仲介業者と『片側FA』の決定的な違い~M&Aトラブル回避策!

仲介業者と『片側FA』の決定的な違い~M&Aトラブル回避策! 経営

近年、M&Aは経営戦略の重要な選択肢としてその存在感をますます高めています。

特に、日本の中堅・中小企業においては、深刻化する後継者問題の解決策として、M&Aを活用した事業承継が有力視され、急速に広がりを見せています。

大切に育ててこられた事業を次世代に引き継ぎ、従業員の雇用を守り、ひいては地域経済の活性化にも貢献するM&Aは、多くの経営者にとって未来を切り拓くための重要な決断であると言えるでしょう。

しかし、M&Aは多くの企業にとって、一生に一度あるかないかの重大なイベントであり、そのプロセスは非常に複雑多岐にわたります。

経営戦略の立案から、企業価値評価(バリュエーション)、相手候補企業の選定、交渉、デューデリジェンス(詳細調査)、契約書作成、そしてM&A後の統合(PMI)に至るまで、専門的な知識と経験が求められます。

このM&Aを成功に導くためには、信頼できる専門家のサポートが不可欠であることは言うまでもありません。

M&A専門家の多様化と「仲介」が抱える課題

M&Aの専門家には、大きく分けて「M&A仲介」と「FA(フィナンシャルアドバイザー)」の2つの形態が存在します。

M&A仲介は、売り手と買い手の双方から手数料を得て、両者の間を取り持つ形でM&Aを成立させようとします。

豊富なデータベースを持つ仲介会社であれば、効率的なマッチングが可能なように思えますが、ここに大きな問題が潜んでいます。

それは「利益相反」の可能性です。

売り手はできるだけ高く売りたいと考え、買い手はできるだけ安く買いたいと考えるのが自然なことです。

しかし、仲介者は売り手・買い手の双方から手数料を受け取る立場であるため、どちらか一方の利益を最大化するような偏ったアドバイスはしにくく、結果として、双方にとって「無難な」条件での合意を促す傾向があります。

過去には、この仲介契約の仕組みに起因するトラブルが多数報告されました。

例えば、売り手に対して、市場価値より低い価格での売却を促し、逆に買い手に対して、十分な情報開示がないまま契約を急がせるといった事例です。

また、手数料体系が不透明で、成功報酬のみを強調し、途中で撤退した場合の費用について十分な説明がなかったといった問題も指摘されてきました。

これらの問題が社会的な注目を集め、M&A市場の健全な発展を阻害しかねないという認識から、国や関係機関によってM&A仲介に関する規制やガイドラインの整備が進められています。

具体的には、2015年に経済産業省が「中小M&Aガイドライン」を策定(2024年8月改定)し、仲介者に対する情報開示義務や、利益相反に関する説明責任などを明確化しました。

参考:「中小M&Aガイドライン」を改訂しました | 経済産業省

これは、M&Aを検討されている経営者の方々が、より安心して信頼できる専門家を選び、適切にM&Aを進められるようにするための重要な一歩と言えるでしょう。

「片側FA」の真価~顧客利益の最大化を追求する専門性

一方、私たちのような「FA(フィナンシャルアドバイザー)」は、このM&A仲介とは一線を画します。

FAは、売り手様であれば売り手様、買い手様であれば買い手様というように、どちらか一方のクライアントにのみ専属で付き、そのクライアントの利益最大化を唯一の目的としてM&Aプロセス全体をサポートいたします。

これが「片側FA」と呼ばれる所以です。片側FAの最大の真価は、徹底した「顧客利益の追求」にあります。

利益相反の懸念がないため、クライアントの立場に立って、本当に最善となるM&A戦略を立案し、その実現に向けて全力を尽くすことができるのです。

具体的に、FAは以下のような多岐にわたる役割を担い、クライアントのM&Aを成功へと導きます。

戦略立案と目標設定

M&Aの目的(事業承継、成長戦略、事業再編など)を明確化し、クライアントの経営戦略に合致したM&A戦略を構築します。

企業価値評価(バリュエーション)

専門的な知見に基づき、クライアントの企業価値を客観的かつ適切に評価します。

売り手様には高値売却、買い手様には適正価格での取得を目指し、交渉の根拠となる数値を提示します。

相手候補の選定とアプローチ

クライアントのM&A戦略に合致する最適な相手候補を、独自のネットワークや情報収集力を用いて探索し、秘密保持を徹底しながらアプローチを行います。

交渉支援

複雑な条件交渉において、クライアントのアドバイザーとして経験と知識を活かし、クライアントにとって最も有利な条件を引き出すための交渉戦略を立案・実行します。

デューデリジェンス(DD)支援

財務、法務、税務、事業など多岐にわたるDDにおいて、専門家チームと連携し、リスクの洗い出しと評価、そしてそのリスクを取引条件に反映させるためのアドバイスを提供します。

契約書作成支援

基本合意書や最終契約書といったM&Aに関する重要な契約書のドラフト作成やレビューを通じて、クライアントの権利と利益を最大限に保護します。

PMI(M&A後の統合)支援

M&Aは契約締結で終わりではありません。M&A後の事業統合を円滑に進め、シナジー効果を最大化するためのアドバイスも行います。

中堅・中小企業の経営者の方々にとって、M&Aは時間的・精神的な負担が非常に大きいものです。

日々の事業運営と並行してM&Aプロセスを進めることは容易ではありません。

片側FAはクライアントの負担を軽減し、専門的な知見と経験をもって、複雑なM&Aプロセス全体をリードします。

これにより、経営者様は本業に集中しながらもM&Aを成功へと導くことができるのです。

FA活用によるM&A成功のポイント

M&Aを成功させるためには、片側FAを最大限に活用することが重要です。

M&Aの目的を明確にする

なぜM&Aを行うのか、何を実現したいのかをFAと共有することで、最適な戦略を共に構築できます。

FAとの信頼関係を築く

M&Aは秘密裏に進められることが多く、FAとは機密性の高い情報も共有します。

信頼できるFAを選ぶことが何よりも重要です。

早期からの関与

M&Aの検討段階からFAを巻き込むことで、より戦略的かつ計画的にM&Aを進めることが可能になります。

経営 成長

私たちアタックスグループでは、M&Aの専門家として、クライアントの経営戦略の一環としてのM&Aを、徹底した「顧客利益」の視点からご支援することを使命としています。

M&Aをあくまで「ひとつの手段」として捉えることで、場合によっては、売却や買収を行わない方がよいとアドバイスすることもあります。

その結果、状況に応じてM&A以外の選択肢へと軌道修正を図ることができる点は、私たちの支援スタイルにおける大きな特徴であり、強みのひとつです。

特に、事業承継という重要な局面を迎えられている中堅・中小企業の経営者の方々にとって、信頼できる片側FAの存在は、M&Aを成功に導き、貴社の未来を盤石なものとするための強力なパートナーとなるでしょう。

M&Aは、貴社と貴社の従業員、そして貴社の築き上げてきた歴史と未来を繋ぐ、非常に価値のある選択肢です。

この重要な決断において、ぜひ私たちのような片側FAの専門性を活用し、最高のM&Aを実現していただければと存じます。

ご相談はいつでも承っておりますので、こちらからお気軽にお問い合わせください。

【無料】経営に役立つ資料はこちら

筆者紹介

坂井啓宏

株式会社アタックス・ビジネス・コンサルティング 執行役員 坂井 啓宏
中堅中小企業の業績管理制度構築や事業計画策定等のコンサルティング業務に従事。中小企業再生ファンドの運営にも携わる。現在は、デューデリジェンスや計画策定等の企業再生支援、株式公開支援、買収監査や企業価値評価等のM&A支援を中心にプロジェクトマネージャーとして活躍中。

タイトルとURLをコピーしました