事業承継の形~従業員に継いでもらう方法とは!

事業承継

最近、会社売却の相談をよく受けます。
現社長がご高齢で、親族で会社を引き継いでもらえる人がいらっしゃらない場合がほとんどです。

以前は、M&A関係のセミナーを開催してもあまり人が集まりませんでした。
現社長が、会社の売却を考えていることを知られたくないと思っていらっしゃったからだと思います。

しかし今は、M&Aの専門アドバイザー会社が、事業承継とリンクさせたセミナーを開催すると、地方でも満席になるようです。

現社長としては、事業を誰にゆだねるかが、最後の大仕事なのです。

親族に後継者がいないのであれば、次に現社長が考えるのは、信頼できる従業員に事業を引き継いでもらえるかどうかです。

やはり苦楽をともにしてきた従業員に事業を引き継いでもらいたいと思うのは当然のことです。

従業員に引き継いでもらう際に問題になるのは、次の2点です。

1)現時点で、今の従業員には会社経営を任せられる人がいない。
2)事業の譲渡対価を、引き継ぐ従業員が払えるかどうか?

1)現時点で、今の従業員には会社経営を任せられる人がいない。

1)の経営者としてマネジメントできるかどうか、という点に関して言えば、もし特定の従業員に事業をゆだねようとするのであれば、社長教育をする必要があります。社長業は、特別なスキルが求められます。

製造責任者や営業責任者の延長に社長はありません。 社長とは何かを徹底的に指導し、伴走しながら、社長業を体現していってもらう必要があります。
すなわち、社長育成には時間が必要ということです。

2)事業の譲渡対価を、引き継ぐ従業員が払えるかどうか?

2)の資金の面ですが、現社長には老後の人生がかかっているわけですから、最低限の事業対価は必要です。

その対価が数千万円から数億円となると、一個人ではなかなか払えるものではありません。その際に活用するのは、外部の資金です。いわゆるファンドや金融機関の資金です。

ファンドを活用する場合、事業対価が5億円以上の比較的大きな事業承継案件でないと彼らが関与に乗り出すケースは少ないようです。

したがって、事業対価が5億円未満の事業承継案件は、金融機関からの借り入れを検討することになります。

仮に事業の譲渡対価が5千万円だったとします。
その場合、後継者となる従業員に新会社を設立してもらい、この新会社が金融機関から借り入れを実施します。

そして、この新会社が現社長に5千万円を支払い、会社株式を譲り受けます。
この場合、新会社の借入金の返済原資は、既存事業の収益になります。

当然、既存の収益力が弱かったり、既存借入金が多額に存在したりする場合にはこのスキームは難しいでしょう。

但し、事業承継は、状況に応じてさまざまな方法が検討できます。
アタックスグループは事業承継スキームについても、いろいろな経験を有したコンサルタントが在席しております。
是非、一度ご相談ください。

筆者紹介

アタックスグループ 代表パートナー 公認会計士・税理士 林 公一
1987年 横浜市立大学卒。KPMG NewYork、KPMG Corporate Finance株式会社を経て、アタックスに参画。KPMG勤務時代には、年間20社程度の日系米国子会社の監査を担当、また、数多くの事業評価、株式公開業務、M&A業務に携わる。現在は、過去の経験を活かしながら、中堅中小企業のよき相談相手として、事業承継や後継者・幹部社員育成のサポートに注力。
林公一の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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