上司の何気なく発した言葉が組織風土を醸成する

経営

来週からは新年度になり、各企業では新しい社員の方々を迎えられることと思います。

早く戦力になってご活躍されることを期待したいと思います。

さて、新卒に限らず、新しくジョインした方が力を発揮できる職場の環境を整えることは大変重要な経営のテーマです。

今回は「社員のやる気」に関するテーマで、私が最近色々な会社で感じた体験と以前に読んだ書籍の内容でお話したいと思います。

社員がやる気を失っていく原因

今回ご紹介する書籍は、松岡保昌氏著「こうして社員はやる気を失っていく」です。

この本には社員のモチベーションを高めることに取り組むのではなく、モチベーションを下げている原因を取り除くことに向き合い改善する事例や対策が書かれています。

この本の最後に書かれていた

「ふだん何気なく使っている言葉から、組織の文化はかたちづくられる」

と書かれた16ページの内容が心に強く残りました。

その後、注意深く言葉のやりとりを意識すると、まさに組織図の上位に位置する皆さん、つまり上司と言われる方々が部下とのやりとりで使う言葉や、電話等で話している言葉から、徐々に組織の価値観や風土が醸成されることを感じました。

具体的に例を二つあげて説明しましょう。

事例1:部門間が対立している

ある会社は二つの部門が協力しあわないため、新しい取り組みがいつもうまく進みません。

社長に依頼されて私は両部門の会議に出席しました。

2回ほど参加してその理由がわかりました。

両部門の部長が会議で口癖のように言う言葉があったのです。

「この会社はうちの部門で持っているようなもんだ」

「あっちはいちいち面倒なことをいってくる」

「まあ、あっちからの依頼は適当にやっておけ」

などなど悪口のオンパレードです。

これでは部下の皆さんも隣の部門と協調してやりたいと思っても、部長の目を気にして積極的にはなれません。

事例2:社長が悲観的な発言をする

もう一つ業績が不調の会社に伺い社長とお話したときです。

業績を向上させるための打ち手の例をあげてお話しましたが、社長はこう仰いました。

「理屈はわかるけど、わが社は下請けで必ずコストダウンが求められる。材料やコストが値上がりしても認められないし、要は儲けさせてはくれないんですよ」

恐らく、このような言葉は普段から社長や部長から発せられているのだろうと容易に想像がつきました。

上司や社長の発言による社員への影響

では、これを聞いている周りの社員、いわゆる部下の方々はどう感じるのでしょうか?

一つめの事例で言えば、「隣の部門とは協力できないな。またする必要もないな。」と考えるでしょう。

もっと良くないのは、社員同士の「相互尊重」という意識がなくなることです。

二つ目の事例では、「うちの会社は儲からなくても仕方ないのだ。」と業績の悪さを肯定する思考になるでしょう。

更にこれが問題なのは、お得意様に感謝するという商売の基本の考えをしなくなることです。

社員の挑戦を阻む組織風土

この二つの事例から理解いただけるように、会社の組織図の上位にいる方々、つまり、会長、社長、部長、課長といった方々の何げない言葉が部下に浸透し、それが組織風土になるということです。

社員が何か新しいことに対する提案を課長にしたとします。

「そればいい考えだ。バックアップするから今度の会議で提案するといい」と言うか、「うちの会社はそんなことには取り組まないから、余計なことはしないで今まで通りやって」と言うかで、社員のやる気は天と地ほど違ってきます。

加えて、そのやりとりを周りの社員が聞いています。

その結果、新しいことに取り組むことをしない、停滞した組織風土になるのです。

「上司」といわれる部下を持つ方々は、ぜひ日頃の発言を思い起こしてください。

皆さまの会社の「上司」の何気なく発している言葉で、会社を停滞させる組織風土ではなく、社員がやる気を持って主体的に動く組織風土を醸成していくことを願っています。

筆者紹介

株式会社アタックス戦略会計社 代表取締役会長 片岡 正輝
1952年生まれ。アタックス税理士法人の前身である公認会計士今井冨夫事務所に入社。現在は、アタックスグループの統括マネージャーとして、広範囲な知識と豊かな経験という両輪を武器に、経営・財務・会計業務を中心に計画経営の推進、経営再構築、事業承継等のコンサルティング業務に従事、経営者の参謀役として絶大なる信頼を得ている。
片岡正輝の詳しいプロフィールはこちらをご覧ください。

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