新人研修から見えた若手社員が抱く不安
今秋、アタックスグループが主催する「アタックス・ビジネス・セミナー」企画で、入社1年未満の新入社員・中途入社社員を対象に、『デキる社員の報連相訓練講座』を開催しました。
参加者は、アタックス・ビジネス・セミナー特別会員企業の高卒・大卒の新入社員から25歳の中途社員まで、いずれも入社1年未満のフレッシュマンです。
中小企業にとって、若手人材の採用は年々困難になっており、採用コストをかけてやっと獲得できた新人はまさに金の卵。
すべての企業が、一日も早く成長し戦力として活躍して欲しいと望んでいます。
講座スタート直後に、次の質問を投げかけました。
「皆さん、“仕事のできる社員”になりたいと思いますか?」
全員が、手を上げてリアクション。オンライン講座ですが、画面の向こうの顔つきから真剣さが伝わり、想定以上の意欲的な反応に、講師も気合が入ります。
次に、オンライン講座の特性である「投票機能」を使って入社1年未満の社員がどのような気持ちで現在仕事をしているのか、今の自分の状態に一番近い項目を2つ選択してもらいます。
その項目は、
- 仕事上の関係者(上司・先輩・お客様)との会話に苦手意識がある。
- この1年を通じて、成長はあまり実感できていない。
- 入社前に想定していた仕事内容よりも実際の仕事は難しいと感じる。
- 上司や先輩から、「報連相」について注意を受けたことがある。
- 仕事の進め方が、正しいのかどうか不安に感じることがある。
- 任された業務をする上で必要な知識・スキルが不足していると感じる。
受講者が画面上のボタンをクリックすると、瞬時に集計され結果が表示されます。
投票数の高い順に紹介すると、
任された業務をする上で必要な知識・スキルが不足していると感じる。
第2位:
仕事上の関係者(上司・先輩・お客様)との会話に苦手意識がある。
第3位:
仕事の進め方が、正しいのかどうか不安に感じることがある。
さて、この結果から、何が言えるでしょうか?上司である指導者は、新人をどのように導いていけば良いのでしょうか?
新人育成の軸「QCD思考」で評価基準を見える化
社員の成長の鍵を握るのは間違いなく指導者の腕です。何をどう指導すべきか分からないまま自分の育ってきた方法で指導していませんか?
あるいは、最初から期待以上を求め、「普通、ここまでやるでしょ」「気が利かないな」などと言ってはいませんか?
まず指導者が求めるべきは、“期待通りのQCD”で、仕事ができるようになるよう指導することです。
具体的に見ていきましょう。
一般的に、QCDという言葉は、製造業でよく使われます。
C:価格・コスト
D:納期
しかし、これは製造業のみならず、ホワイトカラーの仕事においても重要な切り口です。Q(品質)、つまり仕事の品質には、“機能品質”と、“態度品質”があります。
機能品質とは、仕事の出来栄えを指します。作成資料に間違いがない、計算ミスがない、誤字脱字がないなど、性能や成果物の完成度を指します。
機能品質を担保するためには、業務知識と一般常識、加えて機器を使いこなす技術習得が必要です。
では、仕事の出来栄えさえ良ければいいかというとそうではありません。“態度品質”があるからです。
これは、仕事を円滑に遂行するために不可欠であり、上司・同僚・顧客に対する対応や、コミュニケーションの質を指します。
挨拶や返事などの基本マナーに加え、丁寧な言葉遣い、迅速な報連相、協力的な姿勢、相手への配慮、良好な人間関係などが含まれます。
「仕事さえできれば、挨拶なんて必要ないでしょ…」
これはまったくの間違いです。機能品質と態度品質がともに期待通り備わってこそ、初めて合格点と言えるからです。
次に、C(コスト)ですが、一般的な、価格や原価といった意味合いではなく、ここでは「投入工数」と捉えます。
「仕事ができる」とは、業務に対して必要な工数を正確に見積もり、予定どおり実行できる状態を指します。
「仕事はどれだけの時間で完成すべきか、を常に考えて仕事をして欲しい」
つまり、「投入工数」という概念を新人の頃から植え付けることが大切です。
生産性向上、業務の効率化が求められるなかで、自分のペースでダラダラ仕事をするのではなく、
「〇〇の仕事、〇時間を目安に進めてみて、オーバーする場合はどこに問題があるか検証しよう」
このような指導が求められます。
最後に、D(納期)です。納期を守るには、「逆算の発想」が不可欠です。
「納期」を起点に業務分解し、業務ごとの必要時間と上司チェックのタイミングを考慮して、スケジュールに落とし込みます。
デキる部下は、上司のチェック時間を最初に考えてスケジュールを押さえます。
「〇課長、指示頂いた業務ですが、納期2日前の9時から30分予定を押さえさていただいてもよろしいですか?そこでご確認いただき、ご指摘を反映したうえで納期までに完成させます」
一方、デキない部下は、
「完成の目途がついたところで、打合せをお願いします。しばらく待っていてください」
こういう仕事の仕方では、納期ギリギリになるのは目に見えています。
QCDで基礎を築き、期待以上の成果へ

以上、QCDの考え方を解説しました。指導者である上司はまず、「期待通りのQCDの基準」を明確に伝えましょう。
そして、不足している点をフィードバックし、それらができるようになるために更に教育訓練をしていくことが大切です。
仕事の出来栄えが劣っているのは、業務知識不足からでしょうか?
Excelスキルが足りないからでしょうか?
それとも、ビジネス文書の書き方といった一般常識を知らないからでしょうか?
態度や対応が劣っているのは、マナーを学んでいないからでしょうか?
報連相の基本を知らないからでしょうか?
対人関係スキルを学んでいないからでしょうか?
想定時間内で仕事ができないのは、Q(品質)自体が期待以下の水準だからでしょうか?
納期未達なのは、逆算発想という仕事の進め方を知らないからでしょうか?
いかがですか。QCDの視点で指導することにより、冒頭に紹介した入社1年未満の新人が不安に思う上位3項目の解消につながります。
意欲ある新入社員をしっかり育て上げられるかどうかは、指導者の腕にかかっています。
期待通りのQCDができるようになったら、次は「期待を超える仕事とは何か」を指導していきましょう。
指導には順番があります。是非とも参考にしてください。
2026年度のセミナーラインナップを公開しました
アタックス・ビジネス・セミナーでは、年間を通じて、実践的かつ体系的な学びの機会をご提供し、経営層・管理職層から新入社員まで、幅広い階層の人材育成をサポートします。
また、オンライン講座の機能・特性を活かした進行で、移動による時間やコスト削減が可能です。
このたび、2026年度の全ラインナップが整いましたので、是非ともデジタルパンフレットをご覧いただき、新年度の社員教育にお役立てください。
アタックス・ビジネス・セミナーでは、特別会員にご入会いただきますと、大変お得な受講料でご受講いただけます。
また、本執筆者が講師を務める「社員育成戦略セミナー」を12月に開催します。ぜひともご参加ください!
筆者紹介

- アタックスグループ シニアパートナー 中小企業診断士 産業カウンセラー 北村 信貴子
- 大手食品メーカー勤務後、アタックス入社。中堅中小企業を対象に人事制度構築・運用と人材育成業務に従事。現在は、マネジメントの傍ら後継者・幹部育成、管理者教育、女性リーダー育成を中心に実践型の教育訓練・能力開発に注力している。金融機関での講演、セミナー実績多数。受講者との対話を通じて理解を深めていく、迫力ある指導に定評がある。

