幸福総和No.1企業を目指す -株式会社アドバンティク・レヒュース

経営

西浦道明のメルマガ 2021年8月

2014年から、当メルマガでは自社独自の「池(市場)」を見つけ出し、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となった結果、高収益を獲得・維持している中堅中小企業をご紹介している。

連載84回目の今回は、群馬県前橋市で、産業廃棄物の収集運搬など環境関連事業を営む株式会社アドバンティク・レヒュース(以下、A社)の池クジラぶりを見ていきたい。

A社は1984年、現取締役会長の堀切健吉が創業した。

「全社員の幸せを通して世の中に『ありがとう』の輪を広げ幸福総和No.1企業を創る」を経営理念とし、幸せな社員だからこそ素晴らしいサービスを顧客に提供でき、自分一人が富むのではなく、関係者皆で分かち合うことに価値があり、関わってくれた方々の“幸福総和”がNo.1となる企業を同志とともに創っていく、という考えの下、運営されている。

A社は、産業廃棄物の収集運搬業に特化している。

対象エリアは、持ち込みのM&Aにより、群馬中心だったものを関東一円そして東北にまで広げている。

2021年3月現在、社員数は単体で78名、グループ全体では231名、また、2021年3月期で、単体売上31.5億円、グループ売上76.3億円となっている。

産業廃棄物の収集運搬業は全国に約15万社あるが、大半は社員数10名前後、年商も1億円程度の企業が多いなかで、全国有数の大規模な組織である。

同業他社が対象廃棄物を限定する中、A社の事業範囲は、産業廃棄物・一般廃棄物・特別管理産業廃棄物の収集運搬業務と多岐に渡り対応している。

また、収集運搬した廃棄物は、協力関係にある中間処理場及び最終処分場300社以上と取引関係にある。

そのため、顧客ニーズに合わせて最適業者を選ぶことができる。

そのお蔭で、大手排出企業にしてみれば、あらゆる廃棄物を一手に引き受けてもらえる、実にありがたい存在なのだ。

各自治体で「優良産廃処理業者」に認定されるだけでなく、群馬県に本社がある企業として唯一、東京都が創設した「産廃エキスパート」の認定も受けている。

また、社員の自律性を高める取り組みが数多くなされている。

社員持ち株会では社員の比率が全体の40%にまで達している。

先日、持株会の内容も進化させ、4社ある事業会社の社員誰もが親会社兼持株会社である(株)ATホールディングスの持株会に入れる仕組みも整えた。

現社長の堀切勇真氏(以下、H氏)は「社員自身の頑張りが直接的に企業価値に反映され、経営参画意識を持てる歓びを形にした。一人でも多くの社員に株式を保有してほしい。それでこそ本当の意味でみんなの会社になる」と話す。

その他にも、社員1人当たり人件費や年間休日数も業界トップクラスである。

さらに、働き方に合わせ柔軟に対応するものの、希望する社員は全員正社員で、創業以来、1人の解雇もしていない。

さらに、半期ごとに社員がお互いの仕事を褒め合う場としてベストディール賞を設けている。

また、毎月の現金給与を給与袋に現金で入れ、H氏自らが社長メッセージを添えて、一人ひとりにお礼を言いながら手渡している。

このように、社員同士があるいは会社と社員が、一体となるための取り組みが行われている。

社員が、物心両面で満たされているからこそ、その感謝の思いが、お客様への高い評価につながるサービス提供を生んでいるに違いない。

A社は、300社以上に渡る取引処分業者や最終処分場と協力し、大手排出企業の廃棄物を一手に引き受けることで、北関東という地域社会において高い評価を得てきた。

A社は、多岐に渡る廃棄物の収集運搬・処分をトータルにサポートする、北関東の廃棄物収集運搬業界(池)の圧倒的なクジラとなり、次は、関東東北のクジラを目指している。

  
  
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筆者紹介

西浦道明

アタックスグループ 代表パートナー
公認会計士 税理士 西浦 道明(にしうらみちあき)
1981年、株式会社アタックスを創業。中堅中小企業の経営の専門家として「社長の最良の相談相手」をモットーにしている。
東京・名古屋・大阪・静岡・仙台を拠点に、中堅中小企業の総合的なご支援に力を注ぎ、約200名のコンサルタントとともに日本に「強くて愛される会社」を一社でも多く増やすために汗をかく。
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