コープみやざき~試食させるお店・させないお店

経営

仕事柄、全国各地に出かける機会が多い。たいていの場合、街中や駅ビルで見つけた美味しそうなお菓子を、お土産に買って帰ったり、または宅配で送ったりする。

自分もお菓子好きであり、また一人でも多くの親しい仲間に食べていただきたいので、買う量・送る量は平均の5倍以上かもしれない。

目移りがしてしまう場合は、試食するお菓子があれば、それを食べ判断をする。しかしながら、お店によっては、高価格なお菓子ならばともかく、値ごろ品のお菓子でも決して試食させてくれないお店がある。

その都度、筆者は「こんな味のするお菓子を送りましたと、メールしたいので、少しでいいですから、試食させていただけませんか…」と質問をする。もとより、それは味を確かめたいという気持ちと、そのお店のサービスのレベルを確かめたいからである。

しかしながら、四つ切りか八つ切りかはともかく、試食用のケースが、カウンターの上においてあるお店はともかく、断られるケースがほとんどである。店員さんは、はっきりと「すいません、当店では試食はできませんので…」というのである。

こうした対応のお店のお菓子は、筆者ならずとも、買わないと思われる。なぜならば、顧客の都合ではなく、お店の都合、担当者の都合を最優先した義務的なサービスだからである。

こうした二度と行きたくないようなお店もあるかと思うと、「ここまでやるか…」と思うような感動どころか驚愕・驚嘆にサービスを提供してくれるお店も少なからずある。

その一つが、宮崎市に本部のある「コープみやざき」の各店舗である。

ここでは、「喜ばれることを喜びとする」「店は店のためではなく、お客様のために存在する」を高らかに掲げた運営を徹底的に実施している。

例えばであるが、お店では、たとえ卵1個でも、小さくカットした大根のさらに半分でも、さらには刺身3切れでも平気で売ってくれる。驚くべきは、セットになったパジャマのズボンだけでも半値で売ってくれる。

より驚くべきは、宮崎を初めて訪れた女性の要望を受け、だれにも相談せず自分の判断で、マンゴーをその場でカットし試食させたという。

余談ですが、このマンゴーを試食した女性は、あまりの美味しさに感動をし、その場で、なんと5箱も注文したという。

これまた余談ですが、筆者が、ところで「残った食材はどうするのですか…」と質問すると、理事長が「当社は総菜部門もレストラン部門もありますので、後はどうにでもなります。

ですから、スタッフには後のことは考えなくてもいい…と、常日頃から言っています…」と話してくれた。

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筆者紹介

坂本光司

アタックスグループ 顧問
経営学者・元法政大学大学院教授・人を大切にする経営学会会長  坂本 光司(さかもとこうじ)
1947年 静岡県生まれ。静岡文化芸術大学文化政策学部・同大学院教授、法政大学大学院政策創造研究科教授、法政大学大学院静岡サテライトキャンパス長等を歴任。ほかに、「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞審査委員長等、国・県・市町村の公務も多数務める。専門は、中小企業経営論、地域経済論、地域産業論。これまでに8,000社以上の企業等を訪問し、調査・アドバイスを行う。

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