっており、販売強化・人財育成・生産性向上といった対応策を強く意識しています。

中でも注目すべきは、企業の人財に対する意識であり、課題としての「人材の不足、育成難」と対応策としての「人材の確保・育成」は、いずれも2021年よりも2022年の方の割合が上昇しており、中小企業にとって人財の確保・育成が大きな経営課題となっています。

計画的なOJT/OFF-JTの重要性

また、中小企業白書では、企業の成長(付加価値向上)を促す方法として、無形固定資産への投資を提唱しています。

例えば、OECDの報告書によれば、無形固定資産投資と有形固定資産投資のどちらが労働生産性の伸びに対して寄与しているのかを調査したところ、無形固定資産への投資は労働生産性の上昇と統計的に正の相関性が有意にあるものの、有形固定資産への投資は統計的に相関性が有意でないという結果が報告されています。

中小企業白書では、無形固定資産への投資の具体例として、「ブランド構築」と「人的資本への投資」をあげており、この「人的資本への投資」をしている企業とそうでない企業では、売上高増加率に差がでているとしています。

例えば、計画的なOJT/OFF-JTをしている企業の売上高増加率は9.5%、OJT/OFF-JTをしていない企業では3.4%と実に6ポイントも差がついているのです。

今後の中小企業にとって、「人材の確保・育成」の課題に対して、計画的なOJT/OFF-JTの実施が重要な経営戦略のひとつであるといえます。

経営幹部参画型の「中期経営計画」策定の効果

この計画的なOJT/OFF-JTの実施を具体的に進める一つの方法として、経営幹部参画型の中期経営計画の策定をご紹介します。

中期経営計画では、外部環境分析・内部環境分析から中期ビジョンを策定し、現状と中期ビジョンのギャップを認識し、それを埋めるための中期変革方針とアクションプランを策定します。

OFF-JTとしての意義

外部環境や内部環境を分析するためには、経営分析や経営戦略に関する知識(=OFF-JT)が必要になり、それを学びながら各自が実践することで人財育成が図られます。

OJTとしての意義

また、中期ビジョンを策定して中期変革方針を策定するのは、まさに自社の課題を正しく認識し、それを解決するために何をすべきかを考えることであり、経営活動をするためのOJTに他なりません。

中期経営計画の策定を人財育成に繋げる!

中期経営計画を幹部参画型で策定することにより、経営トップの意見も伝えながら、組織的にあるべき姿を共有し、そのあるべき姿の実現に向けて、会社一丸となって対応することができるのです。

現に、この新型コロナウィルスが蔓延している中で、社長と幹部全員で中期経営計画を策定に取り組み、自社のビジネスモデルを点検し、今後の市場環境予測を踏まえたうえで、事業再構築に取り組み、成果がでてきている会社もあります。

特に、現在は国も中小企業の事業再構築を積極的に推し進めるため、事業再構築補助金等、様々な支援策を提供しています。

この難局を乗り切るため、積極的に経営幹部参画型の中期経営計画策定等、人財育成投資に取り組まれてはいかがでしょうか。
 

中期経営計画策定

筆者紹介

株式会社アタックス・ビジネス・コンサルティング 代表取締役社長
中小企業診断士 池ヶ谷 穣次
1993年 静岡県立大学卒。MBA。中堅中小企業の経営管理制度・管理会計制度構築サポート、事業再生サポート、財務・事業デューデリジェンス業務、M&Aサポート、株式公開支援、月次決算支援業務等に従事。システムエンジニア時代に得たシステム思考を応用し、経営者・経理責任者の参謀役として活躍中。
池ヶ谷穣次の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

タイトルとURLをコピーしました