【脱炭素】自動車業界と一緒に沈むか、それとも逃げるか?企業の生き残り戦略について

経営

自動車業界の「ケーレツ」が崩れる?

「脱炭素」の潮流とはいえ、ガソリン車からEV(電気自動車)へと一気にシフトすることはないでしょう。

しかし、それでもアップルなど米中巨大IT企業の参入によって自動車業界が激変することは、まず避けられない状況です。

中国ではすでに46万円ほどのEVが新エネルギー車部門で販売トップに躍り出るなど、その兆しが見えています。

今後10年以内に、自動車業界は様変わりします。

最も大きなキーワードは「垂直統合型」から「水平分業型」へとビジネスモデルが転換することです。

とくに日本の自動車業界は「ケーレツ」と呼ばれる独特の企業間組織を形成しています。

組織間の絆が強いのは大きな長所です。

強い競争力を発揮し、世界の自動車業界をけん引してきました。

しかし「破壊的イノベーション」が起きたときには大きな足かせとなるに違いありません。

現在は「共創」の時代であり、「競争」の時代は終わったのです。

ケーレツの枠組みを超えて、企業間で協力し合い、会社の規模も、過去の歴史も、もちろん国境も超えてネットワークのように繋がる時代になりました。

したがって、ケーレツで守られていた企業は急激に弱体化するでしょう。

いわゆる「下請け」「孫請け」「ひ孫請け」と呼ばれる企業群のことです。

こういった「下請け」的な立場で事業を営んできた企業は、「飛べない鳥――ダチョウ」のようです。

ダチョウの羽のように、創業当時はあったはずの営業・マーケティング力が退化し、うまく飛べません。

マーケットを広く俯瞰して、自分たちの事業を生かせる場所を見つけることができないのです。

「飛べないダチョウ企業」はどうする?

私は企業の現場に入って目標を絶対達成させるコンサルタントです。

私どもが支援に入る企業の大半は「成熟企業」で、次のステージへと成長するお手伝いをしています。

その際、最も重要視するのは「新規マーケット開発」です。

企業のライフサイクルで考えた場合、「導入期」「成長期」は環境要因や経営陣の強いリーダーシップによって事業は一定期間、急拡大します。

しかし、ボールを投げたときの放物線のように、徐々に創業当初のエネルギーがなくなっていきます。

そして特段の経営変革もせず、そのまま現状維持をつづけると「衰退期」に突入してしまうのが普通です。

そのため、「成熟期」で現状維持バイアスを壊し、新たな成長ステージへと踏み出せるよう経営イノベーションを起こしていかなければいけません。

このときに大事なのは、勇気をもって過去の成功体験を捨てることです。

そして、現在のお客様を大切にしながらも、新しいマーケット開発に尽力することです。

プロダクトではなく、なぜマーケット(市場)にまずフォーカスするかというと、新規プロダクトの開発は、多くの人が考えているよりも容易ではないからです。かなりのリスクを伴い、即効性にも欠けます。

しかし日本企業は、プロダクトや技術の研究開発(R&D)に力を入れる傾向があります。

それももちろん大切なことです。

しかし、並行して既存プロダクトによる新規マーケット開発にも精を出しつづけることが大切なのです。

すでにあるマーケットにおいて支持されてきたプロダクトが、新しいマーケットにシフトするだけで受け入れられ、それが成長エンジンとなった例はいくらでもあります。

ゆえに「ダチョウ企業」は、自らの足で探し続けなければなりません。

飛べないのだからこそ、地道な取り組みが必要です。

新マーケット開発「3つのシフト」

既存プロダクトを起点にして新規マーケットを探るうえで、以下3つの発想方法が参考になります。

① マーケットシフト
② プロダクトシフト
③ ビジネスモデルシフト

① マーケットシフト

①は、単なるマーケットの横スライドです。

扱うプロダクトが自動車業界に特化したものでなければ、最初に検討すべき方法です。

プロダクトはそのまま、マーケットだけをシフトします。

たとえば複合機を扱っている代理店だとしましょう。複合機は、多くのオフィスで使用されています。

現時点では自動車業界との取引が多くとも、新たなマーケットに視点を変えるだけでいいのです。

現在のビジネスモデルとの相性や、市場規模、市場成長性なども吟味したうえで新規マーケットを限定し、戦略を立てます。

マーケティングレベルでの転換になるため、営業組織がメインで戦略を立案し、実行していくのです。

② プロダクトシフト

次は、プロダクトをシフトすることで、新たなマーケットを開発する方法です。

取り扱っているプロダクトのある部分を抽象化し、シフトする方法です。

プロダクトに使われている技術、プロダクトの用途、プロダクトの顧客提供価値などを抽象化し、発想を広げるのです。

たとえば、飲料用ストローの製造技術を使って工業用ストロー、医療用ストローの生産に事業転換した企業があります。

現在はプラスチック製ストローを廃止する動きが世界的に広がっており、どのメーカーも事業転換を強いられています。

そんな状況における成功例です。

プロダクトの属性(この場合は「技術」)をいったん抽象化させることで、この企業は、ストローは同じストローでも、まったく別業界で利用できるストローを開発しました。

研究開発は不要なのに、単なる「発想の転換」によって別マーケットを開発した見事な例です。

③ ビジネスモデルシフト

最後に、ビジネスモデルのシフトについて考えます。

ビジネスモデルは、「収益を生むストーリー」「収益を生む設計図」のことです。

つまり、マネタイズの流れそのものをシフトさせるため、大掛かりなものとなります。

現在取り扱っているプロダクトを「販売する」から「貸す」「仲介する」「インフラ提供する」「技術を教える」……といった、マネタイズに関わる動詞を転換させるのです。

そうすることで、ビジネスモデルそのものの転換に繋がります。

ビジネスモデルそのものを変えることで、新たなマーケット開発に繋がることでしょう。

まとめ

この発想法は、多様化するお客様のニーズに応える起爆剤にもなります。

自動車のEV化のみならず「脱炭素」の流れは止まることがありません。

多くの企業が事業転換を迫られることになります。

今からでも遅くはありません。

地道に営業力を強化し、新規マーケット開発に取り組むことを強くお勧めします。

筆者紹介

株式会社アタックス・セールス・アソシエイツ 代表取締役社長 横山 信弘
企業の現場に入り、目標を絶対達成させるコンサルタント。支援先は、NTTドコモ、ソフトバンク、サントリー等の大企業から中小企業にいたるまで。3大メガバンク、野村證券等でも研修実績がある。企業研修は、基本的に価格がつけられず「時価」。にもかかわらず、研修依頼はあとを絶たない。現場でのコンサルティング支援を続けながらも、年間100回以上の講演実績は6年以上を継続。
ベストセラー「絶対達成シリーズ」の著者であり、メルマガ「草創花伝」は3.7万人の経営者、管理者が購読する。コラムニストとしても人気で、日経ビジネスオンライン、Yahoo!ニュースのコラムは年間2000万以上のPVを記録する。
著書『絶対達成マインドのつくり方』『「空気」で人を動かす』など著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。
アタックス・セールス・アソシエイツ オフィシャルサイト
横山信弘の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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