再生型М&Aの覚悟~瀬戸際での判断指針

経営

コロナで明暗が分かれた企業

新型コロナウイルスの感染の話題に終始した2020年もそろそろ終わりをむかえつつあります。

事業再生を中心に財務コンサルを生業にしている筆者も、2月頃から、コロナで苦しんでいる企業の資金繰りや業績改善のアドバイス、金融機関対応のサポートで走り回った一年となりました。

こんなコロナ禍の中でも、筆者が担当している特定のクライアントはコロナを機に新企画・新製品を打ち出し、業績を伸ばされています。

一方で、事業力・資金力の乏しいクライアントは、コロナ融資をうけつつ、資金ダメージを最小にするための特例リスケジュール計画のもと事業改善・継続に賭けている状況です。

状況は個々の企業によって様々ですが、この経済の状況はマクロ的にはどうでしょうか?

11月29日付けの日経新聞では

『企業価値100億円超が3割増 コロナ下スタートアップ企業』との表題で、既存産業のデジタル化に取り組むスタートアップ企業等がコロナを追い風に企業価値を伸ばしている

と報道されていました。

反面、雇用調整助成金やコロナ融資等、政府の支援により足元の総倒産件数は減少傾向(10月の倒産件数624件(前年同月比20%減))ではありますが、これら制度の延長の可否や延長期限によっては事業力・資金力の乏しい企業は今後、早期に厳しい判断をもとめられることが想定されます。

筆者は数年前から『日本企業の新陳代謝』が経済社会における重要なテーマだと認識しています。

具体的には、利払い不能企業等の事業力の乏しい企業の市場退出と強みのある(新進)企業の育成が必要と考えていますが、コロナがその時計の針を早めた印象です。

再生型М&Aを検討すべき理由

このような環境の下、残念ながら現時点で事業力が乏しく、苦しい状況にある会社の経営者・幹部は、コロナにより外部環境も厳しさを増す中で何を想定しておくべきでしょうか?

勿論、現業の改善を我武者羅に追及することは当然ながら必要なことですし、また、改善が成らなかった場合の廃業や破産の覚悟をもつことや、その準備も必要です。

しかしながら、もう一つの選択肢として、会社を第三者に譲渡する『再生型М&A』も検討すべきと考えます。

何故なら、『再生型М&A』は取引先との関係を含めた事業や雇用が継続する可能性が高く、手も足も出なくなった状態で廃業・破産するより、会社の関係者全員にとってベターな選択となり得るからです。

再生型М&Aで重要な2つのポイント

ところで、会社の経営者・幹部から『再生型М&A』のご相談を受けた際、筆者が必ず確認している事項が2つあります。

①魅力的な何かがあるかどうか

一つ目は、『買い手にアピールできる魅力的な何かが(一つでも)会社にあるか?』です。

М&Aによる事業継続を模索できるのか、残念ながら廃業等により事業停止に向かうか、『魅力的な何か』の有無が概念的な判断基準です。

財務的なアプローチでいえば、その会社に不動産や設備等のモノの価値以上の価値(≒事業価値)があるかどうかという表現になります。

『魅力的な何か』の具体例です。

  • 優良顧客のパイプ、口座や特別な仕入ルートの存在等のビジネス・フローでの魅力
  • 従業員に蓄積されていることの多い優れた業務ノウハウ等のプロセスでの魅力
  • 入手が容易でない許認可等の法人各そのものに付与された魅力  等々

この『魅力的な何か』が評価でき、将来に渡ってキャッシュ・フローに変換できる(意欲とプランのある)企業がМ&Aの相手先となることが、この局面では関係者全員にとっての理想形です。

苦境に立った会社の経営者・幹部はポジティブな発想、視点は出し難いかもしれませんが、客観的な気持ちで、自社の魅力を再評価しなければなりません。

②検討する時間がどれだけあるか

二つ目は、『検討する時間があとどれくらいあるか?』です。

筆者の経験上、М&Aの取り組みは譲渡や売却が実行されるまででも早くとも6カ月から1年の時間を要します。

また、会社の魅力を評価してもらえる買い手が現れたとしても、経営者や幹部がМ&Aの最終判断に踏み切るまでには相応の時間を要します。

最終判断ができないまま、資金繰りが回らないことに起因して、取引先の離反や従業員の退職等が発生し、折角もっていた魅力が失われ、結果として、買い手が意欲を失ってしまったケースも過去に直面しました。

このため、再生型М&Aを検討する際には、資金がいつまでもち、検討できる時間がどれだけあるかを正しく見積もることが重要になってきます。

出口の見えないコロナ禍の中で、経営の岐路に立たされている会社は御社だけではありません。廃業や破産の判断が頭をよぎったら、一度、弊社にご相談いただければと思います。

経営者をはじめとした関係者全員が納得できるゴールにたどり着くために、弊社はとことんお話をさせていただきます。

株式会社アタックス・ビジネス・コンサルティングは、ファイブステップ(調査分析→問題発見→課題整理→改革提案→実行支援)コンサルとして中小企業の経営改善に関する様々なお悩みに対し、現状分析から課題解決のためのご支援を行っています。
こちらからお気軽にご相談ください。

筆者紹介

株式会社アタックス・ビジネス・コンサルティング 執行役員 公認会計士 森下 大
1999年 早稲田大学卒。中堅中小企業の事業再生・買収のアドバイザーとして、財務・事業デューデリジェンス、経営計画策定支援を中心としたコンサルティング業務、並びに、計画経営推進のための経営顧問業務に従事。公認会計士としての知識・経験を活かし、社長の良き相談相手として伴走型の支援を行うことで定評がある。
森下大の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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