人事担当のBCP対策~「治にいて乱を忘れず」巨大災害に備えよ!

昨年末、2018年を表す一文字として災害の「災」の字が発表されました。年が明けて1ヶ月が経過しましたが、そのニュースを見たことが既に遠い昔のように感じます。

筆者は、今年の1月17日、阪神淡路大震災が起こったことを思い起こす意識が薄れていることに気付きました。 いずれ、東日本大震災の発災日も薄い記憶になってしまうときが来るのかもしれません。「治にいて乱を忘れず」の観点は重要です。

3月11日を約一ヶ月先に控えた今、災害対策について、改めて振り返ってみたいと思います。

南海トラフ大地震が予測されて久しいです。政府(中小企業庁)は、中小企業強靭化研究会という組織を立ち上げ、災害が中小企業に与える影響、そしてそれに対する中小企業の備えについて分析をしています。

従業員規模別のBCP(事業継続計画)策定状況

2019年1月に研究会が取りまとめた資料では、従業員規模別のBCP(事業継続計画)策定状況が紹介されていました。

従業員規模別のBCP策定企業割合

21~30人  10.1%
31~50人  14.2%
51~100人 19.8%
101~300人 34.2%
全体    16.9% 
…出所は三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社

この結果は、想定よりも高いものでした。恐らく製造業の取り組み度が高いのではないかと考えますが、じわりじわりとBCPは浸透してきているようです。

筆者は人事関係のコンサルティングをしております。働き方改革というキーワードが世の中を席巻している昨今、長時間労働是正や生産性向上を目指して、社員の役割や成長期待を明文化して欲しいとの要望を受けることが多くなってきました。


 

社員への期待役割の明文化

具体的には等級要件や業務分掌といった人事制度資料を作成することになるのですが、総務部門の業務分掌としてBCPの要素を盛り込むことがあります。私が過去携わった企業の例は次の様なものです。

【震災直後に要件を検討したある企業】
総務職の上位等級は、BCP(災害時における事業継続計画)を定期的に企画、向上させ、全社への啓蒙をはかること

【昨年に要件を検討したある企業】
総務職の上位等級は、事業継続性の向上(特に人財育成において)を図ること

BCPに関する業務分掌の書かれ方が、時を経るに従って以前の力強さがなくなってきていることを実感しました。もちろん、採用難の状況が続いている現状において、人材の確保、育成は事業継続に直結するでしょう。

環境変化が求める期待要件修正の大事さは十分に理解しているつもりです。しかし、「治にいて乱を忘れず」の観点も重要なのではないかと反省しました。人は忘れる動物です。 だからこそ災害対策を風化させないために、仕組みとしての抑えが必要です。

災害対策を徹底して、いざというときに社員を守れる、社員が安心できる環境を用意することは立派な働き方改革だと思います。 社員への期待役割を明文化している企業は、その文言を是非今一度見直してみてください。もし明文化されたものがなければ作成をご検討ください。

被災に備えるための企業の取組み項目

中小企業強靭化研究会のまとめ資料には、他にも興味深いデータが記載されていました。被災された企業に対する調査データです。

被災時に有効であった取組(上位7項目)

1位(36.8%) 備蓄品の購入・買増し
2位(26.5%) 災害対応担当責任者の決定、災害対応チーム創設
3位(26.2%) 安全確認や相互連絡のための電子システム導入
4位(25.8%) 避難訓練の開始・見直し
5位(19.5%) 火災・地震保険の加入
6位(19.4%) 所有資産(社屋・機械設備等)の点検
7位(18.5%) 所有資産の耐震・免震工事・耐震固定

被災後も実施している又は新たに実施した取組(上位7項目)

1位(52.1%) 備蓄品の購入・買増し(※)
2位(37.3%) 避難訓練の開始・見直し(※)
3位(35.0%) 安全確認や相互連絡のための電子システム導入
4位(28.4%) 災害対応担当責任者の決定、災害対応チーム創設
5位(27.9%) 所有資産(社屋・機械設備等)の点検
6位(27.7%) BCP策定・見直し(※)
7位(24.5%) 所有資産の耐震・免震工事・耐震固定

…出所 内府防災担当
「平成29年度企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査」
有効回答1078者 中小企業以外を含む

(※)印は、割合の増加幅が10%を超えた項目です。被災時とその後の取組みで、各項目の回答数の増加幅や順位の変動は、示唆に富んでおり、業務分掌を考える際の材料にもなります。ご参考下さい。

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筆者紹介

株式会社アタックス・ヒューマン・コンサルティング 取締役 永田 健二
1999年 静岡大学卒。中期経営計画策定支援、組織風土分析支援、人事制度構築支援、人事制度運用支援などに従事。新入社員研修、中堅社員研修、管理者研修、各種個別研修など研修講師としても活躍中。
永田健二の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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