不信渦巻く組織はコスト高~「生産性革命」企業が取り組むべきこと!

経営

第4次安倍内閣が発足しました。緊迫した国外情勢のなか、安倍首相の外交手腕に期待が高まる一方で、国内において喫緊の課題となっているのが、「生産性革命」と「人づくり革命」です。

首相の記者会見での主な中身は、2020年までの3年間を「生産性革命集中投資期間」と位置づけ、大胆な税制、予算、規制改革等の政策を総動員する。また、生産性を大きく押し上げて、4年連続の賃上げの勢いを更に力強くし、デフレからの脱却を目指す。そのための人づくり革命を断行する。とのこと。

まさに現在、企業は人手不足にあえいでいます。少子高齢化による生産年齢人口の減少は、有効求人倍率と、パートタイマーの時給を押し上げる一方です。

また、法案審議が来年の通常国会以降に持ち越しとなった働き方改革関連法案。これは、年収の高い一部専門職を労働時間規制から外す「高度プロフェッショナル制度」導入や、残業時間の上限を罰則付きで設定することなどを柱としていますが、2019年4月に施行されれば企業は更なる生産性向上を迫られます。

このような状況にあって、企業が取り組むべきことは、求職者が魅力的と感じ、今いる社員の定着率にも効果のある労働環境を整えることであり、それには、法改正に対する確実で誠実なキャッチアップと、実効性のある生産性向上策が必要です。 その具体策として、業務の標準化、省力化、自動化、平準化があげられますが、これらをいくら突き詰めても、解消できない課題があります。

それが、社員と社員との間に発生するコンフリクト、つまり対立や葛藤です。 実際に職場を冷静に見わたしてみると、非生産的なことに相当な時間を費やしていることに気づくはずです。

「○○さんは問題だ」
「○○が悪いんじゃないか、私の責任じゃない」
「会社がどこに向かっているのか理解できない」
「上司の言っていることが納得できない」

これらの言葉がよく聞かれる組織の多くは、社員が内向きのコンフリクト(対立や葛藤)に時間を取られ、価値を産み出す仕事に集中できていない状況に陥っています。 そしてこれが常態化すると、その企業は、多大なコストを払わされることになります。そのコストとは、「コミュニケーションコスト」です。

このような組織は、社員の会社や上司に対する「不信感」や「やらされ感」が蔓延しています。そのため、指示命令に対する社員の行動が鈍く、実行力が極めて低下しています。 それを回避し、なんとか動いてもらうために必要以上に気を使い、何度も何度も説明を繰り返す時間が必要となり、結果、膨大な時間がそこに費やされるわけです。

今の時代は不確実性が高く、例え過去に大成功を収めた経営者であっても、その判断を絶対的な確信をもって下している人は皆無です。このような中で企業が生き抜くためには、仮説を立てて実行する組織、外に向かって挑戦する組織をつくりあげることが大切です。

しかし、組織の内側に憂慮すべきことのある場合や、「不信感」や「やらされ感」が渦巻く組織の社員が、挑戦する気になるでしょうか?答えはNOです。 組織に対する信頼と共に働く仲間に対する信頼があってこそ、挑戦する力が涌いてくるものです。 つまり、生産性向上策の一つとして企業が取り組むべきことは、「いかに非生産的な時間をなくし、社員が価値を産みだす仕事に集中できる環境をつくりあげるか」なのです。

「不信渦巻く組織はコスト高」

法令遵守と業務改善のその先の、真の生産性向上のために企業のトップが取り組むテーマは、実は「風土改革」であり、「マネジメント改革」であることを理解することが大切だと思います。

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筆者紹介

アタックスグループ パートナー
株式会社アタックス・ヒューマン・コンサルティング 代表取締役
中小企業診断士 北村 信貴子
1963年生まれ。中小企業診断士、産業カウンセラー、BCS認定ビジネスコーチ。大手食品メーカー勤務後、アタックス入社。中堅中小企業を対象に経営診断や人事制度設計運用・人材育成業務に従事。現在は、後継者育成、管理者教育、女性リーダー育成を中心に実践型の教育訓練・能力開発に特に注力。講演・セミナー実績多数。受講者との対話を通じて理解を深めていく迫力ある指導には定評がある。
北村信貴子の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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