M&Aは、なぜ難しいのか?~M&Aの成功率をご存じですか?

事業承継や企業の成長戦略の一環として、M&Aが中堅中小企業で活用されるようになってきたと実感しています。どんなM&Aが成功し、どんなM&Aが失敗するのか、少し考えてみたいと思います。

M&Aとは、簡単に言えば、事業の売買です。通常、売買であれば、売り手が自分の事業に関する情報を開示し、それを買い手が分析を行い、最終的に実行するかどうかを決めます。

実は、この事業を分析することが、非常に厄介なのです。不動産を購入する場合であれば、我々はそのモノ自身を目で見て物理的に確認することができます。すなわち、そのモノ自体の良し悪しの判断を比較的しやすいのです。

しかし、事業を売買するM&Aの場合は、そうはいきません。なぜなら、事業そのものを可視化して分析を行い正しい解答を短期間で導くことは非常に困難だからです。売り手は、その事業を何十年と営んでいるのが一般的です。それ故に、その事業については、強み・弱みや事業遂行のポイント等を熟知しています。

一方買い手は、その事業のことを短期間で分析し、買うか買わないかの判断をしなければならず、同じ質・量の情報を持って、M&Aの合意に至ることは数少ないと思います。

つまり、買い手は、情報が圧倒的に少ない中で最終的な意思決定が求められます。これをM&Aにおける売り手と買い手との情報の非対称性といいます。この情報の非対称性があるからこそ、買い手は、そもそも不利な状況下でM&Aの実行を決断しなければなりません。

そう考えてみれば、M&Aの成功確率3割といわれているのも納得がいきます。
逆に言えば、情報の非対称性をなくせば、すなわち、相手を十分に分析してから、M&Aを実行すれば、その成功確率は高まります。

では、どのようにして情報の非対称性をなくすのか。それは対象企業の事前調査を徹底的に行なうことです。外部の専門家を活用することも重要ですが、さらに重要なことは、自分たちはこのM&Aで最後に何を得たいのかを明確にしておくことです。

何故このM&Aを行うのか、という目的が明確であればあるほど、調査の効率はあがります。なぜならば、目的に照らして何を調査すべきか、優先順位をつけやすいからです。

言い換えれば、情報の非対称性を認識した上でもM&Aを実行したいというのは、成功したときに得られる事業の成長性が非常に高い、という確証があることの裏返しなのかもしれません。

筆者紹介

林 公一アタックスグループ 代表パートナー 公認会計士・税理士
1987年 横浜市立大学卒。KPMG NewYork、KPMG Corporate Finance株式会社を経て、アタックスに参画。KPMG勤務時代には、年間20社程度の日系米国子会社の監査を担当、また、数多くの事業評価、株式公開業務、M&A業務に携わる。現在は、過去の経験を活かしながら、中堅中小企業のよき相談相手として、事業承継や後継者・幹部社員育成のサポートに注力。
林公一の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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