早めの段取りで優遇税制を活用する!~「経営力向上計画」認定件数の急増

税務

中小企業等経営強化法(以下、「強化法」とします。)に基づく経営力向上計画の認定件数が急増しています。 強化法は、少子高齢化や国際競争の激化、人手不足など事業環境が悪化する中小事業者等の生産性向上のための取組みを支援する目的で昨年の7月1日に施行されました。

経営力向上計画(人材育成や財務管理、設備投資など経営力向上のための取組みにかかる計画)は、強化法の施行から約2ヶ月後の昨年8月24日時点の認定件数が500件弱でしたが、直近で公表された今年4月末の認定件数は何と20,000件弱に達しています。

なぜ、これ程までに認定件数が伸びているのでしょうか。 それは、経営力向上計画が認定されることで、計画実行のための税制優遇措置や金融支援が受けられるからです。 このうち税制優遇措置には、固定資産税にかかるものと、法人税にかかるものの2つがあり、その主な内容は以下のとおりです。

(1) 固定資産税の特例が受けられます。
中小事業者等(資本金1億円以下の法人など)が160万円以上の機械装置など一定の設備を新規取得した場合には、固定資産税が3年間半額になります。固定資産税であれば、かりに赤字であったとしても減税メリットを受けることができます。なお、工具・器具備品・建物附属設備については、設備所在地が東京、大阪、愛知など7都府県の場合には対象となる業種が限定されています。

(2) 中小企業経営強化税制の適用を受けられます。
中小事業者等が160万円以上の機械装置など一定の設備を新規取得し、指定事業に使った場合には、即時償却か取得価額の10%(または7%)の税額控除を選択適用することができます。設備投資の規模にもよりますが、大きな減税メリットになると見込まれます。

ここで注意しておきたいのは、これらの税制優遇措置を受けるためには、経営力向上計画の認定を受けることが絶対要件であるという点です。 29年3月末までの「生産性向上設備等にかかる即時償却等」では、いわゆる「先端設備」であれば工業会証明書を取得するだけで適用を受けることができましたが、今回はそれに加えて、経営力向上計画を策定し、認定を受けなければなりません。従って、手続きやスケジュールに気を配って進める必要があります。

その大きなポイントをまとめると、次のとおりになります。

(1) 固定資産税の特例も、中小企業経営強化税制も、原則は、経営力向上計画の認定後に設備等を取得することが必要です。

(2) 原則に従うことができない場合には、例外として、設備等の取得日から60日以内に経営力向上計画が受理されることが必要です。

(3) 固定資産税の特例は遅くとも設備等を取得した年の12月末までに  認定を受けないと1年目の減税は受けられません。また中小企業経営強化税制は遅くとも設備等を取得し事業の用に供した年度内に認定を受けないと適用が受けられません。

大きな設備投資を実施し、これらの税制優遇措置を活用しようと考えていたが、決算期末近くになって「手続き等のミスで適用できない」などといったことが起きないよう、何をいつまでに行うのか“早めの段取り”がとても重要になります。

アタックス税理士法人(東京・名古屋・大阪)では、税務顧問業務において顧問先に有用な税制改正情報や最新税務情報のご提供を行っております。お気軽にご相談ください。

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筆者紹介

アタックス税理士法人 代表社員COO 税理士 磯竹 克人
1987年 名古屋市立大学卒。税務・会計の業務を中心に数多くのクライアントに対する指導実績を持ち、親切で丁寧な指導が厚い信頼を得ている。現在は、事業再構築支援、事業承継支援、資本政策支援などを中心にクライアントの問題解決にあたっている。
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