アナログの壁を打ち破る経理DX!中小企業の未来を拓く秘訣

アナログの壁を打ち破る経理DX!~中小企業の未来を拓く秘訣 会計

中小企業の経営者の皆様、日々の事業活動や事業成長のためにご尽力されてことと存じます。

一方で、「避けられないけれど、できれば時間をかけたくない」と感じる業務はありませんか?

たとえば、経理業務全般についてはいかがでしょうか。

領収書の整理、記帳、請求書発行、経費精算、売掛・買掛金の管理、月次決算など、これらの業務は企業運営に不可欠でありながら、膨大な時間と労力を要します。

手作業によるミス、リアルタイムな経営状況の把握の難しさ、そして特定の担当者に業務が集中する「属人化」といった課題は、経営者の貴重な時間を奪うだけでなく、担当者の疲弊も招いています。

現状、なんとか回しているこの経理業務の「当たり前」に、今、大きな変革をもたらしているのが「DX(デジタルトランスフォーメーション)」です。

今回は、中小企業が経理業務のDX化を進める意義と、クラウド会計ソフト、経費精算ソフト、給与計算ソフトといった各種デジタルツールを活用したDXがもたらす具体的なメリットをご紹介します。

なぜ今、経理DXが必要なのか?中小企業が抱える「アナログの壁」

従来の経理業務は、以下のような「アナログの壁」に阻まれ、中小企業の成長を鈍化させる要因となっていました。

膨大な時間と労力

手作業やExcel集計、紙ベースの処理は、単純作業に貴重な時間を費やし、社員が本来注力すべきコア業務への集中を妨げます。

ヒューマンエラーのリスク

手入力によるミスは避けられず、決算書の信頼性を損なうだけでなく、税務調査や取引先とのトラブルに発展する可能性があります。

リアルタイム性の欠如

月末処理が中心の体制では、月中の経営状況を正確に把握できず、迅速な意思決定が阻害されます。特に資金繰りにおいては、致命的な問題となりかねません。

属人化

特定の担当者の不在時に業務が滞るリスクが高く、事業継続性にも影響を及ぼします。

見えないコストの発生

紙媒体の印刷費、郵送費、保管スペース、そして非効率な作業による人件費など、目に見えにくいコストが日々積み重なっています。

これらの課題を解決し、企業が本質的な価値創造に集中するための手段こそが、「経理DX化」なのです。

経理DXで「アナログの壁」を打開しよう

経理業務のDX化は、中小企業の課題をどのように解決し、変革を推進するのでしょうか。

ここでは、各種デジタルツールの導入によって得られる主なメリットを5つのポイントに分けてご紹介します。

システムの導入による効率化と生産性の向上

例えば、クラウド会計ソフトでは、銀行口座やクレジットカードの入出金データが自動で取り込まれ、AIが仕訳ルールを学習し、自動で仕訳を提案・実行します。

これにより、記帳作業を大幅に自動化できます。

また、経費精算ソフトは、スマートフォンでのレシート撮影や交通系ICカードとの連携により、経費申請・承認・精算のフローを大幅に効率化します。

さらに、これらのシステムを販売管理システムと連携させることで、POSレジからのデータ取り込みが可能になり、入力の二重手間を排除。

経理業務全体のシームレスな自動化を推進できます。

システム導入との連携によって、経理業務にかかる時間が大幅に削減され、従業員は戦略的な分析や顧客対応など、より付加価値の高い業務に集中できるようになります。

経営判断の迅速化

各種経理DXツールは、常に最新のデータを集約・反映できる機能を備えています。

経営者は売上、費用、利益、資金繰りなどの情報をリアルタイムで確認できるようになります。

これにより、「今、何が起きているのか」を正確に把握し、データに基づいた経営判断への第一歩を踏み出すことが可能になります。

コスト削減

各種デジタルツールを活用すれば、請求書等の紙媒体を電子データで管理でき、印刷費や郵送費、保管コストを削減できます。

また、クラウド上でデータを共有することで、郵送や訪問による手間やコストをかけずに、迅速な情報共有が可能になります。

さらに、多くのクラウド型システムはサブスクリプション方式を採用しており、初期費用を抑えやすい点も大きな魅力です。

セキュリティとアクセシビリティの確保

データはクラウド上に安全に保管されるため、災害やPC故障による消失のリスクを大幅に低減できます。

また、インターネット環境があれば、オフィスや自宅、出張先からでもアクセス可能となり、テレワークやリモートワークの導入を強力に後押しします。

法改正への柔軟な対応

インボイス制度や電子帳簿保存法など、複雑な税制改正への対応は中小企業にとって大きな負担となっています。

しかし、各種クラウドサービスは、法改正に迅速に対応し、自動でバージョンアップされるため、常に最新の法制度に準拠した運用が可能です。

導入への不安を解消する視点:最初の一歩を踏み出すために

「導入は難しそう、使いこなせるか不安…」
「費用がかかるのでは?」
といった不安を感じるかもしれません。

しかし、現在の経理DXツールは、ITに不慣れな方でも比較的スムーズに導入できるよう設計されています。

筆者がクラウド会計を初めて利用したのは10年以上前の2014年でしたが、当時と比べると格段に使いやすくなっていることを実感しています。

これらのポイントを踏まえたうえで、以下の点を考慮して検討されると良いでしょう。

導入システムの検討

様々なクラウド会計ソフトや経費精算ソフトが存在します。

自社に最適と思われるシステムを選ぶことが大切ですが、システムを導入するだけで全てが解決するわけではありません。

弊社の顧問先でも、CMで見かけるような経費精算システムを導入した例があります。

しかし、現状の業務フローを変えずに利用したためカスタマズに時間がかかるケースや、コスト削減のため利用者を制限して便利な機能が活用されず、負担が思うように減らないケースも見られました。

こうした場合は、思い切ってシステム側のベストプラクティスを活かし、業務フロー自体を見直す機会と考えるのも良いでしょう。

実際の顧客の例では、最初は初期設定の負担もあり、あまりメリットを感じていなかった様子でした。

しかし、2~3年経ってシステムに慣れていただくと「変えてよかった」「便利ですね」というお声もいただいております。

スモールスタート

最初から全ての経理業務を完璧にDX化しようとせず、課題解決につながりそうな部分から、段階的に始めてみてはいかがでしょうか。

導入前には、現状の業務内容や、利用者のITリテラシー、デバイス環境を把握し、無理なく利用できる範囲からスタートすることをおすすめします。

まずは実際に使ってみて、効果を実感することが大切です。

専門家との連携

導入支援の実績を持つ税理士や会計事務所、またはシステム会社の導入サービスを活用すれば、最適なシステム選定、スムーズな移行、そして効果的な運用まで期待できます。

結び:未来への投資、今こそ変化の時

結び:未来への投資、今こそ変化の時

経理DX、そして各種クラウドサービスの導入は、単なるツール導入に留まらない、本質的な経営改革です。

「現状できているから、無理に変える必要はない」という考えも一理あるでしょう。

しかし、新しいテクノロジーを積極的に取り入れることで、日々の経理業務に追われる時間を、未来を創造する時間に変えることができます。

その第一歩を、今、踏み出してみませんか。

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筆者紹介

石川美穂

アタックス税理士法人 社員 税理士 石川 美穂
名古屋市立大学大学院終了後、新卒で入所。以来、中堅中小企業を中心に顧客担当し、法人税から資産税まで幅広く経験を重ねてきた。顧客への親身な対応を心がけ、相談しやすい税理士であるとともに、課題解決までご支援できるよう、日々邁進している。

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