安心安全なコインパーキング運営 -株式会社英田エンジニアリング

経営

西浦道明のメルマガ 2023年5月

2014年から、当メルマガでは自社独自の「池(市場)」を見つけ出し、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となった結果、高収益を獲得・維持している中堅中小企業をご紹介している。

連載105回目の今回は、岡山県美作市で、冷間ロール成形機・造管機、無人駐車場・駐輪場管理システム、パワーボラード、フォーミングロール、金型・刃物関係、自動化専用機等の企画・設計・製造販売を行う株式会社英田エンジニアリング(以下、A社)の池クジラぶりを見ていきたい。

A社の創業は、1974年、青山操男氏が冷間ロール成形機・造管ライン用のフォーミングロールというローラー状の金型の製造・販売を主力事業とし、岡山県美作市で創業したのが始まりである。

自社ブランドにこだわり、「国際社会に通用するちょっと進んだモノづくり」を創業精神として、改善・改良、研究開発に注力をした新商品開発に取り組み、事業を発展させてきた。

特に、駐車場関連機器は、1992 年頃から開発を開始し、現在では、A社の売上の50%以上を占めるまでになっている。

コインパーキングの中で一番多いのが、フラップ(ロック)式コインパーキングである。

このタイプは、駐車区画内にロック板という機械を設置し、それを乗り越えるとセンサーが反応し、ロック板が上昇し、課金されていく仕組みのコインパーキングである。

日本に多い、狭小土地に向く駐車場関連機器である。

このタイプの駐車場関連機器を日本で一番製造しているのが、A社である。

A社が、フラップ販売台数のシェア約40%を獲得できたのは、優れた機器を製造してきたのは当然だが、単に関連機器をつくっていただけではなく、自ら1つの駐車場の運営に乗り出し、顧客が求める真のニーズ把握に取り組んだことが大きい。

専門的に事業に取り組むことで、実際の運営から得られたノウハウやデータを駐車場機器や設備品の開発、改良に活用することで、より実用的で便利に使える設備の開発につなげ、利便性の高い駐車場運営に活かしている。

実際に駐車場を運営してみると、つくるだけでは分からなかった発見が数多くあった。

例えば、これまでのフラップは段差が大きく、入出庫の妨げや事故の原因となっている上、駐車スペースを狭くしてしまうという問題があることが分かった。

そこで、その段差をなくすためのフラップ「ゼロフラップ」を開発した。

このゼロフラップの導入により、段差のない安全でシンプルなレイアウトの駐車場設計が可能となった。

さらに、コインパーキングの運営方法面でも多くの発見があった。

これまでのコインパーキングは、レシート切れ、釣り銭切れ、機器の故障、さらに精算機荒らしの犯罪対応など、トラブルが起きるたびに駆けつける必要があった。

また、現地で集金しなければ、売上データや利用データが取得できず、料金変更といった対応にも時間が掛かっていた。

そこでコインパーキングにIoTを導入するWebソフト「iPark’nコンシェル」を開発したのだ。

こうすることで、その課題が解決でき、現地での集金が必要なくなった。

A社は、顧客が求める真のニーズや社会的課題の解決に応え続けることで、お客様から高い評価・信頼を得ている。

A社は、コインパーキングの安心・安全な運営市場(池)のクジラとなっている。

  
  
アタックスグループでは、1社でも多くの「強くて愛される会社」を増やすことを目指し、毎月、優良企業の視察ツアーを開催しています。
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筆者紹介

西浦道明

アタックスグループ 代表パートナー
公認会計士 税理士 西浦 道明(にしうらみちあき)
1981年、株式会社アタックスを創業。中堅中小企業の経営の専門家として「社長の最良の相談相手」をモットーにしている。
東京・名古屋・大阪・静岡・仙台を拠点に、中堅中小企業の総合的なご支援に力を注ぎ、約200名のコンサルタントとともに日本に「強くて愛される会社」を一社でも多く増やすために汗をかく。
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