外国人雇用の法改正は人手不足解消の一手となるか?

外国人雇用受け入れ拡大へ

外国人労働者の受け入れを拡大する改正出入国管理法が4月1日に施行されました。

介護、外食、建設、飲食料品製造等の人材不足が深刻な14業種で就労を認める「特定技能」と呼ばれる在留資格を導入し、5年間で最大約34.5万人の受け入れが見込まれています。
(業種毎に最大人数が定められています)

日本語や各分野の技能のテストに合格すれば「特定技能」の在留資格を取得でき、最長で5年間、日本で働くことができます。
(従前の技能実習生の制度は基本的に3年)

従前の技能実習生の制度は、「日本の優れた技能を学んでもらい、開発途上地域の人づくりに寄与する」という国際協力の推進が目的でありながら、一部実態としては、工場作業等の比較的単純作業を行っていること等が問題となっていました。

一方、本改正における特定技能は、「不足する人材の確保を図る」という目的を前面に出しています。

改正までの臨時国会においては、メディアからも「生煮え」、「がらんどう」といった揶揄が出た法案でもありますが、実態的な労働力の確保への寄与が期待されています。

外国人労働者の現状と問題

足元の外国人労働者全体の状況としては、厚生労働省の発表では2018年10月末時点で146万人。

国籍別では、
中国が最も多く39万人(外国人労働者数全体の26.6%)
次いで
ベトナム32万人(同21.7%)
フィリピン16万人(同11.2%)
となっています。

対前年伸び率は、
ベトナム(31.9%)
インドネシア(21.7%)
ネパール(18.0%)
となっており、
近年では、ベトナムからの受け入れが非常に活発に行われています。

本法改正を背景に、不足人材確保の観点で、今後更なる外国人労働者の増加が見込まれていますが、定着、戦力化の観点では、言葉、コスト、フォロー体制等、多くの課題に向き合っていく必要があります。

特に顕在化しているのが外国人労働者の失踪者の論点です。

法務省の発表によれば、2012年~2017年の5年間の累計失踪者数は約2.6万人となっています。

各メディアでもこの問題は扱われていますが、その背景として、最低賃金以下での労働をはじめとする違法な労働環境や、パワハラ・セクハラといった問題が取りざたされています。

筆者が外国人雇用を成功されている中堅中小企業の方々とお話する中で、特に以下3点が重要と捉えています。

(1) 業務プロセスの標準化と役割分担の明確化
(2) 外国人雇用に対する必要性の社内啓蒙
(3) 最低限の法律対応目的ではなく、
  定着・戦力化を目的とした生活面、業務面のフォロー体制構築

筆者は毎月、東北、九州、四国といった全国各地で経営者と膝付き合わせて、経営課題解決に向けた議論をしています。

その中で、特に人口減少の激しい地方においては、新卒採用はもちろん、パート従業員の確保さえ困難な環境変化を体感しています。

厚生労働省発表の都道府県別の「外国人雇用事業所数」を見ると、東京、愛知、大阪、神奈川、埼玉の上位5都府県で全体の約53%を占めています。

総務省発表の「全事業所数」の都道府県別分布では、上記5都府県で約36%の構成比に留まるため、地方における外国人雇用は都心部と比べて限定的ということが見えてきます。

外国人雇用は、AI活用やアウトソーシング等々、複数ある打ち手の一つであり、現時点では必要としない、あるいは足踏みしている企業も多いかと思います。

一方で、いざ人材が不足しだしてから採用に踏み切ろうとしても、採用、定着、戦力化に相応の時間とノウハウ蓄積を要します。

今回の法改正を機に、将来の経営リスクへ対応していくための戦略的コストとして、まずは少人数の外国人労働者採用へのチャレンジを検討してみてはいかがでしょうか。

筆者紹介

株式会社アタックス・ビジネス・コンサルティング 執行役員
中小企業診断士 平井 啓介
業務系システムを扱う大手システムベンダーを経てアタックス入社。 システムエンジニア時代は、会計システムを中心に、中堅中小企業~上場企業まで業種を問わず、約60社の業務改革を支援。システム企画~導入・運用支援まで、プロジェクトマネジメントのみならず、現場の実態を理解したうえでのサポートを得意とする。アタックス参画後は、システムエンジニア時代に得たITスキル、ロジカルシンキングスキルを応用し、業績管理制度構築サポート、業務プロセス改革サポート(BPR)、事業再生サポートに従事。経営者、管理部門責任者の相談相手に注力している。
平井啓介の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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