「自爆営業」の報道に関する強い違和感

昨年、「ブラック企業」とともに「自爆営業」という言葉が広く認知されました。日本郵政の社員たちが、販売ノルマ達成のため商品を自費で買い取るという事態を取り上げているためでしょう。

私は現場に入る営業コンサルタントとして、この報道のあり方に強い違和感を覚えました。

あたかも「ブラック企業」と「自爆営業」を同列に扱うような記事もあり、現場を知らない人に曲解される恐れがあると考えます。

「自爆営業」に関するポイントを整理すると以下の3つです。

(1)販売ノルマの設定
(2)販売ノルマ達成に関するマネジメント
(3)販売ノルマ達成のために社員がとった行動

この3つのポイントの中で、真の問題はひとつしかありません。それは(2)のマネジメントです。

自費で買い取るという社員の判断そのものも問題ですが、それを許す空気が組織にあるのなら、それはマネジメントの問題と言えるでしょう。(もしも買い取りを強要したのなら当然違法です)

違和感を覚えるのは、「厳しいノルマ」「ノルマがきつい」という表現が多数の記事に含まれていることです。あたかも前述した(1)販売ノルマの設定に問題があるのでは、といった言い回しはやめてもらいたいと思います。

そもそも「厳しい」とか「きつい」というのはどこからきたのでしょうか。記事を書いた人の印象や感想でしょうか。販売員たちから出た言葉を拾ったのでしょうか。

私の本業は、企業の財務健全化のために、年間の目標予算(ノルマ)を絶対達成させることを主眼としたコンサルティングです。プロのコンサルタントとして断言したいことがあります。それは、目標(ノルマ)が高ければ達成するのが厳しくなり、目標(ノルマ)が低ければ達成しやすくなるわけではない、ということです。

目標に高いも低いもありません。つまり目標設定に問題が発生することなどない、ということです。

整理すると、
●目標ノルマに「高い/低い」はない
●目標ノルマの「達成/未達成」が結果的に残るだけ
ということです。

販売スタッフがノルマ達成を目指すのは当たり前です。営業、販売員のみならず、雇用されるすべての人に「目標達成」は共通する事柄です。人間が変温動物ではないように、外部環境の変化にともなって企業も目標予算を変えられるはずがありません。

外部の気温が変わったら服を着たり脱いだりします。それと同じように、外部環境が変化したら、企業も行動やプロセスを変えるのです。そうすることで人は創意工夫を繰り返し、組織も成長していくのです。

問題の論点は「マネジメント」です。目標から逆算した仮説立案とその行動プロセスです。それら一連の活動をマネジメントするリーダーたちの問題なのです。私は目標設定された期初に、目標の2倍の仮説をあらかじめ積み上げてマネジメントする「予材管理」という手法を提唱しています。

ポイントはこれら仮説の「量」と「質」です。仮説の精度を高めるうえで、創意工夫の連続でマネジメントをしていきます。こういったマネジメント意識が欠落し、無計画でいると最終的に「自爆営業」に追い詰められてしまう、ということなのです。

繰り返しますが、設定された目標値に問題はありません。というか、問題など存在しようがありません。現場をあずかるコンサルタントとして、報道に触れる人に誤解されたくはない。「厳しいノルマ」「ノルマがきつい」などという表現は慎んでもらいたいと思います。

「郵便局はブラック企業?」などという発言もたまに目にしますが、「ブラック企業」の論点は「過剰労働」です。「自爆営業」と聞いて印象を同じにする人が増えていることに強い違和感を覚えます。

筆者紹介

株式会社アタックス・セールス・アソシエイツ 代表取締役社長 横山 信弘
企業の現場に入り、目標を絶対達成させるコンサルタント。支援先は、NTTドコモ、ソフトバンク、サントリー等の大企業から中小企業にいたるまで。3大メガバンク、野村證券等でも研修実績がある。企業研修は、基本的に価格がつけられず「時価」。にもかかわらず、研修依頼はあとを絶たない。現場でのコンサルティング支援を続けながらも、年間100回以上の講演実績は6年以上を継続。
ベストセラー「絶対達成シリーズ」の著者であり、メルマガ「草創花伝」は3.7万人の経営者、管理者が購読する。コラムニストとしても人気で、日経ビジネスオンライン、Yahoo!ニュースのコラムは年間2000万以上のPVを記録する。
著書『絶対達成マインドのつくり方』『「空気」で人を動かす』など著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。
アタックス・セールス・アソシエイツ オフィシャルサイト
横山信弘の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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