住まいのかかりつけ医 -株式会社さくら住宅

経営

西浦道明のメルマガ 2018年8月

2014年から当メルマガでは、自社独自の「池(市場)」を見つけ出し、その池の「クジラ(圧倒的なシェア・ナンバーワン)」となった結果、高収益を獲得・維持している中堅中小企業をご紹介している。

連載48回目の今回は、神奈川県横浜市・鎌倉市・逗子市近辺を拠点に、建築物のリフォームを行う、株式会社さくら住宅(以下、S社)の池クジラぶりを見ていきたい。

S社は、1997年6月、二宮生憲社長(以下、N氏)が50歳で独立を決意し創業した。

かつて勤めていた大手住宅メーカーの「お客様に一旦引き渡し、資金回収してしまったら、クレームにいちいち取り合わない」という経営姿勢に対し、強烈な不信感を抱いたからだった。

独立したN氏は、当初、キッチンと水回りを一括でリフォームするセットを看板商品に据え、高額ではあったものの一定のお得感を打ち出して販売してみたが、1年目は赤字だった。

打開策を模索していたある日、一人のお客様が店舗を訪ねてきて、「洗面台の鏡が錆びて交換したいんですがどこもやってくれない。こちらでやってくれませんか」と依頼してきた。

手間賃はわずかで、利益も出ないと分かってはいたものの、藁にもすがる思いで鏡を交換した。

すると、お客様は驚くほど喜んでくれ、他のお客様を次々と紹介してくれた。

紹介されたお客様から依頼されたのは、電気の修理、障子の貼り換え、水漏れ、柱の補修等が中心であり、建てた会社がなくなってしまった、というものまであった。

そんな手間賃も利益も出ないような工事を引き受け続けた結果、S社は、その後、20期連続で黒字となった。

小工事を重ねる内にお客様との間に信頼関係が構築され、大口の受注が増えていったからだ。

2017年度にS社が受注した総件数1,841件の内、大口工事1,086件(59%)、平均単価112万円に対し、小工事755件(41%)、平均単価4.3万円。

金額ベースでは、売上高12.5億円の内、全面リフォームなどの大口工事12.2億円(97.3%)、小工事0.3億円(2.7%)となったのは、N氏が小工事に手間ひま惜しまず、迅速に対応するというS社の基本姿勢を守り続けた結果、そのお客様が大口工事を依頼してくれたり、知り合いを紹介してくれる関係になったからだった。

N氏は、お客様との契約において、「売りに走るな」「無理に契約してもらうな」ということを社員に徹底させている。

S社は、お客様との関係を対等にすることで、値引きのない状況を作っている。

値引きを要求するお客様には「では、そういう業者さんにお願いしてください」ときっぱり断っている。

また、アフターフォローという概念が薄い業界にあって、リフォームした家を定期的にまわり、不具合がないかを聞いて回っている。

N氏の哲学は、「お客様との距離をどれだけ近くするか」であり、「手間を惜しんだら終わり」という考えなのだ。

S社は、「リフォームを通じて社会のお役に立つ会社になる」を企業理念にし、他社がやろうとしない小工事を進んでやることによって、お客様から高く評価されてきた。

今や、横浜市・鎌倉市・逗子市近辺で、地元住民が困った時に何でも頼める「『住まいのかかりつけ医』市場」(池)を創り上げ、そのクジラになっている。

  
  
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筆者紹介

西浦道明

アタックスグループ 代表パートナー
公認会計士 税理士 西浦 道明(にしうらみちあき)
1981年、株式会社アタックスを創業。中堅中小企業の経営の専門家として「社長の最良の相談相手」をモットーにしている。
東京・名古屋・大阪・静岡・仙台を拠点に、中堅中小企業の総合的なご支援に力を注ぎ、約200名のコンサルタントとともに日本に「強くて愛される会社」を一社でも多く増やすために汗をかく。
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