コロナ後も続くテレワーク~マネジャーが押さえるべき「テレマネジメント」4つのポイント

「テレワーク」に対する不安

新型コロナウイルスの影響により、「テレワーク」は完全に市民権を得ました。

そして多くの企業が、コロナが終息したあとでも、これを機にテレワークを継続させると表明しています。

この流れは、止めようがないでしょう。なぜなら、テレワークを継続してほしいと考えるビジネスパーソンは、20代をはじめとした若い層で広がっており、具体的には70%以上が希望しているという調査結果が出ているからです。

多様な働き方を受け入れることが「働き方改革」の定義であるため、経営陣や中間管理職の都合でテレワーク廃止となれば、「わが社は時代の流れに逆行している」というレッテルを貼られる可能性があります。

優秀な若い人財のエンゲージメントを上げるためにも、テレワークという働き方は多くの企業で導入されていくはずです。

そのせいでしょうか、中小企業のオーナーや経営者からひっきりなしに相談が舞い込んでいます。

「テレワークを指示する場合、どんなことに気を付けたらいいのか」
「マネジメントしづらい。他社はどのようにやっているのか」

このような相談が大半です。

テレワークに必要なITシステムは完備していても、実際にテレワークはやったことがないという企業は多いです。とくに中小企業は、そうでしょう。

「小学校低学年のお子さんがいる社員が6名いるので、テレワークは継続せざるを得ない」

そう言った社長に、

「社員さんが不安を覚えていますか?」

と聞くと、

「いや。むしろマネジャーです。テレワーク社員を管理するマネジャーが不安を覚えています」

という答えが返ってきました。私は思わずうなずきました。

その気持ちは、よくわかります。私自身も、まさに同様の経験をしているところだからです。

テレマネジメント3種類のケース

テレワーク社員の管理「テレマネジメント」には、3種類の形態が考えられます。

1.部下が在宅勤務、マネジャーは出社
2.部下もマネジャーも在宅勤務
3.部下は出社、マネジャーが在宅勤務

先述した中小企業の社長のケースは、「マネジャーは出社しているが、部下が在宅勤務」のケースです。

いっぽう、本社勤務している5000人を在宅勤務とした電通などは、「部下もマネジャーも在宅勤務」というケースになるでしょう。

どのケースにおいても、いつも顔を合わせていた部下(マネジャー)が近くにいないことで、それぞれが言葉では表現しづらい感情を抱きます。とくにマネジャーは不安でしょう。

ただでさえ工数ではなく、成果に焦点を合わせた働き方に変わりつつある現代、部下たちがテレワークで正しいパフォーマンスが出せるかどうか気掛かりです。

テレマネジメント4つのポイント

私の経験上、テレマネジメントにおいて「これさえ押さえておけば大丈夫」という秘訣はありません。業務の特性や、それぞれの部下の性格、そして相性によっても、マネジャーが考慮すべきことが異なるからです。

しかし「秘訣」はなくても、考慮すべき「ポイント」を提示することは可能です。そこで今回は「テレマネジメント」における重要なポイントを4つ取り上げます。

ひとつひとつ細かく解説していきます。最初に断っておきますが、4つ目の「同僚とつながる場の提供」が、いちばん忘れがちですが、とても大事なことです。ここだけは、必ず押さえるようにしましょう。

1) 業務の見える化より成果の見える化

働き方改革の時代となり、組織マネジメントは昨今、労働時間よりも成果に焦点を合わせはじめています。

したがって「何をやったか」ではなく「何の成果を出したのか」という点をマネジャーは強く意識すべきです。

在宅で勤務時間どおりに働いたという事実は、テレワークの観点からすると、ほぼ意味がありません。それが重要というのであれば、もうそれは「監視」です。

オフィスよりも在宅で働くほうが緊張感が緩んで当然です。同じ時間、働いたのなら、パフォーマンスが低くなるに決まっています。ましてや、小さなお子さんがいるのなら、なおさらです。

そのため、いつも以上に成果に焦点を合わせることが重要なのです。

個人の成果は必ず「組織目的」「組織目標」とリンクしています。であるからこそ、常に電話やWEB面談を実施し、組織の目的や目標は何かをマネジャーは伝えるのです。部下の成果が何であるかを意識させるよう、つとめなければなりません。

2) 正しいフィードバックと評価

上司(同僚も)が近くにいないと、部下は自身への関心が急激に減ったという感覚に陥ります。

だから、これまで以上にマネジャーは、部下の成果へのフィードバック、評価を意識してやるべきです。期待通りでも、期待以下でも、はっきり口にすることが大事です。

「8割まで仕事が終わってるけど、どうして今日中に全部できなかったの?」

「すみません。子どもがどうしてもそばにいると……」

「集中力が切れちゃうよね」

「はい。でも、明日は妹が子どもの面倒をみに来てくれるので、明日は取り戻します」

「わかった。テレワークは慣れないと思うけど、工夫してやっていこう」

テレワークがはじまってから、期待通りに仕事ができていない。なのに、マネジャーから何も指摘されず、ずっとスルーされていたら、自分自身に関心が向かなくなったと部下は思うでしょう。

子どもがいなくて出社している同僚は、以前と変わらずマネジャーに厳しく言われているのに、私には何も声がかからなくなった。こう思われたら、テレワーク社員の疎外感はどんどん強くなっていきます。

部下の事情を頭に置きながら、柔軟にフィードバックする度量が必要です。

3) 雑談と承認

ふだんは顔を合わせても、ただ挨拶するぐらいの間柄であっても、テレワークする部下をマネジメントする場合は、頻繁に接点を持つ必要があります。

最低でも、1日1回は電話をかけたり、Zoom、SkypeなどでWEB面談をしましょう。できれば顔を見て話すことが大事です。その際、効果的に雑談を入れるといいでしょう。

「部長がA建設の仕事、とってきたらしいよ。5,000万円の契約だ。社長が大喜びしていた」

「へええ、そうなんですか。部長、嬉しいでしょうねえ」

「半年前から狙っていたからね。これから忙しくなりそうだって言ってた」

雑談が得意なマネジャーは悩まないでしょう。しかし苦手な人は、事前に雑談のレパートリーを準備しておくといいでしょう。1分程度の雑談をいくつか準備しておくと、全然違います。

相手を承認することも忘れないようにしましょう。挨拶の延長線上に言うぐらいでいいのです。

「それじゃあ、今日もお疲れさま。ありがとう。おかげで助かったよ」

このように、さりげなく言うのがいいでしょう。

4) 同僚とつながる場の提供

私がいちばん気になっているのが、経営者やマネジャーらがテレワークの課題を口にするとき、「縦」の視点しか持っていないことです。

部下の仕事の成果、部下の仕事の評価、部下のキャリア形成など……。離れて仕事をする場合、これらをどうするかにばかり意識を向けています。「上司―部下」という縦のラインです。

しかし組織がまとまるには「横」の視点が極めて大事です。だから積極的にそういう「場」を提供しましょう。

リアルに集まることができないなら、WEB面談やWEB会議を活用しましょう。これらのツールをうまく使ってランチ会をしたり、夜の飲み会を企画してもいいでしょう。

「やりたいなら、自主的にやればいい」

と促して、主体的に動くメンバーばかりならいいですが、そういうことに部下たちが慣れていないのなら、マネジャーが率先して開催しましょう。

たとえば夜の7時半から、だいたい1時間。

‐ オフィスの会議室に課長Aさん、係長Bさん、そして独身のCさん
‐ 子育て中のDさん、Eさん、Fさんは、それぞれの自宅から
‐ Gさんは小4の娘さんと
‐ そして親の介護に忙しいHさんは親御さんの家から参加
‐ 今回都合がつかない人、基本的に自宅からの参加が難しい4人は不参加

それぞれ缶ビールやジュース、おつまみ、お菓子などを手元において、飲み会をしてみましょう。

「少し前までテレワークに憧れてたけど、意外と大変だとわかった」

「たまにはいいけど、やっぱりオフィスに出たほうが生産性あがるね」

「一週間も顔を見ないと、部長に会いたくなる」

「ふだんは会いたくないみたいだ!」

「部長って、愚痴ばっかり言うんだもん」

「でも、あの愚痴が恋しくなるときもあるよ」

「ははは! 言えてる」

やってみるとわかりますが、意外に盛り上がるものです。パソコンやスマホの画面に参加者の顔が全員映ると、自然とみんなに意識がいくからです。リアルの飲み会とは、ここが違います。

全員参加は難しくても、ランチや飲み会などを繰り返していくと、それなりに横のつながりを維持できます。ぜひ、試してみてください。

独自のテレマネジメントを編み出すべし

テレワークしている部下に毎日のように接触することで、マネジャー自身は「やってる感」を覚えるでしょう。しかし、それだけをつづけていると、横のつながりが希薄になっていきます。

そして組織としての一体感を失っていってしまいます。助け合いの精神も、同様に薄くなっていきます。これだと組織のパフォーマンスが最大化できません。

テレワークにはテレワークのよさがあります。

リアルでは構築できなかった組織の連帯感が、思いのほか生み出されることだってあります。そのためには、テレワーク社員をマネジメントする独特のポイントを押さえ、かつ自分なりに工夫をつづけることが大切です。

繰り返しますが、新型コロナウイルスの影響がなくなっても、働き方改革の時代である以上、どの企業にもテレワークの必要性は残ります。だからこそ日本企業のマネジャーには、自分なりの「テレマネジメント」の勘所を押さえてほしいと思います。

筆者紹介

株式会社アタックス・セールス・アソシエイツ 代表取締役社長 横山 信弘
企業の現場に入り、目標を絶対達成させるコンサルタント。支援先は、NTTドコモ、ソフトバンク、サントリー等の大企業から中小企業にいたるまで。3大メガバンク、野村證券等でも研修実績がある。企業研修は、基本的に価格がつけられず「時価」。にもかかわらず、研修依頼はあとを絶たない。現場でのコンサルティング支援を続けながらも、年間100回以上の講演実績は6年以上を継続。
ベストセラー「絶対達成シリーズ」の著者であり、メルマガ「草創花伝」は3.7万人の経営者、管理者が購読する。コラムニストとしても人気で、日経ビジネスオンライン、Yahoo!ニュースのコラムは年間2000万以上のPVを記録する。
著書『絶対達成マインドのつくり方』『「空気」で人を動かす』など著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。
アタックス・セールス・アソシエイツ オフィシャルサイト
横山信弘の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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